ビットコインの二大アップグレード
長期に渡って期待されてきたビットコイン(BTC)のアップグレード「タップルート(Taproot)」とシュノア署名の準備完了が、間近に迫っていることが分かった。
ビットコインコア開発者Pieter Wuille氏が提案したタップルートとシュノア署名のアップグレードは現在、エコシステム上でフィードバックを受ける段階まで移行。開発者が変更を提案・検証しているという。
シュノア署名:単独の受信者の場合、全てのトランザクションの署名を一つにまとめることが可能で、署名データサイズを削減できる技術。特許の失効を受け、ビットコイン導入検討が提案されている。
タップルート:ブロックチェーン上における全トランザクションの見え方を均一にし、区別できないようにしてプライバシーを強化する技術。2018年1月にビットコインコア開発者Greg Maxwell氏が提唱した。
タップルートの実装は、シュノア署名へのアップグレードが前提となっている。BTCの取引では現在、トランザクションごとに署名が必要だが、シュノア署名の技術が導入されると、単独の受信者の場合、全てのトランザクションの署名を1つにまとめることが可能になる。それによってブロック内の署名データサイズを縮小でき、スケーラビリティの改善につながる技術だ。
Wuille氏は19年12月に、タップルートの最後のレビューミーティングで1つのアップデートを発表。そのアップデートに対する開発者のレビューが終了に近づいており、実装の準備完了が迫っていることを明かしている。
ビットコイン決済企業「Square Crypto」のプロダクトマネージャーは、本アップグレードは、取引手数料を30%から75%削減し、ブロックの認証速度を最大2.5倍向上するように設計されていると説明した。
アップグレードに対する期待
今回のアップグレードには、仮想通貨のエコシステムの様々な方面から注目が集まっている。TheBlockの最近の調査でも、技術開発として注目が高いことが分かっているという。
TheBlockは100を超える投資家、アナリスト、企業幹部らに調査を実施。詳しい結果は今後発表される。その調査でタップルートとシュノア署名へのアップグレードは、2020年に注目するトピックの3位にランクインした。
ビットコインコア開発者のJimmy Song氏は、タップルートは手数料やブロックスペースの節約だけでなく、新機能の開発を可能にするため、さらに関心が高まると予想している。
本アップグレードは次の段階として、ネットワークでの稼働をどのように開始するかを議論する予定。Wuille氏は「準備が順調に進めば、どのエコシステムがアップグレードを行うかが明確になる。どのようにアクティベートするかを話し合って、条件等がまとまれば実装に移る」と語っている。
BTCの今後のアップグレード
BTCは2年以上、合意形成に基づいたソフトフォークやハードフォークが行われていない。最後のアップグレードは2017年8月に行われたSegWitの実装だ。SegWitは、スケーラビリティ問題とトランザクション展性というBTCの重大な課題の改善につながる技術。今年に入り、SegWit対応のトランザクションの割合が遂に66%に達したことが明らかになった。
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一方で、2020年に入り、BTCのコミュニティはアップグレードに対し、多くの提案を行っている。具体的には、タップルートに似た機能でBTCのスマートコントラクトの効率性と柔軟性を向上させる「Graftroot」。また、ネットワークのピーク時の混雑緩和や手数料の安定を目指し、トランザクションを2つに分割する「OP_CHECKTEMPLATEVERIFY」などがある。
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