ウォールマートがブロックチェーンを実導入
大手小売企業ウォルマート・カナダが、ブロックチェーンによって自動化された貨物追跡・決済システムを採用することを発表した。
大量の在庫を処理する際のブロックチェーンテクノロジーの効率性に注目したという。
システムはブロックチェーン企業のDLT Labs社と共同で開発され、ユーザーが配達を自動的に追跡し、取引を検証し、支払いと会計調整を処理することを可能にする。
ネットワークは関連企業が使っている既存のシステムと接続され、すべてのサプライチェーンと物流データをリアルタイムで管理、統合、同期し、ウォルマートカナダとその関連企業間でデータを共有することができるようになる。
プレスリリースによると、小売・物流業界におけるブロックチェーン技術の適用については長い間議論されてきたが、今回は最初の大規模な実装事例となるようだ。
共有された安全な台帳上でデータの共有、保管、高度な監査を可能にするブロックチェーン技術の持つ特性を活かしたもので、最高レベルのセキュリティを満たしているという。
ブロックチェーンを採用する主な利点
ブロックチェーンを物流・決済システムに採用する主な利点としては以下のことが挙げられている。
データの把握と整合性
分散リポジトリは、情報を共有し、ワークフローと計算を自動化することで信頼性と透明性を高め、手作業を最小限に抑えて精度を高める。
システムの効率性
迅速な応答、改善された追跡とトレース、早期問題検出など。
トランザクション時間短縮
ビジネスルールと取引をリアルタイムで統合整理して請求書を作成し、待ち時間を短縮、決済を高速化。
紛争解決
関係者すべてが、出荷、請求書発行、決済という複雑なプロセスを管理できる。何か問題が起きた時の紛争や協議に費やされる時間を最小限に抑えることができる。
予算や事業計画を効率的に
正確なリアルタイムデータを使用して、分析と予測モデリングを強化。
ウォルマートカナダの上級副社長であるJohn Bayliss氏は今回の貨物追跡・決済システムの発表に際し、以下のように発言した。
ブロックチェーンは、サプライチェーン内での迅速な支払い、大幅なコスト削減、およびその他の利点により、当社のスマートな輸送ネットワークにおける重要な進歩を可能にする。
さらに、効率性改善によって、私たちが環境フットプリントを削減し、環境の持続可能性におけるリーダーシップを継続するための強力なプラットフォームともなる
米ウォルマートの最新動向 独自仮想通貨も計画
米ウォルマートは、ブロックチェーンをベースとした、ドローン(無人航空機)による管理システムの特許も米国特許商標庁へ申請していることが先日報道された。
同社はすでに、ドローンによる配達システムの特許を取得しており、それに続く形での特許申請となった。
また、独自の仮想通貨ステーブルコインの開発を進めていることも明らかにしている。
銀行口座を持たない低所得者が米ドルなどにペッグされた独自のステーブルコインを通して、より大衆的な機関(ウォルマート)で財産を管理することを可能にするのが狙いの一つである。