- ビットコイン逃避資産、米中貿易戦争は事例研究
- 米大手仮想通貨ファンド「グレースケール」は、ビットコイン(BTC)の米中貿易戦争の逃避資産に関する事例研究報告書を公開した。専門家の中には、逃避資産との投資判断は早計との見解もある。
米中貿易戦争はBTCヘッジの事例研究
ビットコインの投信商品で知られる米大手仮想通貨ファンド企業グレースケールは、BTCがどのように金融不安定の逃避資産として役立つかに関する事例研究報告書を公開した。今回の研究事例は、世界各国の経済面に多大な影響を及ぼす「米中貿易戦争」になっている。
グレースケールの分析によると、BTCが逃避資産として優れている点は以下の3つだ。
価値の保存
ビットコインは、ゴールド(金)のように、希少価値のある資産として価値を保存する機能を持つ。
消費
ビットコインは現金のように、決済手段として消費できる。現在、スターバックやホールフーズなどを含む100,000以上の店舗・サービスでBTCで支払うことができる。
成長率
ビットコインが成長する特徴は、ブロックチェーンの実利用や非中央集権的資産としてより多くの価値を創出し続ける。よって、需要を高める。
ビットコインのこれらのメリットを取り上げたグレースケールは、ビットコインが現在の「米中貿易戦争」においても、5月より深刻化になっている関税問題を受け、BTCの価値上昇が人民元の引き下げに伴っていると指摘した。
グローバルにおける投資リスクの増加に伴い、リスク資産(通貨や株など)の資産総額減少は始まったばかりだが、ビットコインはリスクオフ資産として台頭している。
トランプ氏が最初に関税の引き上げを発表したのは5月。ビットコインはそれから8月7日まで、すでに104.8%の累計リターン率を記録している。
ビットコイン以外の20種類の資産・市場・通貨は同時期において-0.5%の下落率だった。
人民元とBTCの現物レート比較:5/5〜8/7
慎重派の意見も
仮想通貨界隈では、ビットコインが逃避資産として機能している見方が多いが、カナダのモントリオール銀行の投資子会社BMO Capital Marketsの戦略責任者は米著名ニュースネットワークCNNにて、ビットコインを逃避資産と扱うのは早計だと指摘した。
ビットコインは、これまでの値動きで、ボラティリティ(変動性)の高い資産として証明している。
短期で利益を得るには望ましい投資商品だが、長期的に考えれば、逃避資産と判断するのは現時点では早計だろう。
なお、今回の米中貿易対立激化を受け、中国人投資家が中心にビットコインを買っているとの見解も多くあるが、中国の経済事情に詳しい米仮想通貨ファンドのパートナー・バイナンスのCZ氏の知人でもあるDovey Wan氏は、SNS上で「中国人がビットコインを大量に買っている状況」という見解について懐疑的だ。
理由1: ビットコインは中華系大手取引所HuobiやOKExなどではネガティブ・プレミアムで取引されている。
理由2: 人民元建てのビットコインはOTCでは、強気相場以来1%のプレミアムを維持している。
理由3: 仮に今回の金融不安定がビットコイン市場を釣り上げたとしたら、中国にいる投資家ではなく、国外の投資家からの資本流入かもしれない。
一方、人民元建てのゴールドでは出来高が実際高騰していた。
参考資料:グレースケールの事例報告書