はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用 WebX
CoinPostで今最も読まれています

SECの「ビットコインETF」肯定派クリプト・ママ、仮想通貨トークンが有価証券に該当するかどうかの判断基準に言及

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

仮想通貨トークンは証券に該当するのか
SECのHester Peirce氏が米ミズーリ大で講演を行い、「投資契約」ではなく、機能中のネットワーク使用のために販売されたトークンは、証券法の適用外となると定義した。

仮想通貨トークンは証券に該当するのか

ビットコインETF肯定派として知られる「クリプト・ママ」(Crypto Mom)Hester Peirce氏は、規制当局であるアメリカ証券取引委員会(SEC)のコミッショナーという立場にありながらも、仮想通貨に対する過度の規制に苦言を呈し、新たな技術革新を阻害することのない、公平でバランスのとれた規制の重要性を主張し続けている。 

そのPeirce氏が、2月8日、米ミズーリ大学法科大学院で、「最適化された規制の原則」について講演を行った。

自身を「ATM機の中に閉じ込められ、メモで助けを求めた修理業者」になぞらえ、公正な仮想通貨規制の枠組み作りには、規制する側とイノベーターや起業家との対話が不可欠であり、規制当局側の技術に対する理解を深めるためにも、仮想通貨業界の現場からのインプットによる助けを必要としていると述べた。

その中で、Peirce氏は、仮想通貨やICOにおけるトークンが、SECが管轄している「有価証券」に該当するかどうかの判断基準について言及し、詳しく説明した。 

さらに、既存の規制、特に70年前に投資契約(=証券)か否かを判断する基準となったアメリカ最高裁のHoweyテストの、仮想通貨に対する適用には特に注意を要し、その提供範囲が広すぎることを危惧していると述べている。

Howeyテスト基準

Howeyテストは、SEC企業金融部門を統括するBill Hinman氏が、昨年6月、ビットコインならびにイーサリアムが、その分散化された性質により「証券に該当しない」と発表し、仮想通貨規制に明確なガイドラインを示す中で言及されたもので、現在、SECが有価証券かどうかを判断する際の基準になっている。 

次のような基準で評価される。

  • 金銭を投資していること
  • 投資先から利益を得る期待があること
  • 単体企業に対する投資であること
  • 利益は、第三者であるプロモーターの努力に由来すること

ここで特に問題となるのは、トークンが「投資契約」として販売されたかどうかで、ICOプロジェクトに対する資金集めのために、投資家へトークンという「証券」を売った場合は、当然、既存の証券法が適用される。

Peirce氏は、「投資契約」としてではなく、機能しているネットワークで「使用するため」に販売されたトークンは、証券法の適用外となると定義した。

しかし、証券の提供が行われたかどうかは、実際に販売された品目の性質(Howey判例の場合、果樹園の土地=ICOにおけるトークン)だけではなく、その取引の性質(果樹園運営企業の利益の分配供与)により、判断されるため、証券として販売されたのち、その取引の性質が変化した結果、証券法の適用が適切でなくなるケースも考えられるという。

「ネットワークが真に分散化した場合、必要な開示を行うための発行者またはプロモーターを特定できるかどうかの重要性は低下する」ため、トークンの販売は、証券法の対象にはならないと、Peirce氏は指摘する。 

さらに、トークンの販売や提供が持つ分散型の性質、つまり、トークンのエコシステムにおいて、特定の企業体ではなく、マイニングや開発努力の提供などで複数の個人が果たす役割を考慮すると、従来の証券法の範疇に収まらない可能性が高く、合法的なプロジェクトさえも現行の証券法によって、中止に追い込まれるケースもあると警鐘を鳴らした。

その例として、プロジェクトのためのチームのビジョンを考慮すると、証券法に遵守するのが困難であるため、運営を取りやめ、1億3300万ドルの資金を投資家に返還したBasisプロジェクトの例を挙げている。

法改正の影響も

一方で、法の改正により、このようなHowey基準の適用から、一部のデジタル資産を除外しようとする動きも報告している。 

証券法を改正し、トークンが真に分権化されたネットワークで運営されている場合、そのデジタル資産を別個の資産クラスとして扱えるようにする法案が、アメリカ下院に提出されたと言う。

しかし、SECに求められているトークンが「有価証券」であるかどうかを明確にするという課題と密接に関連しているのは、トークンが取引されるプラットフォームをどのように規制すべきかという問題だとPeirce氏は言及している。 

一部の取引所の登録に関しては、早急に前進させたいとする一方で、仮想通貨プラットフォーム特有の機能により、従来の証券取引所とは異なる面もあるため、規制当局であるSECが、プラットフォーム関する理解を深める必要があると強調した。

適切に行動すれば、投資家の保護、資本形成の促進、公正で秩序のある効率的な市場の確保など、証券法の目的を損なうことなく、この新しい分野の革新を進めることができる。

Peirce氏は、仮想通貨の規制に対して、あくまでも前向きな姿勢を貫いているようだ。

CoinPostの関連記事

米SECの仮想通貨締め付けを痛烈批判、『クリプト・ママ』が考える規制当局のあり方とは
アメリカSECのコミッショナーの1人で、仮想通貨界隈から「クリプト・ママ」と呼ばれるHester Peirce氏が米国のカンファレンスに登壇。新技術の過度な規制でイノベーションを妨げるべきではないと呼びかけた。
仮想通貨の有価証券問題を巡り米SECと初の裁判へ 企業の仮想通貨利用を左右する重要事例に|その重要性を解説
メッセージアプリ「Kik」を提供するKik社が独自発行した仮想通貨プロジェクトの有価証券性を巡って米SECと裁判での抗戦も辞さない姿勢を示した。本件の判断次第では、有価証券性に大きな前例ができる可能性があり、今後の仮想通貨市場に最注目の裁判となるだろう。
CoinPostのLINE@

