- Parity社、イーサリアムのサポートよりPolkadot優先か
- ブロックチェーン技術を提供するParity社の社員が、イーサリアムへの支援よりPolkadot優先を公然と認める発言をしたことがコミュニティ内で非難を集めている。一方でParity社も正当性を主張した。
イーサリアムのサポートよりPolkadot優先か
Parity社は、Gethと並ぶイーサリアムのブロックチェーン・ノードを提供していることで知られる。
GitHubのParity-Ethereumのスレッド上で、Parity社のエンジニアが次のように発言して、コミュニティから非難された。
イーサリアムのクライアントを出来るだけ良いものにしたいのは勿論だ。しかし単純に、コミュニティ内には、その仕事を進んで引き受ける人が(そしてその能力がある人が)少なくなっている。
Parity社内部の人員をparity-ehereumシステムにただ投入することによっては問題を解決できない。善意を示し続けるという以外のインセンティブが、ほとんどないのだ。
Parity社のフラッグシップ・プロジェクトはPolkadotであって、こちらではない。残念ながら「ワープの修正・交換」のような抜本的な変更を行うためのリソースがないのが現状である。
Polkadotは、仮想通貨同士の相互運用性を意図したプラットフォームとして計画されている。
緊急時の問題
Parity社がサポートを低下させてしまうことで考えられるのは、安全装置の問題がある。イーサリアムには現在Parity社とGethの2種類のブロックチェーン・ノードが存在している。
仮にGethだけになったとしても、プラットフォームの活動をスムーズに実行させていくためには充分だ。だが、ソフトウェア障害の場合に、どちらか一方が機能しなくなっても、もう一方が安全装置として働くことは大きい。
実際に、2016年にイーサリアムが上海アタックとして知られるDoS攻撃を受けた時の事例がある。スパム取引によって、Gethで実行されていたノードの速度が極端に遅くなってしまった際に、Parity社経由でノードが起動され、問題が解決した。
Parity社も正当性を主張
コミュニティ内でのParity社への批判が高まっている理由の背景には、1月にイーサリアム財団から500万ドル(約5億3600万円)の助成金がParity社に提供されたこともある。だが、Parity社側も正当性を主張している。
同社の広報部長Peter Mauric氏は一連のツイートで、この助成金はETH2アップグレード内での、Ewasmおよびシャーディングの実装に対するものであり、Parity社の現在のイーサリアム・クライアントに関する作業に対するものではないことを指摘した。
さらにイーサリアムParityブロックチェーン・ノードの長期的なメンテナンスについては、今回の助成金の対象外で、イーサリアム財団から一度も資金提供を受けていないという。
「イーサリアムのクライアント維持は、これまで主に無料の作業に依存してきた。長期的には、コミュニティが開発者や研究者を継続的にサポートするための持続可能なモデルを見つけるのを支援したいと考えている」と、同氏はメンテナンスが、無償の作業に依存している状態についても言及した。
この問題を解決するためには、コミュニティによる財政支援も選択肢の一つだと応じる関係者も見られている。