取引仲介アカウントの大規模ネットワーク
米名門マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究者が、仮想通貨の送金トランザクションをより効率的にするためのシステムを開発したことを発表。新システムの導入で「オフチェーン送金」を従来より最大4倍もスケールアップすることができる見込みだという。
VisaやPayPalに劣る従来のトランザクション速度は、仮想通貨普及を妨げる要因の一つと見られているため、業界にとっては朗報になるだろう。この技術はビットコインに限らず、多くの銘柄にも応用するとしている。
研究者たちが共同で開発したのは、「スパイダー」という送金経路の仕組みだ。スパイダーは、新たな支払い専用の「ペイメントチャネルネットワーク(PCN)」と呼ばれるソリューションを可能にする。
ビットコインのライトニングネットワーク(Layer2)のように、PCNユーザーのペアは、取引を仲介するエスクローアカウントを構築、PCNのアカウント同士を結び付ける。ユーザーは一定数の仮想通貨をアカウントに預け、経路を閉じるまでオンチェーン上では送金の記録を行わない仕組みを取る。
(スパイダーの適応範囲が、ビットコインに限られるか、アルトコインにも適応できるかは現時点で明らかになっていない)
「ペイメントチャネルネットワーク(PCN)」は、今回の事例「スパイダー」に特化したものではなく、ライトニングネットワークも含めた送金ネットワークの一種である。MITの報告書によると、ライトニングでは預ける資金のバランスをコントロールしにくいが、スパイダーだと決まった金額ではなく、一部の資金をロックアップすることができる。そして従来型よりも容量が大きいため、実際ブロックチェーンに記録するまで約4倍もの送金を行えるという。
具体的に、スパイダーは本来の1つ送金を複数の送金に細分化し行わせるため、仮にPCNに資金が少なくても従来のように不足することがなく、順調にプロエスをすることができるようになる。
「アカウントの両ユーザー資金が均衡するように金額をと、同じ初期資金を再利用して、より多くのトランザクションを行うことが可能になる」と研究者の1人が説明。またPCNを開設した各アカウントは、送金が自分のアカウントを経由し使われるときに少額の料金を徴収することも可能になる。
参考:MITレポート