- IFA株式会社取締役 桂城漢大氏インタビュー【後編】
- 前編では、AIreサービスの全容について語ったIFA株式会社 取締役 桂城漢大氏。後編では、現在取り組むAIre MINEの話題に加え、今後の予定や2019年の目標、トークン論に言及した。
IFA株式会社取締役 桂城漢大氏インタビュー(後編)
インタビュー前編は、こちら。
BRIDGEに関しては、「ID管理」もやって行く予定でいます。
口座をIDと呼び、その履歴を残すのにタイムスタンプが必要になります。その中で、どのような行動をしたのか、改ざんされていないかを保持する為にブロックチェーンを使う。それが、私達の中での1つのソリューションとして考えています。
もしそれが現行のシステムでも出来るとなってしまうと、それはそれまでなのですが、ただブロックチェーンは絶対活用して行きたい。
なぜかと言うと、今後それは根幹システム、インフラになって行くと信じていますから。
あと、全部のデータベースを最終的にはオープンソースにしたい。弊社の掲げるアイデア、構造に他の企業さんも乗って来る事が可能になるでしょう。
データベース上に他企業さんが乗って来たらお互いのデータをやり取り出来ますし、そうするとそこにはマイクロペイメント(少額の金銭支払い手段)が発生してきます。それを自動的に出来たら面白いんじゃないか、と思っています。
それに、今言われているユーザーのデータ搾取という形からデータを売買する形になるので、それはそれで綺麗になりますよね。細かいところなんですけども、ブロックチェーンをやるからこうなります、ではなく、これをしたいからブロックチェーンを使います、と言うイメージです。
VOICEに関しても、ユーザーの行動であったり、その人がどういう記事をいいねにしたのか、それをちゃんとタイムスタンプに残したり。最終的には、VOICEをHR(人事部)にも活用していきたいと考えています。
人事が一番苦労するのは、その人の思想であったり、考えに対してだと思うので。
こういう部分は、今は分からないところじゃないですか。それを例えば、「あなたのVOICEを見せて下さい」と言われたら開示出来るようにする。
例えば、CoinPostさんに面接に行き、「あなたの今までの経歴を見せて下さい」と言われたら、自身のVOICEのアカウントを見せる。
すると、タイムスタンプで過去の履歴がずっと残っている。しかも、改ざんされてない。これは1つの証明書ですよね、と言う事が出来れば面白い。
MINEに関してはデータ。
SHAREに関しては、DAICOの概念を実証する為には、スマートコントラクトが絶対必要になって来るので、その為に使うと言う感じですね。
現在は「MINE」に取り組んでいて、保険の営業の方々から彼らのお客様のニーズを洗い出してるところです。そうすることで、リアルなお客様が何を求めているか分かる。
それをMINEに搭載してみて、アバターみたいな感じや〇〇でもいいのですが、こういうものが欲しい、と言われたらそれをすぐ出して差し上げる。まずそこからでいいと思っています。何かが欲しいと言う欲求は、顕在化されているニーズじゃないですか。その顕在化したニーズをどんどん貯めて行く。
もちろん対価は払った上でです。さらに、そこに基本情報を入れて行って頂く。例えば、結婚しているとか。
それ毎に、ごくごく少額の対価の支払いが出来ますよね。
顕在化のニーズと、基本情報を合わせた時に、今度は本人にも気が付いていない、潜在化されていたニーズが見えて来る。それを共有して、そこにダイレクトに商品だったり何かをアプローチする事が出来るようになる。
あとはツールの選定ですね。勿論、ブロックチェーンだけではないと思っていて。
DAG(有向非巡回グラフ)もそうですし、まだリリースしていないので詳しくお話出来ませんが、DAGをどう使うか、ブロックチェーンとDAGの互換性はまだ誰も試したり実装していないと思うので、それを試してみるのが、自分達としてのポジショニングの上では良いと思っています。
何でも試して、良いものを追求していく姿勢も示せますし。
今はDAGだったり、ハッシュグラフ(Hashgraph)が新しく出て来ていますが、「ハッシュグラフって何なんだろう?」と取り組んでいたりもします。
自分達の探求心を見失わず、燃え尽きることなく、とことんやります。そのような技術の選定も楽しんでやっていますね。私たちは技術のクリエイターではありません。ただ、エコシステムだったりビジネスのクリエイターなので、何を使うかはきちんと考え抜いて、明確に納得したものを使うつもりです。
いつかは。
会員登録、ユーザーさんが使える状態には最初の段階から想定して裏側では構築してあります。
今、自分(桂城氏)が中心で進め、経営企画の大坂がAIre VOICE(アイレヴォイス)のメディア立ち上げを進めると同時に、前述のとおり裏側のデータ構築も先読みしてやってくれています。
法務担当の阿部は、BRIDGEであったり銀行の構想であったり新しい仕組みを作るのが好きだとの事で、引き入れました。人材は欲しいですが、ただ人がいても、というところです。
