AIやメタバースなど含む「Web4」を提唱
欧州委員会は、「Web4」とメタバースなど仮想世界に関して戦略を立てていく見込みだ。EURACTIVが6日、このイニシアチブに関する初期段階の草案を入手して報じた。
現在、分散型ウェブとして、Web3という概念が台頭し始めたばかりだが、欧州委員会が提唱しているのは、さらにその先を行くと考えられる「Web4.0」というコンセプトだ。
欧州委員会はWeb4を、「ワールドワイドウェブの第4世代」であり、人工知能(AI)とアンビエント知能、モノのインターネット(IoT)、信頼できるブロックチェーン取引、仮想世界(VR)、拡張現実(AR)などを取り入れたものだと予想している。
AIも含め、ネットワークに接続可能な様々な技術を統合したものを想定していることが窺える。
なお、アンビエント知能(Ambient Intelligence)は、身の回りの環境に埋め込まれたデバイスやセンサーが、ユーザーのニーズなど把握し、自動的にサービスを提供することを指すものだ。
同委員会は、仮想世界については「3Dや拡張現実などのテクノロジーに基づいた没入型の環境で、さまざまな目的で物理世界とデジタル世界をリアルタイムで融合することを可能にする」ものだと定義している。
なお、仮想世界における資産のトークン化などについて規制当局が学ぶことも提案しているが、ブロックチェーンや暗号資産(仮想通貨)がこの「Web4」でどのような位置づけとなるのか、現時点で詳細は語られていなかった。
Web3とは
現状の中央集権体制のウェブをWeb2と定義し、ブロックチェーン等を用いて非中央集権型のネットワークを実現する試みを指す。代表的な特徴は、仮想通貨ウォレットを利用したdAppsへのアクセスなど、ブロックチェーンをはじめとする分散型ネットワークのユースケースがある。
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数々の取り組みを提案
欧州委員会は、「一般に開かれた高度に分散された技術」を推進していくとしている。プラットフォームやネットワーク間の相互運用性などを可能にし、持続可能性を技術開発の中心に据えていくとも付け加えている。
さらに、2023年第3四半期(7~10月)よりEU域外から高度なスキルを持つ専門家を誘致する取り組みが計画されているところだ。
また、Web4産業推進のために、「仮想世界でのパートナーシップ(Partnership on Virtual Worlds)」というプログラムを提案。これは、仮想世界のための産業および技術ロードマップの開発を目指すもので、2025年に開始される可能性があるとしている。
仮想世界とWeb4に関して、企業が新しいテクノロジーや革新的なビジネスモデルをテストできるような制度や環境を提供することも提案した。
EU加盟国と協力して、関連する規制枠組みを策定する必要性にも触れた。
メタバースのガイドライン
また、欧州委員会は、知的財産の所有者がメタバースでどのように権利を行使できるかに関してのガイドライン提供を目指して、こうした新技術のビジネスチャンスやハードルを分析。偽造品と戦うための方法についても調査を開始する予定だ。
メタバースについては、ビッグテック企業が、ユーザーを独占的なシステムに囲い込んでしまう可能性についても懸念があると指摘。仮想世界の相互運用性を確保するために、標準開発組織と連携することも約束した。
メタバースとは
インターネット上に構築された、多人数参加型の3次元仮想現実世界のこと。アバターを使い、様々な楽しみ方ができる。例えば、『The Sandbox』というゲーム内のメタバースでは、ボクセルアート制作ツールやゲーム制作ツールが提供されており、ユーザーはそのなかで自作のゲームや施設を作ることができる。
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