はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習 WebX
CoinPostで今最も読まれています

財務省、FATF審査結果の監視対象国と採点資料を公開|銀行や仮想通貨のリスクを懸念

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

財務省、FATF資料で「銀行、仮想通貨、資金移動のリスク」を懸念
財務省国際局は、各セクターを5段階評価した結果、銀行、仮想通貨、資金移動のリスクが相対的に高いとした。これまで審査が行われた23ヵ国中、イギリス、スペイン、イタリアなどの5カ国しかFATF水準をクリアしていない。

財務省、FATF資料で「銀行、仮想通貨、資金移動のリスク」を懸念

財務省国際局は、金融活動作業部会(FATF:Financial Action Task Force)の概要を公開した。

FATFとは1989年設立の機関で、マネロン・テロ資金対策の国際基準(FATF勧告)を策定し、その履行状況について相互審査を行う多国間の枠組みのこと。G7を含む36カ国・地域と2地域機関がFATFに加盟しており、FATF勧告は、世界190以上の国・地域に適用される。

重要なのは、AML/CFT(マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策)の国際基準となる「FATF勧告」を国同士の相互審査によって策定するという点だ。

現在は、大量破壊兵器の拡散に寄与する資金供与(拡散金融)対策で、イラン、北朝鮮に関する国連安保理決議に基づく資産凍結措置を各国に要請しているほか、暗号資産や関連業者にFATF基準を適用するとのコミットメントを再確認する。

監視対象国とは

勧告評価、及び有効性評価が低評価の場合、監視対象国となる。

非監視対象国でも、採点が基準に満たない場合、重点フォローアップ(Enhanced Follow‐up)としてより頻度の高い報告義務の対象となる。

これまでに審査が行われた23ヵ国中、通常フォローアップ国に置かれた国は、以下の5ヵ国のみという厳しい結果となっている。

  • イギリス
  • スペイン
  • イタリア
  • イスラエル
  • ポルトガル

出典:財務省国際局 FATF資料

日本は、前回(2008年)行われた第第3次対日審査において、銀行を含む金融機関全体のAML/CFTで、49項目中25項目で要改善(不備10項目、一部履行15項目)という厳しい評価を受けるなど、惨憺たる結果(27ヵ国中18位)に終わっているため、挽回したい考えだ。

第4次相互審査(評価基準)に関する「合格基準」は以下の通り。

「40の勧告」の法令等整備状況の評価

A :Compliant

B :Largely Compliant ↑合格⽔準

C :Partially Compliant ↓不合格⽔準

D :Non Compliant

11項目の有効性の評価

A :High Level

B :Substantial Level ↑合格⽔準

C :Moderate Level ↓不合格⽔準

D :Low Level

有効性の項目には、資金洗浄やテロ資金の凍結、大量破壊兵器に関与する者への金融制裁など、主に国際テロリストや組織的犯罪集団に係る犯罪対策がリスト化されており、北朝鮮とイランがブラックリストとして登録されている。

財務省の公開したFATFの資料によれば、下記の3つの定量的指標と2つの定性的指標を用いて、各セクターを5段階で評価した結果、銀行、仮想通貨、資金移動のリスクが相対的に高いとした。

出典:財務省国際局 FATF資料

  • セクター規模
  • 疑わしい取引の届出件数
  • 実際の悪用件数
  • 悪用に対する脆弱性
  • 組織犯罪情勢

財務省は、「新興リスクである仮想通貨交換業者については、世界に先駆け登録制を導入。仮想通貨交換業者は、上記の顧客管 理や疑わしい取引の届出義務及びマネロンガイドラインが定める一層高い措置の対象」と明記している。

今回の対日審査で初めて、仮想通貨交換業者が”FATFの審査対象”となることは、特に大きな重要ポイントだ。

金融庁が主導する仮想通貨業界の自主規制団体(JVCEA)が中心となって市場整備を進める中、今回の対日審査(2019年10月-11月頃)を無事通過することが出来れば、「健全な市場」に向けて大きく前進することになるが、監視対象国、または重点フォローアップ(Enhanced Follow‐up)と認定された場合は、解消に時間を要することで、イノベーションの促進に注力する前の市場整備段階で一時停滞につながる可能性がある。

2019年6月8‐9日に開催されたG20財務大臣・中央銀行総裁会議声明では、技術革新がもたらすリスクと機会について、「FATFによる更なる作業を歓迎し、その進捗を2021年に報告するようFATFに求める。」としている。

