CoinPostで今最も読まれています

リップルX幹部が語る日本市場の重要性、SEC裁判やIPOの可能性にも言及|WebX2024インタビュー

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

RippleX幹部を取材

RippleXのシニア・バイス・プレジデントを務めるマルクス・インファンガー氏は、8月28日と29日に開催されたWebXカンファレンスへの登壇と合わせ、CoinPostの取材に応じた。

RippleXは、「XRPレジャー(XRPL)」のブロックチェーンに対する米リップル社の貢献を監督する組織だ。インファンガー氏の役割は、プロダクトの開発、パートナーシップの締結、開発者エコシステムの発展を管理することである。

インファンガー氏は複数の金融機関で20年以上に渡り、チームを主導する役割を務めた経験を持ち、現在はメタバース・AI(人工知能)技術企業Futureverseの取締役会にも所属している。

取材内容

ステーブルコイン

まず、独自ステーブルコインの開発について質問すると、インファンガー氏は「ステーブルコインは、リップル社における3つの主要プロダクトの1つ」と語った。

そして、「リップル社のステーブルコインは年内の遠くない時期にローンチする予定だ」と説明。なお、他の2つの主要プロダクトは決済とカストディのソリューションだとした。

同氏は「ステーブルコインは普及が進んでおり、それは今後数年間も変わらないだろう」と予測。その上で「ステーブルコインの開発はリップル社にとって重要な事業であり、発行は事業における自然の流れだ」と語った。

一方、現時点ですでに「USDT」や「USDC」などのステーブルコインが広く普及している。リップル社の優位性を聞くとインファンガー氏は最初に「リザーブの管理などでコンプライアンスを一番に考え、機関レベルであること」を挙げた。

そして「同社のステーブルコインはXRPとともに、決済取引を増やし、拡張性を高め、必要な機能を提供し、率先して使用されるようになるだろう」と自信を見せている。

他にも「XRPLには非常に大きな開発者コミュニティがある」と優位性を主張。「すでに、高品質なステーブルコインを望む声が聞かれている」と説明した。

そして「リップル社のステーブルコインは、XRPLやDeFi(分散型金融)の世界のコミュニティに、すばらしいチャンスを提供できると信じている」と語っている。

RWA

2024年のブロックチェーン領域のトレンドとされるRWA(現実資産)については「リップル社は取り組みを強化している」と説明した。

最初に重要な取り組みとして挙げたのは、法定通貨のトークン化である独自ステーブルコインの事業。「高品質なステーブルコインを開発するためにパートナーシップにも注力している」と語っている。

RWAについては他にも、英国でデジタル資産取引所として初めて認可されたArchaxとパートナーシップを締結したことを報告。「両社は協業して、XRPLにトークン化されたRWAを展開できるようにしていく」と話した。

関連英国初のデジタルトークン取引所がライセンス獲得

また、RWA向けプラットフォームOpenEdenとのパートナーシップにも言及。「この協業では、XRPL上でトークン化した米財務省短期証券(T-bill)を提供する」と述べている。

関連XRPLでOpenEdenが米短期証券をトークン化 リップル社も14億円投資へ

インファンガー氏は「他にも数週間後そして数カ月後にはさらなる発表を行う予定である」と説明。そして「トークン化の革命はまだ始まったばかりだ」と語った。

対SEC裁判

米証券取引委員会(SEC)との裁判について聞くとインファンガー氏は「我々の立場からすると、SECとの裁判はすでにリップル社の勝利と認識している。双方が重要視するあらゆる問題で勝利したと考えている」と答えた。そして「XRP自体は有価証券ではないという判決が最も重要だった」と話している。

同氏は、「判決の内容はリップル社やXRPだけでなく、暗号資産(仮想通貨)全体にとって重要である」と主張。そして、「イノベーションを促進する仮想通貨業界でコインベースらの裁判が多く続いていることを残念に思う」と語った。

