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仮想通貨が将来利用される領域はなに? EUブロックチェーン研究機関が報告書を公開

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

EUブロックチェーン観測フォーラムがデジタル化におけるブロックチェーンの重要性を強調
EUブロックチェーン観測フォーラムが新興テクノロジーに関する研究報告書を発表。ブロックチェーンについて急速に普及するAIやIoTのセキュリティや透明性の担保において重要な役割を果たすと主張した。

EUブロックチェーン観測フォーラムがデジタル化におけるブロックチェーンの重要性を強調

欧州連合の執行機関である欧州委員会により設置された「EUブロックチェーン観測フォーラム(EU Blockchain Observatory and Forum)」は「有形資産のトークン化、IoTとAIの影響力」と題した新しい研究報告書を発表した。

スイスのルツェルン大学情報工学部教授のTim Weingärtner博士によって執筆されたこの報告書では、「デジタルツイン」という「サイバー空間における物理世界のリアルタイムな再現」という概念を例に挙げ、ブロックチェーン技術が、現実世界とデジタル世界をつなぐ重要な役割を果たすものになると主張している。

上の図にみられるように、Weingärtner博士は、デジタル世界を構成する要素として、モノのインターネット(IoT)、ロボットやドローンやなどの機器、ブロックチェーン技術、トークン、人工知能(AI)そしてビッグデータを挙げているが、デジタル変換技術の例を、次のように具体的に説明している。

  1. モノのインターネット (IoT)
  2. デジタル世界の感覚受容器官。カメラ、マイク、センサーなどによる物理的オブジェクトの感知、トラッキング。

  3. デジタル世界が物理世界に介入するための作動装置
  4. ロボット・ドローン等の遠隔操縦機。

  5. 人工知能(AI)
  6. デジタル世界の頭脳。機械学習、コンピュータビジョン、音声認識や音声処理等により、現実世界のオブジェクトやプロセスを理解、自律的に決定する。

  7. ビッグデータ
  8. デジタル世界の記憶装置。

Weingärtner博士は、デジタル世界は物理世界よりも距離や時間の問題の克服が容易であり、さらにいろいろなモノが容易く複製できることから、今後数年の間に物理世界を凌駕する可能性もあると指摘しているが、同時に、本物と架空のものを区別することも難しくなるという課題を抱えることになると警告している。

そして、そのような課題を解決する手段として、改ざんが不可能なブロックチェーン技術がデジタル世界と物理世界を結ぶ基盤となるだろうと述べている。

スマートコントラクト、トークンの重要性も

また、ブロックチェーン技術を支える不可欠な要素として、スマートコントラクトとトークンの果たす役割についても説明している。

スマートコントラクトについては、ブロックチェーン上で情報処理するために不可欠な要素であり、分散化された恒久的なデータ保存手段であるブロックチェーンを「自立型のチューリングマシーン」とする助けとなると表現している。そして、トークン作成の基盤となるのが、スマートコントラクトである。

この報告書では、トークンの重要性を重ねて強調しているが、現在トークンを作成するための最も重要なプラットフォームとして「イーサリアム」を挙げている。

著者はその理由として、プログラミング言語の持つ可能性と、それを支える大規模なコミュニティ、実用的な実装、および既存のコード例の豊富さを挙げている。

さらに報告書では、ブロックチェーンとモノのインターネット(IoT)の関係について、現在ブロックチェーンは、ビジネスモデルなどの価値創造やデータ分析とデータストレージといった上層のレベルで貢献しているが、将来はネットワークやデバイスレベルにまで及ぶとし、次のようなユースケースが例として取り上げられている。

  • サプライチェーン管理
  • レンタル等のシェアリングエコノミーの促進
  • データの取引・収益化
  • IDとネットワーク管理
  • 機械同士のコミュニケーション・契約による自動化
 

しかし課題は残る。報告書では、 IoTセンサーやネットワークの不正操作や、ブロックチェーンへ情報を送る時点での操作などへの懸念が提起された。

そこで、AIとブロックチェーン技術をうまく組み合わせることで問題の解決を図る研究について、最も注目されるものとして、次のような例を挙げて説明している。

  • データの民主化
  • ブロックチェーンによるデータ市場の創造と収益化、自分のデータの使用・管理権限を取り戻す。

  • データの信憑性
  • 正当なデータとフェイクの区別。

  • AIの判断の根拠を示す
  • どのようなデータを使用し、決断に至ったかの過程を明らかにする。

  • スマートコントラクトの監査と品質保証

この報告書の著者は、IT技術の進歩により、今までSFの世界のものとばかり思われてきた人間のデジタルツインが実現する日もそう遠い日ではないと述べている。

AIベースのパーソナルアシスタントは、簡単な予約などをこなし、フェイスブックが開発しているデジタルアバターは遠隔会議に出席を可能にしつつある。

そのような世界では、信頼が非常に重要な意味を持つことになると博士は強調する。それは、コンテンツへの信頼、アイデンティティへの信頼、所有権への信頼、信憑性への信頼、そして真実への信頼であるという。

ブロックチェーン技術はプロトコルレベルでこのような信頼を保証することを可能にし、トークンはより機能性を高めることで、プロトコルのアイデンティティと価値の側面を具体化し、かつデジタル世界での物理的資産となることでエコシステムの中の重要な役割を担うことになると報告書はまとめている。

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