- 価格下落に伴うマイニング収益の減少
- 米国の独立系調査会社が、現在のビットコイン価格と独自のマイニングモデルによる概算結果を照らし合わせ、現在ビットコインはマイニングによる採算が釣り合わないほど価格が低下していると指摘しました。
- マイニングコストから考えるビットコイン価格
- かつて2015年1月にも、ビットコイン価格とマイニングコストが均衡する時期がありました。多くのマイナーが3000〜4000ドルにまで価格が下落した付近から自機の稼働を停止し始めるだろうと見積もられています。
- マイニング市場における中国の圧倒的な存在感
- 中国では、水力発電により得られる安価な電気代を用いることで、他国より収益性の高いマイニングのビジネスモデルを構築しています。
ビットコインの価格はじりじりと下落 を続け、3/16現在、8000ドル付近まで価格が落ち込みました。
とある概算によれば、ビットコインの現在の価格はマイニング収益が得られないほど下落が続いていると伝えられています。
米国の独立系調査会社であるFundstrat社のThomas Lee氏は、現在のビットコイン価格とマイニングコストの見積もりを照らし合わせ、
我々のデータサイエンスチームが開発したマイニングモデルの概算によれば、ビットコインは現在マイニングによる採算が釣り合わないほど価格が低下していると考えられます。
と述べています。
Fundstrat社の手掛けるマイニングモデルでは、以下の3点、 (1)装置にかかるコスト、(2)電力代、(3)マイニング機器冷却装置の維持コストをはじめとした諸経費 について考慮されています。
ビットコインの価格は現在8000ドル付近まで下落を続け、マイニングコストとの釣り合いを考慮しなければならない水準まで達しました。
直近の最安値は2/8に記録した7676ドルであり、この水準まで価格が下落すると、マイナーはいよいよ厳しい戦いを強いられるかもしれません。
マイニングコストから考えるビットコイン価格
ビットコインは、複雑な数値計算を高性能のコンピュータによって行うことで「マイニング」されます。
マイナーはコンピュータを用いて計算を一番早く解き、その報酬としてビットコインを得ることができます。
もし仮に、ビットコインのマイニングに要するコストがマイニング報酬を上回ると、理論的にはマイナーがインセンティブを失うことになります。
今日のビットコインマイニングには、100〜数1000ドルの費用を要するマイニング専用ハードウェアが必要不可欠です。
また、他の技術と同様、より効率の良いマイニング機器が日々リリースされ続けています。
Fundstrat社のモデルによれば、マイニング機器の継続的な買い替えに要する費用はマイニング全般にかかるコストの約半分を占めていると、同社は分析しています。
同モデルでは電力代を6セント/kWhであると仮定し、その他の費用を併せるとマイニングコストは現在のビットコイン価格である8000ドル付近に到達すると概算されました。
マイナーの3月の収益は、ハッシュレートから計算すると2017年12月に比べ約半分にまで落ち込むだろうとCryptoCompare社CEOのCharlie Hayter氏は述べています。
また、送金の際に徴収される取引手数料もマイナーの収入源の一つとなっていますが、こちらも12月下旬に1トランザクションあたり34ドルだった手数料が今では50セントにまで落ち込んでしまいました。
しかし、各国の電気代が異なるためにビットコインのマイニングコストは事業者により大きく異なります。
ビットコインマイニングの主要市場である中国では、水力発電による非常に安価な電力を使用することができます。
Fundstrat社のモデルでは、電気代として平均6セント/kWhの電力消費レートを仮定していますが、中国のマイナーと競合するためには大雑把な計算で4セント/kWh以下での運用が必要だと言います。
よって中国のマイナーはコストに関係なくビットコインマイニングによる利益を得ることができ、Blockchain社のデータによれば、全世界における「ビットコインのマイニングプール」トップ5のうち4つの会社が中国に存在しています。
多くのマイナーの装置稼働停止は、ビットコインの価格が3000から4000ドルにまで下落した付近から始まるだろうとFundstrat社のアナリストは述べています。
同氏は、ビットコインの価格が200ドル程度であった2015年1月頃も、マイニングコストと報酬が均衡する水準に達したことを指摘しています。
Bad news for bitcoin miners: It’s no longer profitable to create the cryptocurrency, by one estimate
Evelyn Cheng, March 15, 2018
参考記事はこちらから
CoinPostの考察
実際に、マイニングについて収益表を作成してみました。
参考のディフィカルティや価格平均の計算はcoinwarzを元にざっくりした計算になっています。
また、管理費や送料など細かいコストなどは加味していません。
上画像は2018/3/16時点での収益表、下画像は2017/12/01時点での収益表です。
12月にいたっては、ビットコインマイニングの月利で40%近くも出ていたのがわかります。
しかし、3月16日現在の利回りは8.91%になっています。
CryptoCompare社CEOのCharlie Hayter氏は12月から3月で半分になると予想しましたが、半分どころか、4分の1以下になってしまっています。
とはいえ、銀行の定期預金などに比べると、相変わらずの月利であることが一目でわかります。
参考までに、2018/3/16のディフィカルティで、20万円までビットコインが下落した場合の利回りは下図のようになります。
ビットコインキャッシュも同じように下落すると仮定し、算出してみました。
中国の電気代の場合は20万円まで下落に耐えられそうですが、日本の場合は難しいと思われます。
参考までに日本の一般家庭の電気代である1kw/hあたり20円で計算してみました。
ギリギリの水準と言っていい数字になっています。