インファンガー氏は、「リップル社の事業はグローバルに展開されており、XRPL上の大半の活動は米国外で行われている」と説明している。一方で、「仮想通貨業界にとって米国が重要なマーケットであると我々は今後も考える」として、「これからも関係当局らと協業し続けていく」と述べた。

なお、インファンガー氏は「提供するソリューションが規制に準拠するように、創業初日から何年も規制当局と関わりを持っている」と主張している。「世界の規制当局とコミュニケーションをとるために政策チームがあり、実際に多くのライセンスを取得している」と語った。

そして「関わりを持ってきたことについてはSECも同様だ」と指摘。裁判で争ったSECとも様々な項目について議論していたと話した。

インファンガー氏は「インターネット技術の発展を見ればわかるように、米国は何十年もの間、世界をリードしてきた」と述べた。「現在は仮想通貨政策も重要で、業界は政府が無視できない規模になっており、米国でどちらの党が政権を握っても、建設的な方向に進んで欲しい」とも語っている。

関連24年米大統領選挙、仮想通貨市場への影響は トランプ氏らの政策や動向まとめ

IPO

リップル社については以前から、株式上場(IPO)に注目が集まっている。例えば、同社のブラッド・ガーリングハウスCEOが21年5月、大型カンファレンス「コンセンサス」で「SECとの裁判が落ち着いてからIPOを検討する」と話していた。

関連米リップル社CEOがコンセンサスに登壇「株式上場はSEC訴訟が落ち着いてから」

一方、インファンガー氏は今回「我々は幸運なことに、資金を得るためにIPOを行う必要は今はない。当社のバランスシート(貸借対照表)は非常に強い」と語った。そして、「IPOを急いで検討する必要はないと思っている」としている。

また、IPOをSECが監督していることにも言及。そして「対SEC裁判の判決が8月に出たばかりのタイミングでIPOを行うのは適切かどうか疑問だ」と語った。

一方で「適切なタイミングが来れば、我々はIPOに対してはオープンだ」とも話している。

日本コミュニティ

日本についてインファンガー氏は「リップル社、XRPL、XRPにとって、これまでもこれからも最も重要な市場の1つである」と語った。その理由の1つについて「日本はブロックチェーン・仮想通貨の技術を早くに受け入れており、XRPに関するルールなどが明確である。また、XRPの出来高が多い」と述べている。

他にもSBIとのパートナーシップを何年もかけて深化させていることや日韓ファンドを創設したことなどに言及し、「日本のXRPLのコミュニティは今後も発展していくだろう」と期待を示した。

関連:SBI北尾会長、「Web3時代に向けたグループの取り組み」について講演|WebX2024

関連リップル社のガーリングハウスCEOが来日、自民党の平議員と意見交換

グローバル事業

インファンガー氏は他にも、リップル社にとってAPAC(アジア太平洋地域)が重要な市場であるとも説明。過去の取り組みを通して「シンガポールでは決済に特化して事業を大きく展開している」と述べている。

