「仮想通貨価値と解決すべき問題」イングランド銀経済学者が研究報告書

投機行為が及ぶ危害

UKの中央銀行「イングランド銀行」のシニア経済学者Peter Zimmerman氏が、支払い手段としての仮想通貨と市場投機行為の関係性を指摘する最新の研究報告書を公開した。

報告書によると、ブロックチェーンのトランザクション処理能力には上限があるため、投機行為による高頻度のネットワーク利用はその処理能力の低下に繋がっている。

仮に、仮想通貨の価値が支払いによる利用率が基準となっていると仮定すれば、オンチェーンのトランザクション渋滞は送金コストを高め、有用性を損なう事に繋がるため、結果として価値を落とす事に繋がる。

投資的需要が実利用を阻害することは、最終的にその銘柄の価値にマイナスの影響をもたらし、そして価値の低下は仮想通貨の普及を妨げることに繋がってしまうと、Zimmerman氏は指摘する。

解決策として、投機活動をデリバティブ商品やライトニングネットワークなどのレイヤー2ソリューション、カストディアンの清算プロセスなどへの移行が進むことで、仮想通貨は伝統アセットに近い価値に近く可能性があると提案した。

一方で、イーサリアム上で発行するICO通貨などが支払い目的の通貨に留まらず、ユーティリティとしての機能面も持ち合わせている通貨もあり、このような解決策が全ての通貨に当てはまる訳ではないと説明している。

具体的に価値を損なっている例として挙げられたのは、イーサリアムの事例。

イーサリアム上で稼働するdAppsは、ETHの価値を高める重要なプロダクトである一方で、ETHの投機的需要に伴うネットワークの混雑状況が、問題化していると指摘した。

dAppsゲームのCryptoKittiesは高い人気を博したが、投機・投資的需要によって当時のイーサリアムネットワークにスケーラビリティの問題が生じたと事例を挙げた。。

留意すべき点として、イングランド銀行の研究員は自分の見解を自由に述べることができるため、Zimmerman氏の報告書が同銀の立場を必ずしも代弁していないことだ。

参考:Zimmerman氏の報告書

CoinPostの注目記事

イギリス金融当局、仮想通貨規制方針の明確化へ 4月以降に最終ガイダンス発表を予定
英国の金融行為監督機構(FCA)が「暗号資産の手引き」と題した政策原案を発表。4月5日以降に仮想通貨の明確な規制ガイダンス発表に向けた確実な一歩となった。
すべての仮想通貨を「証券」で統一規制 英オックスフォード研究者が提案
オックスフォード大の研究者グループが、EUがすべての仮想通貨を同様に規制する必要性を列挙した研究論文を発表。規制当局はEU金融市場規制のもと取引可能な証券として扱うべきだと結論づけた。


画像はShutterstockのライセンス許諾により使用