SBI北尾会長の基調講演
CoinPost株式会社が企画・運営し、一般社団法人WebX実行委員会が主催する国際Web3カンファレンス「WebX」において、SBIホールディングスの北尾吉孝取締役会長が登壇。基調講演を行った。
北尾会長は講演の冒頭、「SBIグループは、顧客中心主義の徹底を掲げ、金融機関として急激な成長を遂げてきた」と言及し、顧客基盤や売上高の成長の軌跡を紹介した。
インターネット革命については、データ集中による不公正な競走の下で、ビッグテックが巨万の富を築いたと指摘。その点において、非中央集権型のWeb3のテクノロジーが出てきたと評価。Web3時代では、リアル(現実世界)と融合しつつ進化していくとした。
新しいビジネスチャンスが生まれると強調し、DAOの概念の金融における活用例としてDeFi(分散型金融)の市場規模にも触れた。
ブロックチェーン技術で実物の資産価値をトークン化するデジタル証券に関するトークンエコノミーの活用例についても紹介。
さらに、AI(人工知能)の発展については、より透明性・民主化していくだろうとの見解を示し、メタバース(仮想空間)市場は2022年に8兆円規模だが、2030年には123兆円規模になるとの情報通信白書の予測を引用した。
北尾会長は、「そうなれば、ブロックチェーン技術との融合で、製造業の在り方を根本から変える。格段に効率が良くなるはずだ。」との見方を示した。
ただ、新しいイノベーション普及のためには、制度改革や規制面を含めた事業環境の整備が必要不可欠とも言及。欧米諸国など世界各国でWeb3拡大に向けて体制整備が進められている中で、日本の立ち位置にも言及。
ビットコイン(BTC)および暗号資産(仮想通貨)関連政策の推進を表明する「ドナルド・トランプ氏の大統領復帰を望む」とした。
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Web3時代に向けたSBIの取り組み
SBIの取り組みについては、ベンチャーキャピタル(VC)投資基本戦略のプロセスについては、ずっと貫いてきたと主張。事業展開については、最大手マーケットメイカー(B2C2)が、グループに大きな収益をもたらしたと評価。
売却するとしたら1000億円も見込める。10倍以上の評価は下らないとの見解を示した。SBIは、このようにして優良な顧客基盤の拡大と商品拡充に注力してきた。
さらに、リップル社との提携については、さまざまな事例を紹介。米SEC(証券取引委員会)との裁判も終結に向かっているとの認識を示したほか、ステーブルコインUSDCを発行する米サークル社との提携についても、国内で唯一無二の3つのライセンスを保有していると主張した。いずれは日本円にも対応させたいとした。
デジタル証券(ST)については、大阪デジタルエクスチェンジについては、最初からグローバル規模を想定しているとしたほか、新たに提携発表した国内発のブロックチェーンゲーム特化型チェーンOasys(OAS)については、大きなプラットフォームを目指すとした。
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2025年4月から10月にかけて開催される日本国際博覧会(大阪・関西万博)では、SBIホールディングス株式会社が万博のオリジナルNFTの「ミャクーン!」を提供するほか、「EXPO2025デジタルウォレットサービス」を運用する。
EXPO2025デジタルウォレットサービスは、サーバー管理型のWeb2、ブロックチェーンのWeb3の管理手法を用いたデュアル方式のアプリ。SBT(ソウルバウンドトークン)型のNFTを活用して、万博機運醸成に資するパビリオン、外部事業者との連携を図るWeb3サービスを展開予定。
小会社で暗号資産交換業を営むSBI VCトレード株式会社とSBINFT株式会社と共同で提供する「ミャクーン!」は、万博公式キャラクターであるミャクミャクをモチーフとしたNFT(非代替性トークン)だ。リアル・バーチャル万博に参加することで、獲得できるNFTなどが用意される。