ビットコイン相場の推移
2025年、ビットコインは激動の1年を迎えた。
1月に仮想通貨に肯定的な第二次トランプ米政権が誕生したものの、4月には米中貿易摩擦に伴う乱高下を経験。10月には過去最高値を更新して126,000ドルを記録したが、その後、史上最大規模のフラッシュクラッシュが発生。年末にかけて低迷が続いた。
調整局面にある現在、1年後の2026年末のビットコイン価格はどうなるのか。業界を代表する7人の有識者に、価格予想と根拠を聞いた。
有識者の価格予想
| 回答者 | 予想レンジ | 理由・コメント |
|---|---|---|
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仮想NISHI
X-Bank 専務取締役 暗号資産アナリスト
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150,000ドル | 法整備が進み機関投資家の参入障壁が下がるうえ、FRBの金融緩和政策、ステーブルコイン拡大が市場の基礎流動性を押し上げる。実需と投資が同時に回り、相乗効果を生みやすくなる。 |
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Joe Takayama
投資系YouTuber 外資系金融機関出身
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120,000ドル | ビットコインの市場からは資金が現在抜けており、資金が戻ってくるには時間がかかる。証券のトークン化による、オンチェーン上の資金量は増える可能性はある。ただし株式市場の底堅さは2026年も続くと思うので、その恩恵を受けてビットコインにも徐々に資金が戻ると予想 |
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長谷川友哉
ビットバンク 暗号資産アナリスト
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120,000ドル 〜 150,000ドル |
2026年は、FRBのバランスシート拡大と米政府預金口座(TGA)の取り崩しによる流動性供給がビットコイン相場の追い風となるだろう。また、相場が史上最高値を更新できれば、「半減期サイクル」の崩壊によって上昇に拍車がかかると見ており、20万ドルも射程圏内と想定している。一方、後半からは米国の中間選挙がリスクとなり得るほか、FRBの政策転換も視野に入ることから、年末は調整局面となりやすいだろう |
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東晃慈
Diamond Hands 代表
Blockstream Japanリード
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1500万円 (約100,000ドル) |
機関投資家のBTC価格形成への影響が強くなったことで、良くも悪くも以前ほどのボラティリティ(価格変動性)や爆発力は見られなくなっている。2026年前半は軟調が続き、後半に少し上げてくるが、年間を通すと横ばいに近いイメージ。同時にトレジャリー企業の破綻リスクやピボット、マクロ環境の悪化などの懸念材料も複数あり、もしそれらが重なった場合は1000万円(64,000ドル)を切るレベルまで下がるシナリオもありえる。 |
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ひろぴー
トレーダー 暗号資産アナリスト
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50,000ドル 〜 110,000ドル |
25年第4四半期の影響色濃く、26年第1四半期も軟調に推移し、下値を拡大。その後、200日移動平均線付近まで回復する局面もありつつも反落。26年9-10月ごろまで反落し、その後年末にかけて回復(ボトムアウト)を予想する。世界経済は再インフレ経済に突入し、各国は利下げを実行しにくい状況に追い込まれていくと予想 |
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松嶋真倫
マネックス証券 暗号資産アナリスト
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180,000ドル | 2026年のビットコイン相場は、半減期アノマリーでは下げやすい年。ただし、米国を中心とする金融緩和の継続や金融機関の本格参入、機関投資家・企業需要の持続が流動性と需給構造を支え、年内の史上最高値更新を予想。国家需要が顕在化すれば20万ドル到達も視野。一方、米中間選挙を巡る不透明感の中、米インフレ再燃やAI半導体ブームの反動、暗号資産トレジャリー企業の統廃合が重なれば、想定以上の下落を招く可能性 |
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ヨーロピアン
トレーダー
