- IFA株式会社取締役 桂城漢大氏インタビュー(前編)
- ローンチされたばかりのAIre VOICEと、それに続くMINE、SHAREのサービス、それらを統合する次世代型銀行の「BRIDGE」。AIreサービスの全容について、IFA株式会社 取締役 桂城漢大氏に語っていただいた。
IFA株式会社取締役 桂城漢大氏インタビュー(前編)
僕は今23歳なんですが、ビットコインが始まりでした。大学の授業で何かをプレゼンすることになり、何か題材がないかフラフラしていた時にビットコインの雑誌があって。たまたま手に取って調べて行ったら、これは面白いなって感じで。
それから海外留学して色んなところを周るうちに、何かフェアな世界が実現できたらいいな、と思い始めて。
正直、留学していた時はすっかりブロックチェーンの事を忘れていたのですが、何か面白いものはないかな、とアンテナを立てていたところに、代表の水倉に会いまして、その頃から水倉はブロックチェーンで何かをしたいという漠然とした思いはあったようでしたので、話を聞いてなるほどやはり面白いな、と。
それでバイトからさせてもらい始めたのが2年位前ですね。そこから構想を練って行ってAIreと言うものが自分の中で完成したのが去年の2月でしょうか。今はどのように形にして、どうやって人を魅了するかに注力してるところです。
構想は出来てきて、プロダクトが1個ローンチされ、ようやくスタートしたのが現在です。
AIre VOICE(アイレヴォイス) という、3月4日にローンチさせて頂いたものは、まず今はオウンドメディアみたいなものになっているのですが、本来メディアと言うものはユーザーに力があるべきのものだと考えています。
世論を形成しているのは本来は人々だったはずなんですけど、それを纏めている人達、編集する人達が力を持ってしまった。上手にマネタイズ出来てしまったからなのですが。ただ、それによって世論がナチュラルなものではなく、人工的なものになってしまった。
自分がメディア出身だからどうのこうのと言う話ではないですが、「それって凄く理不尽だな」と感じてたんです。だったらそれをテクノロジーを使って、もう一度ユーザーに主権を戻す事が出来るんであれば、面白い試みだよね、と。そこから始まったのがAIre VOICEです。
今ローンチしたばかりなので1.0と呼んでいるのですが、これからどんどん実装して行くことで、まだ裏側に実はブロックチェーン自体は入っていないんですけど、3.0位でチェーンを入れて行って、ユーザーがどういう行動を取ったのか、他人が評価をしたものや、逆に評価した側もスコアリング出来るようにして行く。
VOICEは、思想であったり体験であったり表現力、コミュニティ力を計る場。それがまずプロジェクトの1つですね。
その次に自分たちが出そうと思っているのは、AIre MINEです。MINEの「私の」と言う意味にマイニングのマイン(MINE) を掛けています。
仮想通貨のマイニングをするのか、と言われるとそうではなくて、今よく言われる自身の個人情報のデータをどう自身で管理して、どう自身で発掘して行って、自身のニーズやポテンシャルにどう気付くか。
ライフプラニングみたいなものをイメージして頂ければ分かり易いでしょうか。それを行っていくのが MINEになって行く。そこで自分が欲しい情報、自分が気になっているもの、自分が好きなもの自分が向いているものを可視化してスコアリングする。
そのスコアリングも他の企業で採用されているような一方的なスコアリングシステムのようにはしたくなくて。
僕自身、様々な個人情報の討論会に参加してメンバーの方々とお話しする中で、「あれって本来はあるべき姿じゃないんだよね。あれは企業がやりやすいようになっている形で、それは決してユーザーが求めているものじゃない。でもユーザーはそこを知らないから使うんだよね。それしかないから使うんだよね。」って話になるんですよ。
それならユーザーが気持ちよく、自分達が主権を持っているんだという、その位の感覚で使えるスコアリングシステムにしたいな、と。
例えば、誰かが自分のスコアリングに文句がある場合は、言って来て下さい、とする。例えばあなたは70点ですよ、でも100点まで短期で持って行きたいって言うんであれば、これをこうして行かなければあなたのパーソナルデータは伸びませんよ。という話が出来るみたいな。
人生というファジーなものを数値化してみるとより明確にできる、というのが MINEのゴールです。
履歴というのはたくさんの情報になるので、自分では管理出来なくなってきます。なので、自分達が目指すところはもう一つありまして、ちょうど情報銀行のような、ユーザーの一人一人のデータをこちら側で管理してあげるプロジェクトを考えています。
今迄の銀行の形とは違う、銀行は金融、お金の資産だけだったけどそこにデータって言うものも資産だよ、と載せるイメージです。
これをどうスコアリングと結びつけるかと言うと、スコアリングは履歴なので、今まで背景の無い人間にもポテンシャルを与える事が出来るものだと思っています。つまり、今の銀行の融資基準は今まで何かをアチーブして来た人しか評価されていません。
でもAIre VOICEやAIre MINEだったり、これはまだ検討中ですけども、もし仮に自身の考え方や行動パターンから、実はこういうポテンシャルあるんですよ、と言う風に数値化さえ出来さえすれば、例えば24歳の人間だったり1回失敗した人間だったり、そういう人たちにも チャンスを与える事が出来るんじゃないか。スタートアップにもよりきちんとした適正な融資を行う事が出来る。そういう銀行が必要になって来る。
そこを自分達でやりたい。それが実在型データ銀行と自分たちが打ち出しているもので。データスコアリングをどうやって押しつけではなく、双方向のやり取りでまず築いて行くか。