今後、ブロックチェーン技術者のニーズは増えるじゃないですか。それと同時に、ブロックチェーン技術を理解しているビジネスサイドの人間も、追随して伸びて来ると思うんですよ。
自分達は今ここで早く着手して、これらの人材が高騰する前に引き入れて、本当に理解してる人達と何かを作りたい。ただ、それは結構難しい。
皆さん、ブロックチェーンの技術者だけに目が行ってるのですが、ビジネスサイドをやらないと作れても実装出来なかったら、ブロックチェーンはある意味”死んでしまう”のと同義と思うんですよ。技術を使う努力をしないといけない、と思っています。
外部の方とも行ったりもしますが、日本人と外国人、半々位ですね。
外国人はロシア人、フランス人、アメリカ人等です。
今選定しているのは、オープン型ブロックチェーンですね。オープンソースの。そしていずれ、独自ではないですがプライベートブロックチェーン。いつかは銀行の方を管理しなければいけないので。
それをオープンにするのも考えてはいますが、データを他のユーザーがどこまで見れるようにするか、が課題ですよね。データをどう半透明化するかが自分達の中では大きなミッションです。
反対側からはデータがあるのは見えるんです。ただ、何のデータなのか、どこに結び付いてるのかを分からないようにしなければいけない。暗号技術を正しく扱える人間がまずいるのかどうかが、大きな障壁で。
ゼロ知識証明がだんだんジーキャッシュやイーサリアムでも入って来ましたけど、そこでちょっと使われてるのでは、と感じているので楽観視しています。データの半透明化をどう実現して行くかが、次世代型銀行の構想では大事なところだと思います。
今後の2019年の目標
先ほど挙げさせて頂きました、各プロダクト、プロジェクトをまずは人目にさらせるようにしたいです。そして、自分達の認知度をまず高める。
そのファン、コミュニティを作って行って、サポーターをどんどん募って行きたいのが、2019年、目下の目標です。まず足並みを揃え、実際に触れて頂き、フィードバックを頂いて改善して行くのを今年出来れば嬉しいですね。
まずはギークの皆さんに、と言ったら変かもしれませんが、知見ある方々にまずは認めてもらう事ですね。コアなファンを見つける事が1つ。
それから今までこういったものに触れた事が無い人達に知って頂きたいですね。なので今、キャッチ―な絵とかを入れていたりしているのは、それが理由なんです。最終的にはパイを広げて行きたい。リテラシーを高めたい方がセカンドセグメントに来て頂ければいいな、と望んでいます。
第一はギークの方々、第二は意識が高めなアンテナを張ってる方々。そして最終的には一般の方々が流入して来て下されば。それに合わせてカテゴリーは増やして行こうと思っています。
今はブロックチェーンや情報銀行、データと言うセグメントでやっていますが、ユーザーが書くようになって来たらそんなカテゴリーはいらなくなるので、カテゴリーはもう何でもいい。
その為にはまず尖って攻めどころを1点集中でやって行きましょう、という事で現在のカテゴリーでやっています。
トークン発行については、トークンは最終的には自然淘汰されるべきだと思っています。暗号資産を弊社でも発行して良いのですが、どういう風に使われるのかが重要だと思います。なにで使えるのか。
ただボラティリティでどうのこうの、アービットラージで儲けました、みたいな人が出て来て欲しくはないですね。そうではなく通貨として発行するのであれば、その機能を持たせないと意味がない。
でしたら、皆さんがたくさん持っていて、かつボラティリティが少なく、小さく、どこでも使えるものが良いですよね。通貨って、ビットコインだったら出口が法定通貨に変えれる位なんですよね。
何か買おうとしてもなかなか買えるものが無かったり、遅かったり、価格変動してしまったりするので、自分達としてはどのようにして使える場を増やして行くか、と言うところです。
銀行の最終構想で、融資を法定通貨と暗号資産建てで上手くパーセンテージを分けてやるのは面白いと思っています。そこまでの状況になった頃には、暗号資産がある程度の社会的地位を獲得出来ていると予測していますから。
これは必要だと思います。
一方で最終的に、やはり駄目だね暗号資産は。だから法定通貨、デジタル通貨に変えてしまおう、となっている可能性もある。
でも、それはそれでいいとも思うんですよ。人間が行き着く先、ゴールはありますが、そこに到達するまでのプロセスで無駄な事は無いと思いますので。今私達にできることは、やれる事をまずやってみる。
手段は無いよりはある方が、少ないよりは多い方が良いですから。
まずは何でもやってみて、それで駄目だったら止めれば良いのではないかな、と。誰も答えなんて分からないので。
トークン発行は必要であれば弊社で発行することも想定していますが、ただそれはユーザーの皆さんが通貨としてちゃんと使えるものにならないと。自分達としては、どう使うかの場を増やしていくかが重要ですね。
インタビュー前編はこちら。