CoinPostの関連記事

「全ての仮想通貨取引所は顧客データの共有が必要」FATFのガイダンス発表
FATF(金融活動作業部会)が暗号資産の監督法を明確化するためのガイドラインを新たに発表した。資金洗浄やテロ資金供与の防止を目標に、FATF加盟国に対して規制強化を促している。
財務省広報誌「ビットコイン先物が2017年仮想通貨バブル崩壊をもたらしたのか」
財務省は23日、財務総合政策研究所による研究レポートを公開した。不正・規制に係る学術研究のほか、ビットコイン先物と市場との相関性についても分析を進めた貴重な内容となる。
CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
13:46
仮想通貨市場構造を定める「クラリティ法案」を遅滞させる3つの争点とは? 専門家見解
仮想通貨に詳しい弁護士が、ビットコインなどについて米国の規制を明確化する「クラリティ法案」の年内進捗は期待薄だと見解。3つの争点が議論のハードルだと指摘する、
11:15
メタマスク、予測市場取引機能を導入 ポリマーケットと連携しウォレット内で完結
メタマスクが12月4日、トラストウォレットが12月2日に予測市場機能を相次いで発表した。ユーザーは自己管理型ウォレット内で実世界のイベント結果を予測し仮想通貨で取引できるようになる。
10:45
SBI VCトレードとサッポロビール、黒ラベルTHE BARリニューアル記念でNFT配布キャンペーン開始
仮想通貨取引所SBI VCトレードとサッポロビールがWeb3技術を活用した実証実験を12月5日に開始した。黒ラベルTHE BARのリニューアルを記念し、応募者全員にNFTを配布。保有者は店舗で特別なビール体験が受けられる。
10:10
ブラックロックのビットコイン現物ETF「IBIT」、5週連続で資金流出 4200億円規模に
ブラックロックの仮想通貨ビットコイン現物ETF「IBIT」から5週連続で約4200億円が流出した。上場以来最長の流出超過を記録。同社の事業開発ディレクターは「正常な動き」と述べた。
09:30
米SEC、仮想通貨プライバシー円卓会議を来週開催 ジーキャッシュ創設者も参加
米証券取引委員会が金融監視とプライバシーをテーマにした円卓会議を12月15日に開催予定。ジーキャッシュ創設者ゾーコ・ウィルコックス氏を含む専門家がパネリストとして参加し、仮想通貨の匿名技術と監視措置について議論を行う。
08:35
トム・リーのビットマイン、今週約9.8万ETHを追加購入 総保有額1.8兆円相当
ビットマインは今週もETHの押し目買いを実施し9万7650イーサリアムを追加購入した。アーカムのデータによると、同社の総保有額は1.8兆円に達しETH総供給量の3.16%を占めている。
08:00
KLab、ビットコインと金を組み合わせた財務戦略を発表
KLabは、仮想通貨ビットコインと金を財務資産に組み込むデュアル・ゴールド・トレジャリー戦略を実施すると発表。同日発表した資金調達で得る約51億円のうち36億円を充当する。
07:35
ウィズダムツリー、欧州初の完全ステーキング型イーサリアムETPを上場
ウィズダムツリーが4日、Lidoプロトコル経由でミントされたstETHのみを保有する欧州初の完全ステーキング型イーサリアムETPを上場した。運用資産約5000万ドルでドイツ、スイス、フランス、オランダの取引所で取引が開始された。
06:30
ビットコイン保有企業の指数除外方針に反対、ストライブ社がMSCIに書簡
米ナスダック上場企業ストライブがMSCIに対し、ビットコイン保有企業を株式指数から除外する提案に反対する書簡を送付した。同社は7500BTC以上を保有する企業として、50%基準は不公平で実行不可能だと主張。
05:55
仮想通貨評価損不計上でフィスコとクシムに課徴金勧告 金融庁監視委が虚偽報告を指摘
証券取引等監視委員会が5日、フィスコとクシムに対し、仮想通貨の評価損を適切に計上せず有価証券報告書に虚偽記載を行ったとして、それぞれ1500万円と1200万円の課徴金納付を勧告した。
12/05 金曜日
19:26
テザー投資家が英政党に史上最高額寄付 改革党に18億円相当
ステーブルコイン発行会社テザーの投資家クリストファー・ハーボーン氏が英国改革党に900万ポンド(約18億円)を寄付し、存命個人からの政党寄付として史上最高額を記録。米国でもトランプ大統領が選挙期間中に仮想通貨業界から2600万ドル超を集めるなど、仮想通貨資金が英米両国の政治に影響力を持ち始めている。
18:40
Cloudflare障害でコインベースなど取引所が一時アクセス不能 11月に続き再発
12月5日夕方、Cloudflareの障害により、コインベースやクラーケンなど複数の仮想通貨取引所とDeFiプロトコルのユーザーインターフェースが一時的にアクセス不能に。11月18日に続く障害で、インフラ依存のリスクが再び浮き彫りとなった。
17:24
米上場AlphaTON Capital、約630億円調達へ TONトークン取得とAI投資
ナスダック上場のデジタル資産運用企業AlphaTON Capitalが、米SECに4億2069万ドル(約630億円)の資金調達枠を申請。TONトークンの追加取得とテレグラムのCocoon AIネットワークへの投資を計画。TONエコシステムへの機関投資加速が見込まれる。
14:30
チェーンリンク現物ETF、初日に64億円の流入で好調 ソラナETFからは最大流出
仮想通貨チェーンリンク現物ETFの取引初日に64億円が流入し好調な滑り出しとなった。一方ソラナ現物ETFからは過去最大の資金流出があった。
14:00
国際通貨基金(IMF)、ステーブルコインの規制断片化に警鐘 
国際通貨基金が今週、ステーブルコイン市場の評価報告書を公開し、各国の規制枠組みの断片化が金融安定性を脅かし監視を弱体化させ、国境を越えた決済の発展を遅らせていると警告した。
通貨データ
グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