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98,000ドル | 半減期サイクルに基づいて調整が意識されるものの、米国景気の減速に合わせて金融環境は緩和的であることがサポート。長期個人ホルダーの売りをETF等のマネーが買いで吸収していく構図は継続し、YTDで小幅にプラスに落ち着くと予想。節目の10万ドルは意識されてその前後が居心地が良さそうであることから、センターピンは9万8,000ドルとした |
五十音順、敬称略。※予想は2024年12月下旬時点での個人的見解であり、投資助言ではありません。
予想の分析
コンセンサスは「約40%上昇」
2025年は年末にかけて大きな調整局面に入ったが、今回の調査では、業界著名人7人の平均予想価格は約127,000ドルとなった。現在価格(12月26日時点)の約89,000ドルから約42%の上昇を見込む計算である。
グラフを見ると、平均ライン(赤)を上回る強気派と下回る慎重派に分かれていることが分かる。最も強気な松嶋氏は18万ドル、最も慎重なひろぴー氏は5万〜11万ドルと予想には開きがある。
強気派に共通するのは、FRBの金融緩和継続と機関投資家の本格参入への期待だ。
松嶋氏は金融機関の本格参入や機関投資家・企業需要の持続が流動性と需給構造を支えると指摘し、国家需要が顕在化すれば20万ドル到達も視野に入るとしている。仮想NISHI氏も法整備の進展による機関投資家の参入障壁低下やステーブルコイン拡大が市場の基礎流動性を押し上げると予想した。
長谷川氏はFRBのバランスシート拡大と米政府預金口座の取り崩しによる流動性供給に注目。2026年に過去最高値を更新できれば「ビットコイン半減期サイクル」におけるアノマリー崩壊によって上昇に拍車がかかり、20万ドルも射程圏内と見ている。
一方、慎重派はマクロ経済の不確実性と調整局面の到来を警戒する。
ひろぴー氏は世界経済が再インフレ経済に突入し、各国が利下げを実行しにくい状況に追い込まれると指摘。2026年前半は軟調に推移し、9-10月ごろまで反落した後に、年末にかけてボトムアウトするとの見通しを示した。
東氏は機関投資家の影響力拡大により、過去の相場サイクルほどの激しい変動は見られなくなったと分析。年間を通して横ばいに近い展開を予想しつつ、ビットコインなど暗号資産(仮想通貨)を大量保有する財務戦略をとるトレジャリー(DAT)企業の破綻リスクやマクロ環境悪化が重なれば、日本円で1000万円を切るシナリオもありえると警鐘を鳴らした。
Joe Takayama氏は、現在ビットコイン市場から資金が抜けている状況を踏まえつつも、米国を中心とする株式市場の底堅さが続けば、その恩恵を受けて徐々に資金が戻ると予想。証券のトークン化によるオンチェーン上の資金量増加の可能性にも言及した。
注目すべきは、複数の回答者が共通して挙げた2026年後半のリスク要因だ。松嶋氏と長谷川氏は、仮想通貨に肯定的なトランプ政権の存続に関わる米中間選挙を巡る不透明感を指摘。また、松嶋氏はAI半導体ブームの反動や暗号資産トレジャリー企業の統廃合、長谷川氏はFRBの政策転換もリスクとして挙げている。
海外機関の見通し
海外の主要機関も2026年の市場見通しを発表しているが、強気派と慎重派で意見が分かれている。
慎重派の代表格は、投資調査会社ファンドストラットのショーン・ファレル氏だ。同氏は2026年前半に仮想通貨市場が大幅に下落すると予想し、ビットコインの価格目標を6万〜6.5万ドルに設定している。
米資産運用大手フィデリティのジュリアン・ティマー氏も、ビットコインの4年サイクルにおける強気局面が終わる可能性を指摘。2026年は調整の年になり得るとし、サポートラインは6.5万〜7.5万ドルと予測している。
一方、強気派はサイクル論自体が崩れつつあると主張する。ファンドストラットの共同創業者トム・リー氏は、ビットコインが数か月以内に25万ドルに達するとの強気予想を示した。また、現実資産(RWA)のトークン化がイーサリアムを中心に進展し、市場全体を押し上げるとの見方を示している。
米暗号資産運用大手グレースケールも最新レポートで、4年周期理論が現在の市場には当てはまらないと主張。個人投資家中心の市場構造から、ETP(上場取引型商品)やDAT(仮想通貨トレジャリー企業)からの資金流入が増加する構造へと変化していることを根拠に挙げ、2026年に新たな高値を更新する可能性があると分析している。
ビットワイズのマット・ホーガン最高投資責任者も同様の見解を示し、機関投資家の参入により従来のサイクルパターンが崩れると予想している。
市場参加者の多くが共通して注視しているのは、以下のポイントである。
- 米国の利下げペースと金融政策の動向
- 機関投資家の参入スピード
- 各国の規制環境の整備状況
- 地政学的リスクの影響
特に日本においては、金商法への移行や税制改正の進展が国内投資家の動向を左右する要因として注視されている。申告分離課税の導入が実現すれば、国内からの新規資金流入も期待できるだろう。
2026年のビットコイン市場でも従来のサイクル論が通用するのか、それとも新たな市場構造へと移行するのか、引き続き注目を集めることになりそうだ。
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