バイナンスコイン(BNB)とは
バイナンスコイン(BNB)は、暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンス(グローバル版)が2017年に発行したトークン。正式にはコミュニティ主導の通貨にリニューアルする形で名称を「ビルドアンドビルド」にリブランディングした。一方、その後もバイナンスの取引手数料の割引を受けるために利用されている。
独自ブロックチェーンの名称もBNBチェーンに変更。BNBチェーンは、ブロックチェーンの「BNBスマートチェーン(BSC)」、L2ネットワークの「opBNB」、分散型ストレージネットワークの「BNB Greenfield」などから成る。
価格
- 現在価格(2025年7月29日時点):831.6ドル(約12万3,077円)
- 年初来騰落率(YTD):+18.77%
- 過去最高値(2025年7月):859.5ドル(約12万7,206円)
価格動向
24年6月:底堅い推移のビットコイン、ビルドアンドビルド(BNB)は3年ぶりに過去最高値を更新
25年7月:週明けにかけて仮想通貨反発、最高値更新のBNBは850ドルまで上昇
時価総額|関連銘柄
BNBの時価総額は2025年8月時点で約1,150億ドルで、「スマートコントラクト」セクターの中では2位に位置する。同セクターで1位のイーサリアム(ETH)は約5,450億ドル、以降はソラナ(SOL)が約1,020億ドルで続く。
主な出来事
- 2024年4月:BNBチェーンの収益指標、前四半期比70%増の成長を遂げる
- 2024年10月:バイナンス幹部が語る、日本の仮想通貨市場の課題・規制の取り組み・IPOの可能性【独自取材】
- 2025年5月:ヴァンエック、米国初BNB現物に連動するETFの申請書を提出
- 2025年7月:株価が6倍に 米CEAインダストリーズ、740億円でBNB財務戦略開始
- 2025年8月:バイナンス、スペイン大手銀行BBVAと提携
エコシステム支援組織
BNBチェーン財団:BNBチェーンにおける開発を支援する非営利組織。LinkedInによれば規模は51〜200人。BNBバーンに関する発表も担当している。
BNBチェーンイノベーション:BNBチェーンのインフラを開発している組織で、開発者や企業向けにツールを提供している。所在地はドバイで、LinkedInによれば規模は201〜500人。
トークンアロケーション

ビルドアンドビルド(当時はバイナンスコイン)のICOは2017年7月1日から同7月21日まで実施。ホワイトペーパーでは、最初に2億BNBを発行し、50%に相当する1億BNBをICO投資家、40%相当の8,000万BNBを創設者チーム、残り10%の2,000万BNBをエンジェル投資家に配分。
このうち創設者チーム分は1年ごとに5回に分け、20%の1,600万BNBずつリリース。
バイナンス共同創設者のチャンポン・ジャオ(CZ)氏は、BNB流通量の64%(8,900万枚)を所有していると度々報じられており。2025年7月時点に推定BNB保有額は約758億ドル(約11.7兆円)に到達。
なお、BNBは主に「四半期ごとに価格と生成ブロック数に基づいた数量」がバーン(焼却)される。発行上限が2億枚から最終的に1億枚まで削減する設計。市場供給が継続的に減少し、希少性が高まる構造である。
Total Value Locked(TVL)
Total Value Locked(TVL)は、DeFi(分散型金融)プラットフォームやプロトコルの価値を評価するための重要な指標の一つ。2025年7月時点、BNBチェーンのTVLは、約70.5億ドル。プロトコル別のTVLトップ3は以下の通り。
- Pancake Swap(19.2億ドル):トークンのスワップ、流動性提供、ファーミングに対応。CAKEを使ったステーキングや抽選機能もある。
- Venus(19億ドル):仮想通貨を預けて利息を得たり、担保を使って他の通貨を借りられるレンディングプロトコル。ガバナンストークンとしてXVSを使用し、ステーブルコインVAIの発行にも対応。
- Lista DAO(17億ドル):仮想通貨を担保にステーブルコインlisUSDを発行できるプロトコル。利息収入を得ながら借入ができ、LISトークンでガバナンスに参加。
- 資金調達総額:約2,500万ドル
- 大規模な投資ラウンド:(2017年9月、1,000万ドル調達のシリーズA)
- 投資家:Sequoia Capital、
Black Hole Capital、Funcity Capital、Limitless Crypto Investments、Vertex Ventures - 実用性のあるユーティリティトークン
メガドロップやホルダー向けドロップなど報酬プログラムが活況、需要創出につながっている。 - 企業・機関投資家の注目増
上場企業がBNBを財務戦略に組み込む動きが見られ、VanEckによるBNB現物ETFの申請など、機関レベルでの関心が高まっている。 - デフレ設計による希少性
発行上限は2億枚から最終的に1億枚まで削減予定で、定期的なバーン(焼却)によって市場供給が継続的に減少し、希少性が高まる構造を持っている。
出資している主なVC
ビルドアンドビルドの将来性
ロードマップ
BNBチェーンは2025年にトランザクション遅延を0.1秒未満(サブセカンド化)に短縮し、1日1億トランザクション処理を目指す。AI統合、低レイテンシ処理、Megafuel(ガス代最適化機能)、AIコードコパイロット、Tokenizationサービス(資産トークン化ツール)を刷新。
期待される今後の動向
BNBが過去最高値を更新した背景には、単なる投機的な動きではなく、構造的な需要拡大要因がある。
関連:バイナンスコイン(BNB)の将来性・取引所比較、買い方を徹底解説
投資リスク、懸念材料
米証券取引委員会(SEC)は23年6月、バイナンスとCZ氏を提訴した。しかし、25年5月、SECはこの訴訟を取り下げ、証券法違反や顧客資金の不適切な取り扱いに関する規制リスクが軽減された。
また、これまでバイナンスは、米司法省や米商品先物取引委員会(CFTC)らと和解した経緯もある。
2023年のSEC提訴時には25%下落した例もあり、市場ボラティリティには注意が必要。バイナンスはコンプライアンス強化と米国市場でのサービス再開で対応を進めているが、将来的な規制変更や市場変動のリスクはゼロとは言い切れない。