スマートフォンへの「プッシュ通知」で、相場に影響を及ぼす重要ニュースをいち早く知らせてくれる「LINE@」の登録はこちら。大好評につき、登録者12,000名突破。

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
12/02 火曜日
18:36
AIがスマートコントラクト脆弱性6億9000万円分を発見 防御活用にも期待=レポート
Anthropicの研究で、AIエージェントがスマートコントラクト脆弱性6億9000万円分を発見。2025年3月以降の34件で460万ドル相当の攻撃に成功し、新たに2件のゼロデイ脆弱性も発見。攻撃収益は1.3カ月ごとに倍増しており、防御活用が急務に。
17:42
FRBが3年半にわたる量的引き締め(QT)終了、仮想通貨市場に流動性改善の可能性
米FRBが12月1日、3年半にわたる量的引き締め(QT)を終了した。約2.4兆ドル規模の資産縮小後、仮想通貨市場への流動性改善が期待される。2019年QT終了時はビットコインが短期下落後に上昇した経緯があるが、専門家は政策効果の遅延やインフレ動向など不確実性に慎重な見方も示している。
16:04
走行映像でGARコインを還元 ドラレコアプリ「セトラス」が地方創生DXモデルを始動
セトラスが市民のドラレコ映像を行政業務に活用し、専用暗号通貨「GARコイン」で報酬を還元する地方創生モデルを発表。実証実験に参加する自治体を3枠限定で募集している。
13:55
コインベースへの情報開示請求が過去最多の1.2万件、欧米で協力要請急増 実態判明
コインベースが2025年透明性レポートを公開し、60カ国以上から12,716件の情報開示請求を受領し、前年比19%増加となったと報告した。米国の件数がトップだが、米国外からの請求は53%を占め前年比2%増加した。
13:15
米FDIC、ステーブルコイン規制「ジーニアス法」運用規則案を12月下旬に公表予定
米FDIC代行議長がステーブルコイン規制「ジーニアス法」の運用規則案を今月に公表する予定だと表明。トークン化預金や仮想通貨業界のデバンキング問題についても対処を説明した。
12:29
カルシ、ソラナ上で予測市場トークン化を開始 仮想通貨の流動性取り込みへ
米予測市場カルシがソラナ上で予測市場契約のトークン化を開始。オンチェーン取引により匿名性が向上し、開発者のサードパーティ構築も可能に。評価額110億ドル、約3500市場を運営する同社は仮想通貨ユーザーの流動性獲得を目指す。
12:00
金価格に合わせて動く仮想通貨とは?市場の広がりとこれから
金(ゴールド)トークン市場が急成長。パクソス(PAXG)・テザーゴールド(XAUt)の時価総額・取引量、金価格の見通し、国内発行の金連動型仮想通貨ジパングコイン(ZPG)を解説。デジタルゴールド投資の最新動向。
11:00
米トランプ政権の仮想通貨特命官サックス氏、利益相反報道を否定
米トランプ政権のAI・仮想通貨特命官デビッド・サックス氏がNYタイムズの利益相反報道を否定した。名誉毀損専門の法律事務所に対応を依頼し、倫理規定遵守を主張している。
10:40
ゴールドマンがイノベーター買収、ビットコイン連動ETFも取得で仮想通貨事業拡大
ゴールドマン・サックスがETF大手イノベーターを20億ドルで買収すると発表した。買収にはビットコイン連動ファンドQBFも含まれ、ゴールドマンの仮想通貨関連商品ラインアップが拡大。
10:14
リップル、シンガポールでライセンス範囲拡大 XRPとRLUSDによる決済事業を強化
リップルがシンガポール金融管理局から主要決済機関ライセンスの拡大承認を取得。XRPとRLUSDを活用した決済サービスを強化。アジア太平洋地域のオンチェーン活動は前年比70%増で、同地域での事業拡大を加速。
10:02
ビットコイン100万円幅急落、yETH流出事故で大規模清算|仮想NISHI
ビットコインは軟調な推移が続いている。1日には一時8万5,000ドルを割り込み、日本円ベースでも24時間比で100万円超の下落となった。背景には、イーサリアムが「フサカ・アップデート」を目前に控えロングポジションが積み上がる一方、Yearn FinanceでyETHの流出事故が発生し、ロングポジションの清算が連鎖したことがある。
09:20
リミックスポイント、12億円規模のWeb3関連事業投資を中止へ
リミックスポイントは、事前に予定していた12億円規模のWeb3関連事業投資の中止を決定。仮想通貨ビットコイン購入以外の調達資金使途を変更した。
08:40
ハッキング被害から3.7億円相当回収、ヤーン・ファイナンス
ヤーン・ファイナンスがyETH関連のハッキングで盗まれた資産のうち約240万ドル相当を回収した。回収作業は継続中で被害者への返還を予定している。
07:35
mNAV1倍割れでも「最後の手段」に、ストラテジーがビットコイン清算条件を明示
ストラテジー社のフォンレCEOがビットコイン売却の具体的条件を初めて明言した。株価が保有資産を下回り資金調達が不可能になれば売却も選択肢の1つとなる。
07:05
ストラテジー、約2240億円の米ドル準備金を確保
ストラテジー社は、優先株の配当と負債の利子の支払いのために約2,240億円の米ドル準備金を確保したことを発表。目的を説明し、仮想通貨ビットコインの買い増しも報告した。
通貨データ
グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