他にも「韓国も重要な市場である」と言及。今回の取材を受けた翌週に「コミュニティと韓国でイベントを共催する予定だ」と話した。

その上で「これらの地域は、仮想通貨のイノベーションに重要であると考えている。今後も現地のコミュニティをサポートするため、投資を継続していく」と語った。

関連暗号資産XRPの買い方 リップル(Ripple)社との関係や将来性を解説

CoinPost App DL
注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
09/22 日曜日
12:00
仮想通貨(暗号資産)IEOによる所得の税金はどうなる?確定申告時のチェックポイント|Aerial Partners寄稿
暗号資産(仮想通貨)の損益計算サービス「Gtax」を提供する株式会社Aerial Partners所属の税理士が、IEO(Initial Exchange Offering)に関する煩雑な税金計算や確定申告に関してわかりやすく解説。国内最大手暗号資産(仮想通貨)メディアCoinPostに寄稿しました。
11:30
利下げサイクル突入でビットコインETFへの資金流入に注視したい|bitbankアナリスト寄稿
bitbankアナリストがビットコイン(BTC)相場を分析。FOMC明けの今週の対円相場は利下げサイクル突入でしっかりとした推移に。1BTC=64,000ドル〜65,000ドルエリアの上抜けに成功すれば、下降チャネル上限の上抜けも視野に入る。
11:00
週刊仮想通貨ニュース|米FRBが4年半ぶり利下げなど
今週は、米FRBの大幅利下げ、米国のドナルド・トランプ前大統領による仮想通貨ビットコイン決済、新経済連盟の税制改正提言に関するニュースが最も関心を集めた。
09/21 土曜日
13:10
大手仮想通貨取引所BingXにハッキング、60億円以上が流出 全額補償へ
大手仮想通貨取引所BingXが62億円規模のハッキング被害。全額補償を約束し、セキュリティ強化へ。最新の対応状況を解説。
11:25
「いちご・レジデンス・トークン」第5号販売開始と資産譲渡の発表
いちごオーナーズ株式会社は、デジタル不動産事業の一環として「いちご・レジデンス・トークン」第5号の販売を開始した。
09:55
米大統領選ハリス氏勝利で「ビットコインに限り」強気か=レポート
米大統領選の結果が仮想通貨市場に与える影響をVanEckが分析。ハリス氏勝利はビットコインに限って有利との見方も。
08:00
フランクリン・テンプルトン、ソラナ上で投資信託の立ち上げを計画
米フランクリン・テンプルトンは20日、ソラナの大型カンファレンス「Breakpoint 2024」で、ソラナブロックチェーン上で投資信託の立ち上げを計画していることを明かした。
07:25
ソラナ「ファイアダンサー」、初期版がローンチ
仮想通貨ソラナのバリデータ・クライアント「ファイアダンサー」の最初のバージョン「フランケンダンサー」がメインネットにローンチ。開発を主導するJumpの最高科学責任者がBreakpointで発表した。
06:52
米SEC、ブラックロック提供のビットコインETFのオプション取引を許可
米証券取引委員会(SEC)は20日、金融大手ブラックロックによるビットコイン現物ETFのオプション取引の上場申請を承認した。
06:30
米マイクロストラテジー、660億円相当のビットコインを買い増し
米マイクロストラテジーは20日に仮想通貨ビットコイン(BTC)をさらに追加購入したことを発表した。
09/20 金曜日
17:50
ソラナ「Breakpoint 2024」で注目のトピックは?
ソラナ(SOL)保有の個人投資家や機関投資家の注目を集める中、Solana Breakpoint(ソラナブレイクポイント)2024がシンガポールで開催される。Solana 2.0やFiredancerの進展など、新たな発表や進捗報告が期待される。
17:15
仮想通貨NEIRO(ねいろ)が注目される理由 ドージコイン後継を巡る競争
暗号資産(仮想通貨)「NEIRO(ねいろ)」は、ミームコイン市場で新たな注目を集めています。ドージコインの後継とされるトークンの乱立やバイナンス上場、供給集中問題について詳しく解説します。
14:56
米マイニング企業Hut8とBitmainが提携強化、次世代ASICマシン販売へ
米ナスダック上場の仮想通貨マイニング企業Hut 8は、ビットメイン社と提携して開発したビットコイン(BTC)の次世代ASICマイナー「U3S21EXPH」の発売を発表した。
14:29
イーサリアムの大型アップグレード「Pectra」 第1段階は2025年初頭に実施予定
イーサリアムの次期アップグレード「Pectra」が2段階で実施決定。第1段階は2025年初頭、8つのEIPを含む機能改善を予定。
12:41
ワールドコイン、アプリユーザー向けの顔認識技術を試験導入へ
ワールドコインが顔認識技術をWorld Appに導入。アプリ使用時のセキュリティ強化が目的だ。各国当局のプライバシー懸念も継続。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
イベント情報
一覧
重要指標
一覧
新着指標
一覧