はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用 WebX
CoinPostで今最も読まれています

ハイパーインフレに苦しむベネズエラ、仮想通貨普及率「世界3位」に=チェイナリシス評価

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

仮想通貨普及率3位

ブロックチェーン分析会社チェイナリシス(Chainalysis)が、独自の評価基準により、南米ベネズエラが、ウクライナとロシアに次いで、世界で最も仮想通貨の普及率が高い国だと報告した。その背景には、国民の政府に対する根強い不信と、ハイパーインフレにより機能不全に陥った法定通貨「ボリバル」があるようだ。

マドゥロ政権と仮想通貨

ベネズエラ政府は、2018年2月、国家として世界初となる仮想通貨「ペトロ」(Petro)を発行した。マドゥロ大統領は、ペトロは同国の埋蔵原油に裏付けられていると主張、「金融封鎖を克服し、金融取引を行うための貨幣主権を強化する」ことが目的だと述べた。これに対し、同年3月、米トランプ大統領は米国のベネズエラに対する経済制裁を回避するものだとして、ペトロを禁止する大統領令に署名している。

独自仮想通貨の発行とともに、マドゥロ政権は国内の7つの仮想通貨取引所に運営許可を与えたが、その主な目的はペトロを世界の仮想通貨市場へ流通させることだったようだ。なお、これらの取引所ではペトロに限定されることなく、ビットコインをはじめとする主要仮想通貨も取り扱っている。

政府による仮想通貨取引所の承認は、国内の仮想通貨普及を支えているとも考えられるが、チェイナリシスは、州所有の取引所「Criptolago」のオンチェーン取引データの分析から、異なる現実を描き出した。

送金額から見えてくるユーザー

Criptolagoの取引量は昨年8月から今年7月の1年間で13倍となり、大きく成長したようだ。しかし、取引額1,000米ドルのラインで取引を分けて分析してみると、一般市民が多く利用しているとは考えづらいことがわかった。

出典:Criptolago

Criptolagoの1ヶ月の取引件数は1,000件以下にとどまっているが、取引の75%以上が1,000ドル以上の取引となっている。ベネズエラの一人当たりの平均収入は1日あたり72セント、1ヶ月でも23ドル相当であるため、1ヶ月1000ドルの送金ができる層は限定的だ。

CriptolagoはベネズエラのZulia州の所有で、最高経営責任者は同州のOmar Prieto知事であり、マドゥロ大統領の盟友でもあるという。チェイナリシスは、主にマドゥロ政権に関係する個人が、ベネズエラ国外への資金移動を目的としてこの取引所を利用している可能性を、ベネズエラの専門家の話として伝えている。

関連ベネズエラ軍、315台のビットコイン採掘機器を押収

仮想通貨の普及を牽引するのは

取引所を介する仮想通貨取引が限定的であるとすると、何がベネズエラを普及率世界3位に押し上げているのだろうか。

チェイナリシスは、活発な個人間の仮想通貨取引がベネズエラの高普及率を支えていると指摘している。特にP2Pによる仮想通貨取引所大手のローカルビットコイン(LocalBitcoins)での取引量が群を抜いており、ベネズエラは米ドルでの取引量はアメリカ、ロシアに次いで世界3位だという。さらに、インターネットのユーザー数と国民一人当たりの購買力平価を考慮に入れると、世界2位となるという。

仮想通貨データサイトのUsefulTulipsによると、昨年1年間のローカルビットコインにおけるボリバル建のビットコイン取引高は約2億4200万ドル(258億円相当)であるのに対し、前出のCriptolagoの取引高は38万ドル(約4000万円)に過ぎない。

2018年に170万%、昨年は大幅に鈍化したものの7000%超というハイパーインフレにより、食料や日用品、医薬品に至るまで、深刻な物資不足に悩まされているベネズエラでは、法定通貨の切り下げも行われており、貯蓄の価値を維持するためにも仮想通貨が広く利用されているようだ。

国内での使用に加えて、海外からの送金手段に仮想通貨が選ばれることも多い。ベネズエラでは長引く経済危機により500万人を超える市民が、新たな転機を求め国外へ逃れている。そして受け入れ先の国で生活の糧を得た後は、送金することで自国に残った家族や友人を支えるが、その際、銀行口座を開設せずとも、迅速に安い手数料で国外への送金可能な仮想通貨が重要な役割を果たすことになる。

仮想通貨の受け入れ体制も整う

一方、ベネズエラ国内では、仮想通貨による支払いの受け入れも進んでいるようだ。5月にはパナマに拠点を置く仮想通貨支払いポータル「Cryptobuyer」がベネズエラの小売店向け決済企業「Mega Soft」と提携を発表、2万店に及ぶ店舗で仮想通貨の受け入れが始まった。

ビットコインをはじめ、イーサリアム、ビットコインキャッシュ、ライトコイン、ダッシュ、DAI、USDCで支払える以下のようなビジネスも増えてきているようだ。

  • ベネズエラ最大のデパート「Traki」
  • 医薬品・食品チェーン「FarMarket」
  • オンラインスーパー「Que Mantequilla」
  • 輸入品オンラインストア「Mi Mercado Express」
  • 食料品オンラインストア「Delivery Venezuela」

