CoinPostで今最も読まれています

仮想通貨にも採用「MimbleWimble」の匿名性に欠陥か、対応策も

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

ソフトウェア研究者が仮想通貨GRINへの攻撃で証明

プライバシー強化とスケーラビリティ改善機能で注目を集めるプロトコル「ミンブルウィンブル(MW)」の匿名性モデルには根本的な欠陥があると元グーグルのソフトウェアエンジニアが指摘し、MWを実装した仮想通貨GRINのトランザクションアドレスを正確に発見して見せることで証明した。

Mimble Wimbleは仮想通貨の取引の際に送信者・受信者のアドレス、取引額の情報が公開されないようにする匿名化技術の一つであり、2016年にTom Elvis Jedusor(仮名)というハッカーが生み出した基本設計にBlockstream研究者のAndrew Poelstra氏が改善を加えて開発された。その後プライバシーコインとして知られるGRINやBEAMに実装されライトコインへの導入も正式に提案されるなど、有望な可能性を持つプロトコルとしての認識が高まっている。

関連リクルートが匿名仮想通貨プロジェクトBeamへ出資|匿名技術MimbleWimbleとは

一方でMWにはプライバシーの面で脆弱性を持つ可能性が複数の研究者より指摘されているため、その証明を行うことを目的にコンピュータ科学者であるIvan Bogatyy氏はGRINを用いて実証実験を行った。同氏は現在米国に拠点を置く仮想通貨ベンチャーファンド「Dragonfly Capital Partners」の研究者で、グーグルでソフトウェア開発者として研究開発に携わった経歴も持つ。

Bogatyy氏によれば、アマゾンウェブサービスを週60ドルで利用しGRINの96%のトランザクション送受信者の正確なアドレスをリアルタイムに追跡することができたという。同氏は「この問題はMW固有のもので修正する方法はなく、プライバシー重視の仮想通貨であるZcashやMoneroに代わる手段として見なされるべきではない」と主張している。

Bogatyy氏はこの実験の目的はGRINを貶めることではないと強調した。確かにZcashやMoneroに比べて送受信者に対する匿名性は劣るが、トランザクションの金額については暗号化されるためビットコイン等の非プライバシーコインよりは匿名性が高まると説明している。

また、MWは重複するトランザクション情報を取り除きブロックデータを削減するカットスルーと呼ばれる機能を持っているため、スケーラビリティの面では依然ととして有望な技術であり「ユニークで価値ある特性」を備えているとBogatyy氏は補足している。

Bogatyy氏は、ビットコイン誕生から11年経つが仮想通貨はまだ初期段階であり、ZcashやMoneroにしろ致命的なバグが発見され、改良が重ねられてきた経緯があることに触れている。そしてこのような状況は十分予期されるものであり、最も興味深い技術は未だ、基礎科学の領域にあるとして次のように述べている。

これが科学が進歩する方法なのだ。 新しい理論を提案、その理論を打ち破ることを繰り返す。 それでもなお残ったものが時の試練に耐えるまで。

対応策も

Bogatyy氏は報告内で、MWのみでは強力なプライバシーを提供することは望めないものの「Ethereum9¾」等の別のプロトコルと組み合わせることで匿名性を高めることも可能だと述べている。

Litecoinの開発者であるCharlie Lee氏はこの報告に対し「Mimble Wimbleのこの制限は良く知られたものである」と反応し、具体的な解決策も提案した。

Lee氏は解決策としてCoinJoinという技術の併用を提案している。CoinJoinとは複数のトランザクションをいったんまとめてからそれぞれの送信先に再分配することで送信者と受信者の紐付けを断つ、匿名性を高める技術である。

