- Binance米進出の実現
- 仮想通貨取引所Binanceは米国市場に特化した取引所「Binance US」を設立することが判明。米財務省のFinCENに登録している送金業者との提携で実現する。
「Binance US」 バイナンスの米国進出
世界最大手仮想通貨取引所Binanceが米国市場に特化した取引所「Binance US」を設立する。「BAM」というサンフランシスコ本拠地の登録送金業者と提携で実現した。実際の日程は未定だが、Binanceはウォレットとマッチングエンジンの技術を提供し、米国における取引所の業務をBAM社が管理・運営するという。
Coindeskとの取材ではBinanceのCZ氏は以下のように述べている。
ついに、Binance USをローンチすることができる。この取引所を運営するのは、Binanceのパートナー企業であるBAMで、米規制コンプライアンスに準拠した上で米市場に取引サービスを提供する。
BAM(BAM Trading Services)は米財務省傘下のFinCEN(米金融犯罪取締ネットワーク)に登録されている送金業者で、カリフォルニア州での業務が可能となっている。そのためBinance USの業務はおそらく最初はカリフォルニア州のユーザーに限られる可能性もある。
米国進出の実現まで
今年4月にBinanceのCFOを務めるWei Zhou氏が世界経済の中心地である米国への事業進出を示唆していたため、実現すれば業界にとって大きな一歩となる。有価証券の問題も取り沙汰される米国で、どのように運営を行なっていくかにも注目したい。
バイナンスはこれまで、米国の不明確な仮想通貨規制を理由に米国ユーザーを対象にした取引サービス提供は行なっていない。まずは、ビットライセンスの制度があり、規制の厳しいニューヨーク州ではなく、カリフォルニア州などから事業を開始すると見られるが、これまで制限されていた米国居住者へのサービス提供にも変化が見られる可能性がある。
というのも、先日発表された同社の分散型取引所「Binance DEX」の利用制限国に米国も追加されていた点で、米SECの高官が「海外取引所に対しても取り締まることが可能だ」と発言するなど、規制準拠が強いられる状況がより鮮明になった背景があるためだ。
今回発表される「Binance US」は、この規制準拠の問題への対策とみることができ、利用ユーザーが多い米国への正式なプロセスを経た規模拡大に動くと見られる。
また、有価証券と取り扱い通貨には注目が集まりそうだ。米国の規制を遵守した形での取引サービス提供となるため、Binanceは有価証券に該当する可能性の低い仮想通貨銘柄のみを取り扱う可能性は高いとみられるが、実際に発表される通貨に多様性を富んだ銘柄が並んだ場合、有価証券の問題に関する市場不安を解消する一歩となる可能性がある。
直近1ヶ月以内でもBittrexやGate.ioなど米国で仮想通貨取引業を展開する複数の取引所が「米国の不明確な規制」を要因に、複数のアルト通貨を上場廃止にする旨を発表している。有価証券に該当する通貨の取り扱いに対する規制が明確化することは、通貨の流動性、延いては通貨価格に直結する問題であることから、その重要性も大きい。
サービス開始の日程は現状定かではないが、Binanceの事業展開がこれまで確実に進んできていることから、ユーザーやコミュニティからの期待がさらに高まっている。