その他、ファーストフードチェーンのバーガーキングやサブウェイでも仮想通貨が利用できる。

仮想通貨普及率世界3位というチェイナリシスの評価を裏付ける大きな変化がベネズエラで起こっているようだ。

参考:Chainalysis Blog

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
05:35
トランプ大統領、バイナンス創業者CZ氏を恩赦 米国市場復帰の可能性
トランプ大統領がバイナンス創業者CZ氏に恩赦を与えた。ホワイトハウスはバイデン政権による「仮想通貨への戦い」が終わったと声明を発表し、バイナンスの米国市場本格復帰への道が開かれる可能性がある。
10/23 木曜日
20:48
野村系レーザーデジタル、投資ファンドをSeiブロックチェーンでトークン化 
野村傘下レーザーデジタルのファンドがセイ上でトークン化。カイオ経由でブラックロックやブレバン・ハワードなどグローバル大手と並ぶ機関投資家向けRWA商品として展開。
16:54
クオンタムソリューションズ、イーサリアム保有量で国内上場企業トップ
東京上場のクオンタムソリューションズが7日間で2365ETHを取得した。アーク・インベスト創業者ウッド氏も支持を表明。
15:32
ポリマーケット、米大手スポーツベッティングと提携 予測市場インフラ提供へ
予測市場大手ポリマーケットが米スポーツベッティング大手ドラフトキングスの清算機関に指定。競合カルシとの競争激化の中、B2C市場に加えB2B事業で新たな収益源を確保。NY証取の親会社から20億ドルの投資も受け事業拡大を加速。
15:17
アーサーヘイズのビットコイン100万ドル予想、高市政権の積極財政は市場の起爆剤になり得るか?
BitMEX創業者アーサー・ヘイズ氏が、高市新政権の物価高対策によりビットコイン価格が100万ドル(約1.5億円)に達すると予測した。同氏は景気刺激策の推進が、日銀の量的緩和(QE)への転換につながると見ている。
15:11
ルミス米上院議員、仮想通貨アプリを後押しするオープンバンキング規則設立求める
米ルミス上院議員がCFPBにオープンバンキング規則の策定を要請した。銀行口座と仮想通貨取引所を接続するAPI活用で迅速な送金を目指す。大手銀行の反対姿勢も指摘した。
14:50
リミックスポイント、株式希薄化を伴わない仮想通貨購入方針を決議
株式会社リミックスポイントは10月23日、2026年6月まで株式発行による暗号資産購入を行わない方針を決議。今後は手元資金等を活用し、既存株主への希薄化を回避する。
11:57
ビットコインは弱含みで推移、米コインベースとロビンフッドにBNB上場へ
ビットコインは10万8000ドル台で弱含みの推移。米大手取引所CoinbaseとRobinhoodが相次いでBNB上場を発表し、規制環境の変化を示す歴史的な動きとして注目を集めている。一方、トランプ関税ショックで巨額利益を上げた大口投資家が再び大規模なショートポジションを構築しており、市場は警戒感を強めている。
11:15
米民主党議員ら、トランプ政権中東特使に仮想通貨開示要求 利益相反を指摘
米民主党議員らがウィトコフ中東特使に保有する仮想通貨などについて情報提供を求めた。トランプ一族のWLFI関連で利益相反の可能性を指摘している。
10:45
ハイパーリキッド・ストラテジーズ、最大約1500億円調達をSECに提出 HYPEトークン購入含む
ナスダック上場のハイパーリキッド・ストラテジーズが最大10億ドル(約1,500億円)の資金調達を目指すS-1をSECに提出した。HYPEトークン購入を含む。7月設立後、早くも大規模増資計画。
10:30
計2600億円超相当のBTC、LuBian関連のウォレットから移動
計2600億円超相当の仮想通貨ビットコインが、マイニングプールLuBianに関連するウォレットから移動。トランザクションは4つに分けられて別々のアドレスに送金されている。
10:16
「ビットコインにとって2025年のゴールド高騰は好材料」Bitwise
Bitwiseは、ゴールドの価格上昇は仮想通貨ビットコインにとって好材料であるとの見方を示した。ゴールドの価格上昇の要因や市況を分析した上で、ビットコインにも同様のことが起きうると予測している。
10/22 水曜日
20:18
ソラナ(SOL)現物ETF、香港で初承認 10月27日取引開始
香港証券監督委員会がアジア初となるソラナ現物ETFを承認。ChinaAMC運用(香港)で10月27日取引開始。ビットコイン、イーサリアムに続く3番目の仮想通貨ETFとして、米国市場に先駆けた上場となる。
16:39
仮想通貨取引、米国で前年比50%増 トランプ効果鮮明に=2025上半期報告
TRMラボの最新報告書によると、トランプ政権下で米国の仮想通貨取引高が50%増の1兆ドル超に。日本は普及ランキング9位に上昇。ステーブルコインは前年比83%増で過去最高を記録。
16:30
注目の仮想通貨AI関連銘柄10選を網羅的に解説【2025年最新】
2024年注目のAI関連仮想通貨を10銘柄、時価総額・価格・年初来高騰率とともに解説。SUI、NEAR、TAOなど、AIとブロックチェーンを融合した主要プロジェクトの特徴について網羅的に紹介。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