関連ビットコインのプライバシーはなぜ議論されるのか?その手法について検証|BTCプライバシー編

参考:Breaking Mimblewimble’s Privacy Model

CoinPostの注目記事

CoinPost(コインポスト)は国内最大手仮想通貨(暗号資産)・ブロックチェーンメディアです。ビットコイン(BTC)、リップル(XRP)、イーサリアム(ETH)、ネム(XEM)などのニュースや投資初心者向け解説記事、リアルタイム価格チャート、株式を含む金融経済のマーケット解説など、役立つ情報を幅広くお届けします。
仮想通貨市場に影響を及ぼす「重要ファンダ」一覧表|ビットコイン、リップルなど【3/7更新】
ビットコイン(BTC)やリップル(XRP)など、仮想通貨市場に影響を与え得る重要ファンダ一覧はこちら。あらかじめイベントをチェックしておくことで、トレードの投資判断に役立てることができる。
注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
05/29 月曜日
14:35
JPモルガン、金融系AI(人工知能)「IndexGPT」の商標登録を申請
米JPモルガンは金融システムに活かすための人工知能「IndexGPT」の商標登録を申請した。株指数の作成や投資コンサルティングなど様々な金融サービスに使うことを念頭に置いている。
13:25
JPモルガンのアナリスト、ビットコインが45000ドルに達する可能性を指摘
JPモルガンのアナリストは顧客向けの相場予想で、暗号資産(仮想通貨)ビットコインが45000ドル(630万円)に到達する可能性を示唆した。
12:31
中国北京市、Web3産業の政策支援強化へ 年20億円以上の投資計画 
中国北京市の科学技術委員会は、Web3イノベーションの開発をテーマとした白書を発表。北京市がWeb3産業育成のため政策支援を行っていくと述べた。朝陽区は毎年20億円以上を投資する計画だ。
12:17
デフォルト懸念後退でビットコイン反発、潮目が変わる3つの背景
米債務上限問題で原則合意に至るなど大きな進展が見られ、デフォルト回避思惑で株式市場やビットコインなど暗号資産(仮想通貨)市場が大幅反発した。6月以降に潮目が変わる3つの背景を探る。
05/28 日曜日
17:00
日本におけるWeb3の可能性を解き放つ──「Fabric Tokyo」4章|CONNECTV・イベント配信
今回のCONNECTVは、ETHGlobalのサイドイベントとして開催されたFabric Tokyoの4章を配信。「日本におけるWeb3の可能性を解き放つ」をテーマにゲストに話を聞いた。
13:00
メタバースに関わる法規制を専門家が解説
メタバース上ではアバター同士の交流、仮想空間上で商品購入などが行われている。留意すべき法規制は、取引や金融規制、知的財産、データなど、様々な法規制への留意が必要。本記事では法律事務所ZeLoが、メタバース事業者が配慮すべき法律について解説。
11:30
横ばいで推移のビットコイン、上値余地は限定的か
国内大手取引所bitbankのアナリストが、警戒感強まる今週のビットコイン相場と、万が一米国のデフォルト発生時の来週のシナリオを考察。ビットコインチャートを図解し今後の展望を読み解く。ビットコイン・オンチェーンデータも掲載。
11:00
週刊ニュース|バイナンスの日本向けサービスの案内に注目集まる
今週はバイナンスが、日本向けのグローバルサービスの終了などについて発表したニュースが最も多く読まれた。このほか、日本政府が仮想通貨の追跡を強化することなど、一週間分の情報をお届けする。
10:00
「GTA6」、仮想通貨導入の噂が再浮上
大手ゲームスタジオRockstar Gamesが手がける人気ゲームの新作、『Grand Theft Auto 6』に仮想通貨が導入されるのではないか」との噂が最近再燃している。しかしながら、こうした噂の真偽を裏付ける証拠は現時点では存在していない。
05/27 土曜日
17:00
次のミリオンユーザーを探る──「Fabric Tokyo」3章|CONNECTV・イベント配信
今回のCONNECTVは、ETHGlobalのサイドイベントとして開催されたFabric Tokyoの3章を配信。「次のミリオンユーザーを探る」をテーマにゲストに話を聞いた。
13:00
NikeのNFTスニーカー 売上100万ドル超え
ナイキのWeb3プラットフォーム「.SWOOSH」がNFTニーカーコレクション「Our Force 1」を5月15日に発売した。現在までの総売り上げは約2億円となっている。未販売在庫3万点が完売しない限り、セールは6月1日まで継続する。
12:00
サンドボックスCEOのツイッター乗っ取り 偽のエアドロップを宣伝
メタバース関連企業ザ・サンドボックスCEOのアカウントがハッキングされていた。ハッカーは、エアドロップを宣伝する詐欺のURLを掲載し不正に送金させようとしていた形だ。
11:00
RedditがUbisoftと提携、コラボNFTアバターをリリース
掲示板大手Redditは、フランスの大手ゲーム企業Ubisoftの人気ゲーム「ラビッツ・パーティー」の主役を描いたNFTアバターをリリースしたと発表した。これらのアバターは、ユーザーが自身のプロフィールを個性的に飾るために無料で使用できる。
10:00
世界経済フォーラム、グローバルな仮想通貨規制を提案
世界経済フォーラムは、ビットコインなど仮想通貨についての国際的な規制アプローチに関する提言を発表。世界の規制機関や業界などに向けて、一連の推奨事項を提案した。
08:00
バイナンス、タイにデジタル資産取引所をローンチへ
仮想通貨取引所バイナンスは、タイで開設予定のデジタル資産取引所Gulf Binanceが、事業認可を取得したことを発表。取引所の開設は23年4Qを予定する。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