- 仮想通貨市場
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●ビットコインの上昇要因と、値動きのポイントを解説
●再来するアルトドレイン、アルトの厳冬は訪れるのか
金融市場と仮想通貨
14日の東京株式市場は、前日比55円安の2万1087円に。
ホルムズ海峡付近のオマーン湾で13日、日本企業が運行する「KOKUKA COURAGEOUS」を含む石油タンカー2隻が何者かに攻撃を受けたとされる事件を巡り、中東の地政学リスクが重しとなった。現時点では、攻撃者は不明とされている。
米政権がペルシャ湾付近にイランの脅威に対抗すべく原子力空母などを派遣する中、中東各国が使用する海上輸送の大動脈とされるホルムズ海峡で、米国や英国が主張するイランの関与(イランは否定)が取り沙汰されたことで、中東リスクの緊張が一気に高まった格好だ。
ニュースが報じられた直後に原油相場が急騰したが、万が一イランの国家的な関与が確定した場合は、米国との偶発的衝突など大きな政情不安につながるリスクが高い。原油の供給逼迫および原油価格高騰と、それによる世界の経済混乱をもたらした1980年の「オイルショック」の再来も警戒されている。
ビットコインテクニカル分析
14日時点で88万円台にあったビットコイン(BTC)は、日本時間16日2時付近で96万円台まで回復した。
下降チャネルを完全に抜け出し、調整局面から脱したと言える。現時点で考えられる上昇要因と、値動きのポイントを解説したい。
上昇要因1:テクニカル面
5月31日に9,000ドルの節目から10万円幅の急落を合図に調整局面へと突入したビットコイン(BTC)。その3日前の5月28日にJVCEAの要請を受け、bitFlyerの証拠金取引倍率が1/4(15倍→4倍)まで低下したことも、様子見基調が強まり薄商いになれば大口も仕掛けやすくなることから、タイミング的に無関係ではないだろう。
最初の下落局面こそ、上目線の名残からリバウンドで急反発するも、5日時点では上昇分を打ち消すようにしてさらに大幅下落、7500ドルの80.6万円(①)を付ける場面もあった。5末の天井から、20万円弱の大幅調整である。
ところが、この後に大方の予想に反し、下値を切り上げ続けることになる。
ポイントは②の部分で、多くの投資家目線が下に傾くなか、3度目の下方トライをブレイクしなかったことだ。トリプルボトムでは徐々に下値を切り上げており、10日夜に抵抗線(紫)を力強くブレイクしたことで悲観的な雰囲気が一変。フラットに戻ったと言える。
4度目に下値を探りに行くリターンムーブが、ペナント上限で止まった(③)ことも大きい。89.5万円の鬼門で跳ね返された時も、大勢の想定よりも押しが浅く(④)、ショート増加しているにも関わらず、価格が上昇していることで、需給面でもロング優勢に変化しつつある。
当面は年初来高値の更新(⑦)と、下落した場合に⑥付近でレジサポ転換するかどうかに注目だろう。ここを支持線にできれば一段高が見込めるほか、9000ドルを超えれば、10,000ドル(108.5万円)の心理的節目に向かって大幅続伸することも十分考えられる。
ただし、大台達成後に一服感で10万幅以上急落するリスクもあるので注意したい。逆に最大の節目で意識される急落さえなければ、回転組を置き去りにして、振い落としを挟みつつ青天井に上昇していくシナリオもあり得る。
上昇要因2:逆をいかれた大衆心理
海外アナリストを含め、セオリーでは6000〜7000ドル、あるいはそれ以下のプルバックを予想する投資家が多く、大衆心理が下目線にあったことでショートが溜まりつつあった。
finexのLS比率を確認すると、5月の最難関レジスタンスと日足三尊(成立の可能性)を意識したであろう、新規売り建てが急増したことで、14〜15日を境にロングとショートポジションの再逆転も見受けられる。
さらに、世界最大の仮想通貨デリバティブ取引所であるBitMEXでも、ビットコイン(BTC)の断続的なショートカバーを確認できる。
先ほど掲載したチャートでも、レジスタンス(黄)を抜けた辺りで急騰しており、ショートスクイーズ(踏み上げ)でロスカットが上昇を後押ししたと言えそうだ。
すでに年初来高値(99万円)更新は射程圏内にあり、1万ドル(108.5万円)の大台も現実味を帯びてきた。国内最大手bitFlyerでは、16日10時時点で3.5%ほどプラス乖離にある。これがSFD基準に迫る4.5%を超えてきた場合は警戒が必要だろう。
上昇要因3:ファンダメンタルズ面
6月の株式市場は、利下げ懸念の後退などから反騰を見せてはいるものの、依然として予断を許さない状況にはある。
長期化する米中貿易戦争に伴うリセッション懸念に加え、先述したタンカー攻撃による中東リスクや、香港の大規模デモでも世界経済や米中関係に影響を及ぼすような”地政学リスク”が再び急上昇しており、世界株式市場や為替(法定通貨)も先行き不透明感が強まっている。このため、アルト利確時の資金も、法定通貨やUSDTなどのステーブルコインに戻す動きよりも、ビットコイン(BTC)に移動している側面も否めない。
そんな中、ビットコインドミナンス(占有率)が再び上昇し、アルトドレインが発生している。
2ヶ月間右肩上がりの相場が続いていた時価総額7位に位置するBNB(バイナンスコイン)は、仮想通貨取引所バイナンスより発表された米国のアクセス制限、いわゆる「バイナンス・ショック」を受け、一時10%以上の反落を記録。USDT建て32ドルまで価格を落とした。
BTCとBNBの騰落率の差が鮮明になった要因として、バイナンスが先日、米国ユーザーへのサービス提供を9月12日より停止する発表を行なった事実にある。有価証券問題などが背景にあるとされ、Bittrexなどでも同様のサービス制限発表が相次いでいる。
これは、米規制に遵守した「Binance US」を設立するために、まずはBinance.comの米法準拠を行うとの見解もあるものの、ユーザーを多く抱えるバイナンスで、米国在住者のアクセス制限が行われた場合、アルトコインへの流動性に一時的に大きな影響が出るとの懸念が生じた格好だ。
Binance USは、BAMというサンフランシスコ本拠地の登録送金業者と提携することで運営を行なっていくとされるが、現時点では開設時期が明言されておらず、アクセスの制限の影響が織り込まれるまでは、ドミナンスの変化にも着目すべきと言えるだろう。バイナンスコインや、昨年有価証券問題で揺れたリップル(XRP)などはアルト強弱の指標になりやすく、米国外からも関心が高まっている。
なお、出来高の影響としては、493銘柄を取り扱うバイナンスの取引高の2〜3割を米国ユーザーが占めているとされるが、米大手仮想通貨メディアThe Blockのリサーチでは、過去6ヵ月のバイナンスのアクセスにおいて、3000万ユーザーが米国から流入したものであり、実際の取引高比率はバイナンスの5割も占めているとの分析結果もある。
一時的な売り圧力に過ぎないとの指摘もあるが、海外の著名アナリストAlex Krugerは、「アルトコインの厳冬がくる。ビットコイン(BTC)と主要アルトコインにとっては吉報だ」との見解を示し、メジャーアルトにはネガティブだとしている。
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