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2025年世界仮想通貨浸透率ランキング、シンガポールと米国がリード 日本は47位=Bybitレポート 多様化する採用要因が明らかに

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

4つの柱で普及状況を相対的に比較

大手暗号資産(仮想通貨)取引所Bybitは、DLリサーチと共同執筆した2025年世界仮想通貨ランキングを発表した。79カ国を対象にした調査では、評価の基準として次の4つの柱における相対的なパフォーマンスが測定され、仮想通貨がどのように日常生活に浸透しつつあるかを明らかにしている。

  • ユーザー浸透度(30%):所有率や分散型インフラへの関与など、一般ユーザーにおける仮想通貨の普及度
  • 取引利用度(30%):決済、送金、貯蓄など、仮想通貨が現実の用途にどれほど利用されているか
  • 制度整備度(25%):採用を支える法律・制度的環境の明確さ、アクセスしやすさ、成熟度
  • 文化的浸透度 (15%):仮想通貨に対する一般の認知度、教育、感情

この指数は、ブロックチェーン分析、政策データベース、プラットフォーム利用状況、アクセス状況などの情報源から得た28の指標と92の基礎データポイントに基づいている。また、市場規模の大きさではなく、各国の経済規模、人口、所得格差などを標準化した「相対的採用度」に重点を置いた。

その結果、シンガポール(1位)と米国(2位)が、4つの柱すべてにおいてバランスの取れたパフォーマンスを示し、ランキングでトップに立った。一方、リトアニア(3位)やベトナム(10位)などの小規模な市場も、それぞれ特定の分野での強みを発揮した結果、上位にランクイン。リトアニアは規制の明確さとライセンス基盤、ベトナムは草の根レベルの採用率の高さと取引活動で高く評価された。

一方、ウクライナ(12位)とナイジェリア(18位)もランクインしている。その背景には、送金やステーブルコインの流入、不安定な環境下での日常生活での仮想通貨依存という「必要性に駆られた採用」があるとレポートは指摘した。

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上位20位にランクインした国と評価は以下の通り:

出典:Bybit

なお、日本は47位に留まった。ユーザー浸透度が0.14(最高値は1.00)と低いことも要因の一つと考えられる。ユーザー浸透度ではシンガポール(1.00)、アラブ首長国連邦(UAE:0.86)、ベトナム(0.70)などが特出している。

一人当たりのGDP別に見たパターン

レポートでは、一人当たりのGDPの観点から結果を分析し、行動要因に明確な二極化が見られると指摘した。

高所得国では、「投資・投機目的」が主流で、ユーザー数や制度・文化の浸透度が高い。一方、低・中所得国(ナイジェリア、ウクライナ、ベトナムなど)では経済的な必要性に根ざした「送金・決済・価値保存などの実用目的」が強く、実際の取引利用指標で大きくリードしている。

この違いにより、採用の要因として大きく二つの型が生まれている。

  • 投資主導型の採用:先進国に多く見られ、仮想通貨がポートフォリオ資産、投機対象、またはトークン化された金融商品のアクセス手段として扱われる傾向がある。
  • 実用主導型の採用:新興国で主流となっており、仮想通貨が価値の保存、送金、給与受取、銀行規制の回避など、日常的な金融ツールとして機能する。

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普及を牽引するステーブルコイン

世界で最も広く普及している仮想通貨として、レポートはステーブルコインを取り上げ、主に以下の4つの役割を果たしていると説明した。

  1. 政治的・経済的不安定時の安全資産
    ウクライナでは、戦時下の必要性からステーブルコインが生活に深く根付いている。
  2. 銀行や通貨規制の迂回手段
    ナイジェリアでは、国家主導の取り組みを大きく上回る形で、草の根レベルでの利用が広がっている。
  3. 複雑な市場における資本移動と取引効率の向上
    香港では、世界トップクラスのインフラと中国本土の摩擦をつなぐ橋渡し役となっている
  4. 金融商品への“入り口”として機能
    先進国および新興国で、ユーザーをDeFiプロトコル、中央集権型取引所、トークン化資産へつなぐ役割を果たしている

ステーブルコインは、このような多様な規制環境や経済状況に適応できる柔軟さを持っていることから、グローバルな仮想通貨エコシステムを支える構造的な柱となっていると、レポートは高く評価している。

実物資産のトークン化がもたらすチャンス

ステーブルコインの台頭と並行して、レポートは今後の仮想通貨の普及を促進するトレンドとして、実物資産(RWA)のトークン化を取り上げた。

2024年1月以降、ステーブルコインを除くRWAのオンチェーン価値は158億ドルから257億ドルへと63%以上増加し、資本市場がトークン化資産を本格的に取り入れ始めていると指摘。実際、シンガポールや香港といった先進的なハブでは、トークン化はパイロットプロジェクトから規制市場へと移行し、部分所有やブロックチェーンベースの決済を可能にしていると説明した。

また、米国では、トークン化された米国債、プライベートクレジット、主要企業証券の市場は急速に成長しており、世界中の投資家を引きつけ、このモデルが大規模に展開されても機能することを証明していると述べた。

トークン化の潮流は今後さらに広がる見通しで、米国をはじめとする制度整備度の高い国々がその先導役となる可能性が高いと見ている。これらの市場では、すでに試験運用段階から本格的な拡大へ移行するための法的枠組み、インフラ、制度的基盤が整えられている。レポートはその例として、リトアニアとカナダ、地域トークン化モデルを開発したフィリピンを挙げた。

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オンチェーン給与システム

もう一つの注目すべきトレンドとして、レポートは仮想通貨による給与支払い(オンチェーン給与)の拡大を取り上げている。

仮想通貨で給与の一部を受け取るプロフェッショナルの割合は、昨年の3%から今年は9.6%へと増加。その90%以上がステーブルコインで支払われている。

UAEやフィリピンなど送金やリモートワークが多い国では、ステーブルコインを使った給与支払いが増加しており、多くの人々にとって仮想通貨が日常の金融手段となりつつある。従来の送金の遅さや手数料を回避して、より速く安定した収入アクセスが可能になっている。

レポートは、オンチェーン給与の普及は、UAE・米国・シンガポール・香港など世界的な金融・テクノロジーハブと、フィリピン・ケニア・ブラジルなど、リモートワーカーが多くステーブルコイン需要が高い新興国の二つの方向で進むと予測している。前者では法的な明確性、強力なフィンテック基盤、高付加価値産業により、国内外の従業員へのオンチェーン給与が進展する。後者では、コルレス銀行に代わる低コストでコンプライアンスに準拠した代替手段となる。

2026年の展望

現地通貨に連動したステーブルコインの利用が拡大するにつれ、決済や送金の仕組みが改善される。その結果、トークン化資産やオンチェーン給与システムの拡大が促進されるとレポートは指摘。そして、現実世界でのユースケースが増えると、エコシステム全体を進展させる好循環が生まれると説明した。

レポートは2026年の展望を以下のようにまとめている。

この技術はもはや止めることができないことが証明されている。2026年までには、仮想通貨を自国経済に統合する国は地位を強化し、短期的にも経済的利益を得る一方で、規制を強化する国では採用が手の届かないところで進み続けるだろう。今後1年間で下される戦略的な選択が、急速に進化するデジタル経済における各国の立ち位置を決定する。

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