「やや弱気のレンジ相場」
オンチェーン分析企業Glassnodeは12日に発表した最新の暗号資産(仮想通貨)市場週次レポートで、ビットコインは現在一定のレンジ内での値動きが続いており、この膠着状態から抜け出すには新たな資金流入やマクロ要因の変化が必要だと分析している。
ビットコインは現在、9万7,000ドルから11万1,900ドルの範囲で取引されている。一時、ビットコイン価格が10万ドルを下回ったことで、10月初旬から続く下落トレンドが拡大した。これにより、市場は弱気相場に移行し、価格は短期保有者の平均取得価格(コストベース)を下回る水準となったとレポートは指摘した。
今回の局面では、10万ドル未満の価格ゾーンで「売り飽き」が発生し始めており、「重要な戦場」として浮上。ビットコイン価格が9万8,000ドルを割り込んだ時、短期保有者の大半(80%以上)が損切りした状態となった(実現損益比率が0.21未満)。今回の「投げ売り」はかなり激しく、このサイクルで起きた3回の急落局面を一時的に上回った。
一方、コストベース分布ヒートマップは、10万ドル以下の価格帯では、投げ売りを吸収する大きな需要があることを示している。売り疲れと再蓄積が組み合わさることで、弱気相場の中でも「短期的な回復の土台」が築かれていると、レポートは指摘している。

出典:Glassnode
しかし、10万6,000ドル〜11万8,000ドルの範囲が、多くの投資家の損益分岐点付近となっており、供給クラスターが形成されていることから、これが「売り圧の壁」として上値を抑え続けている。この壁を突破し、継続的な上昇が起こるためには、新たな資金流入が不可欠となる。
現在の市場は、10月初旬に始まった下落トレンドが継続している状態で、ビットコイン価格が短期保有者のコストベース(約11万1,900ドル)を再び上回らない限り、持続的な回復への転換は難しい状況になっている。しかし、新規投資家の勢いを測る指標である「短期保有者の実現利益」は、6月以降、低水準で推移しており、市場への新規流入不足を示している。
ビットコインが10万6,000ドル〜11万8,000ドルの売り圧の壁を突破するには、この指標が上昇に転じ、新たな買い手の参入と市場の自信回復が示される必要がある。
オフチェーン分析
米国の現物ビットコインETFは、ここ数週間でわずかな資金流出に転じているが、これは、価格の停滞と勢いの衰えを反映している。
今年中盤の強い資金流入後、需要は停滞しており、機関投資家による積極的な買い増しの動きが一服したことを示唆している。歴史的にこのような中立的な資金フローは、市場が次の方向性を見定める調整局面となることが多い。
再びETFへの資金流入が戻れば、機関投資家の信頼回復のシグナルとなる。
主要取引所のビットコイン永久先物の資金調達率は、全体的に低水準で、デリバティブ市場における投機的な意欲の低さを示している。10月のレバレッジ精算以降、資金調達率や未決済建玉が低下しており、トレーダーは慎重な姿勢で取引している。
積極的なポジションが少ないことは、市場が迷いやためらいの段階にあることを示しており、ボラティリティが再び高まる前によく見られる状況だとレポートは指摘する。
オプション市場では、プットオプション(下落時の保険)の需要が高く、トレーダーは下落リスクに備える姿勢を維持している。明確なきっかけがない限り、コール(買い)優位に傾く可能性は低く、市場はビットコインが再び10万ドルを試す可能性や、それ以上の下落を織り込んでいるとGlassnodeはまとめた。
ビットコインのインプライド・ボラティリティ(IV)はやや高めの水準(40〜50)で安定している。市場の不確実性は高まったままだが、パニックには至っていない。ボラティリティは、マクロ経済リスクと慎重な投資家心理によって支えられており、これ以上の上昇が見られないことから、投げ売りではなく、調整局面に入ることが示唆されるとした。
10万ドルの防衛ライン
ビットコインのオプションでは、11月末満期の建玉が10万ドル前後に集中しており、重要なサポート・抵抗ラインになっている。この水準を明確に下回ると、ディーラーのヘッジ売りが加速し、急落のリスクが高まる可能性がある。
以上を総合して、オンチェーン・オフチェーン両方の指標は、市場が調整・保ち合いの状態にあり、安定しているものの、まだ強気への転換を確認できる段階には達していないことを示していると、レポートはまとめた。今後、新たな資金流入や明確なマクロ要因が現れるまでは、ビットコインは9万7,000ドルから11万1,900ドルのレンジ内で推移する見込みで、10万ドルが心理的防衛ラインとして意識され続けると見ている。
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