
金価格上昇を背景にXAUTが成長
最大手ステーブルコイン発行企業テザー社は28日、金(ゴールド)担保型ステーブルコインXAUTの裏付け資産についての監査済み証明書を発表した。
流通しているXAUTは、現在約246,500オンス、7.7トン以上のゴールドに裏付けられていると報告している。
XAUT1枚あたりの価格は28日時点で約3,120ドル、時価総額は7億7,000万ドル(約1,100億円)に達していた。
XAUTは、1対1で1オンスの純金に裏付けられており、このゴールドは、スイスの世界トップレベルの施設にある専用金庫に保管されている。
ゴールドを担保とするこのステーブルコインは、世界経済の不確実性に伴い貴金属価格が上昇する中で、価値が上昇しているところだ。
ステーブルコインとは
価格が常に安定している(stable)仮想通貨を指す。ステーブルコインは暗号資産の一種で、BTCやETH、XRPなど変動性のある資産とは異なり、米ドルなどに裏付けられその価値を保つことが目的だ。米ドルの裏付けによるステーブルコイン(USDT・USDC)のほか、アルゴリズムを利用するステーブルコインもある。
28日までのXAUT最高値は、4月21日の3,423ドル。この数字は、今年3月末から9.6%上昇している。
原資産である物理的なゴールドは、年初から約25%~30%急騰しており、過去5年間では100%上昇した。これが、ゴールドに連動するXAUTの価格にも反映されており、年初からでは約28%上昇しているところだ。
競合のPaxos Trust Companyが発行するパックスゴールド(PAXG)も同様の状況である。
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テザー社のパオロ・アルドイノCEOは、特に経済が不透明な時期に、価値保存手段としてのゴールドの強味は増すとして、次のようにコメントした。
XAUTによって、私たちはユーザーに、物理的なゴールドの安全性にデジタル形式でアクセスする手段を提供する。安全・容易に送金可能で、1対1で完全に裏付けられているものだ。
これは、伝統的な資産の長所とブロックチェーン技術の効率性を組み合わせた金融ツールを構築するという、私たちの幅広いコミットメントの一環である。
テザー社は、過去2年間でゴールドが大幅な上昇を記録しているのは、米ドル依存からの脱却を目指すBRICS諸国中央銀行による継続的なゴールド蓄積に支えられていると述べた。
BRICSとは
ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの5つの新興経済国を指す経済的なグループの名称。現在は、エジプト、エチオピア、イラン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦なども加盟している。
ワールド・ゴールド・カウンシルによると、世界のゴールド準備高は2024年末で37,755トン、2024年の中央銀行による純購入量は1,044.6トンだったことにも言及している。
こうしたゴールド蓄積は、特に新興国や発展途上国において、富を守る手段としてのゴールドの戦略的重要性を強化していることを示すと続けた。
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