僕らは金融サイドからフォーカスして、まずはプッシュしてあげる。と言うのが自分達が掲げる次世代型銀行なんですよね。その次世代型銀行の名前は?と言うと、「BRIDGE(橋)」と名付けています。
デジタルの世界と現実の世界の橋だったり色んな人との繋がりだったり、未来の自分との懸け橋。そういうような色んなところに懸け橋ってワードが出てくるな、と思ってBRIDGEにしました。
そしてそのBRIDGEに、MINEだったりVOICEだったり、SHAREと言うプロダクトがどんどん統合されて行く。最終的にはデータベースに載っている全てで判断してあげる。
BRIDGEがその窓口になり、お客さんとの懸け橋になる。という世界を目指しています。
はい。ですがそれはリアルなものです。よくエコシステムを作るプロジェクトさんは何個もあるんですけども、非常にデジタルな世界だけに限られるんですよね。
それでは一般ユーザーにはリーチしない。確かにそういう人達がいないと基盤が出来ないので、自分達は使う事すら出来なくなるんですけども。ただそのフェーズは自分の中で終わって来てるのかな、どんどん淘汰されて来ている、と感じています。
次はどうユーザーに落とし込んで、ユーザーはどう感じる事が出来るか、どうブロックチェーンがあくまでもツールなんだと理解出来るか、と言う事だと思うんですよね。
リアルな世界に落とし込んで行くのが自分達の目指すリアルなエコシステム、経済圏です。それをやって行きたい。
ですよね、多分。今後それがキーワードになって行くのかな、と自分も思っています。やっとみんながそれを言い出した。
社内でみんなと話していたり、お客様とお話している時に、「ブロックチェーンが10年後はどうなっていると思いますか」と言う話をよくされるんですね。
その時自分が「誰も気にして無いんじゃないですか」と話すと、ブロックチェーンをしている側からすると、冷めてるな、って思われがちなんですけど、「いや実はそれがリアルなんですよ、インターネットもそうだったじゃないですか」って、1日に1回以上言っているんです。
インターネットは何なんだとか話さないじゃないですか。そこまで落とし込むのが自分達の使命だというお話をよくさせて頂いています。
SHAREに関しては、投資と言うものを「非中央集権化」したい、と思っています。
例えば、デューデリジェンスも1個の団体や1個の企業が責任持ってやっていますよ、と言う。でもそれってホントなのか?と。何を基準にしてるの?と。財務諸表を基準にしてます。って言われてもそれだけなのか?と、一般の1つの企業がやるとハテナが多いと思うんですよね。
これはかなり性善説ですが、例えばユーザーがVOICE上でプロジェクトを評価して、そのトータルの点数で投資判断するとか。自分の中では、今後、法人と言うハコは無くなって来るんだろうな、と思っています。
法律がある以上、法人というのは無くならないとは思うんですけど、それに縛られない人達がどんどん出て来る。そうなった時に、法人じゃないと資金調達難しいよね、と言う現状を打破するために生まれたのがICOだと思うんですけど、概念がディスラプト過ぎてルールが無いので、そのルールをシステムで落とし込んでみようと思っています。
投資家を保護し、プロジェクト側の責任を明確にした上で、責任とお金を結び付ける。ブテリンが提唱したDAICOと言う概念がありますが、あのDAICOの概念を何で誰もしないんだろう、と思っています。自分はそれを出来たら面白いな、と思っているんです。
今はICOが「悪」ってイメージになってると思いますけど、僕はICOの概念が結構好きなんですよ。ディスラプトじゃないですか。ちゃんとデューデリをみんなが行って、それこそ分散型でみんなで監視をして、プロジェクトが進んでるかどうかを判断して投資する。
プ―ルの蛇口を開いてあげるかどうかをユーザーが判断する。そうすればICOはもう悪いものではなくなる。法人で資金調達をやる必要もなくなりますし、プロジェクトベースで出来るようになると嬉しい人は多いんじゃないかな。
ただもちろん、KYCの話になって来るので、メンバーは誰かという提出義務は細かくやります。ただギチギチにやっても経済発展にならないと思うので、ある程度余裕を持たせてみるのが取り組みとしては面白いと考えています。
SHAREでは、最終的に、今STOだどうのこうの叫ばれてますけど、ICOだったりSTO、どんな呼び方でもいいと思いますが、それを促進して行けるような場になればお金を持っている人達が投資しやすくなったり、先ほど申し上げましたように、例えばスタートアップだったり若い人がより夢に近付きやすくなる。
非常に性善説を元にしたプラットフォームなんですが、それをやってみたい。SHAREに関してはファンディングにフォーカスしています。
それぞれ名前をつけたのにも理由がありまして、SHAREはお金や思いをSHAREする、そこから来てるんですね。MINEは先ほど申し上げましたように、自分のデータであったりそれを掘削して行くような作業になって行くのでMINE。
BRIDGEは懸け橋。VOICEは人々の声が世論を作って行く。人々の声が実は一番強いんだよ、と言う事でVOICEと名付けています。
はい。自分は、デューデリの責任を持つ人は必要だとは思うのですけど、理想としては、みんなが見た方がいいんじゃないの?と思っています。
STOになってしまうと一般投資家が参加出来ないガイドラインが出て来そうじゃないですか。それってセンス無いな、と思っていて。結局、頭でっかちな人達がまわすだけで、既存の利権を守りに行くでしょ、って思っちゃうんですよね。それが必要になって来る世界が来るのかな、と思っています。
壊したいわけじゃないんですよ、決して。自分達はディスラプターではないんですけど、どう先の世界を見据えて汚れ役に徹するか。どれだけ叩かれても信念があるから、一石を投じたいと言う思いですね。
インタビュー後編に続く