テゾスとアルゴランドがFATF基準に対応
金融活動作業部会(FATF)が昨年発表したトラベル・ルールに準拠する動きが続いている。
仮想通貨テゾス(XTZ)とアルゴランド(ALGO)で、それぞれ新しくコンプライアンス・システムを導入した。
二つのシステムは完全にトラベルルールに準拠対応するものではないが、ルールの幾つかの要件を満たし、セキュリティ管理上の前進となる。
FATFは、資金洗浄対策などをアドバイスする国際的な組織。昨年6月に発表した、仮想通貨事業に対しての新基準は「トラベル・ルール」とも呼ばれて、仮想通貨関連事業者(VASP)による仮想通貨の送受信の際に、送り主と受取人の個人認証情報を記録するという厳格な国際基準だ。VASPは仮想通貨の交換、移転、保管、および発行や引受を行う事業者を含める。
このFATFの策定したルールを参考にして各国が規制設定を始めており、仮想通貨企業は対応を促されている。
テゾス、Coinfirmと提携
6月12日、マネーロンダリング防止(AML)の企業Coinfirmは、テゾスに対応する資金洗浄対策およびトランザクション監視ソリューションを発表した。
Coinfirmは、AMLや規制テクノロジーの大手で、ビットコイン、イーサリアム、Hyperledgerなど1400以上の仮想通貨やプロトコルをサポートしている。
同社のプラットフォームにより、200以上の独自のアルゴリズムと300のリスクシナリオを適用し、テゾスのトランザクションにおける資金洗浄リスクなどを分析可能となった。
テゾスを取り扱う仮想通貨取引所やウォレット企業は、これによりAMLガイドラインを満たすことができる。さらに、リアルタイムのトランザクション監視、AMLリスクレポート、調査管理ツールなどを備えた一連のAMLコンプライアンスソリューションもリリースする予定だという。
アルゴランド、Chainalysisと提携
アルゴランドは、ブロックチェーン分析企業Chainalysisと6月11日に提携を発表。
トランザクションの監視とコンプライアンスのプロセスにChainalysis KYT(Know Your Transaction)、また仮想通貨アルゴのリスク管理強化にChainalysis Reactorを使用することになる。
アルゴランド財団が拠点を置くシンガポールではFATFの基準を受けて、1500シンガポールドル(約12万円)を超える仮想通貨取引に関与する当事者は、身元開示できるようにしておかなければならないとされた。
アルゴランド財団の最高執行責任者Fangfang Chenは、提携によりシンガポールの規制要件を満たすことができると語った。
Chainalysis KYTは、大量の仮想通貨取引を監視、リスクの高いトランザクションを継続的に特定可能。リスクが最も高いアクティビティについてはリアルタイムのアラート機能も設置しており、コンプライアンス担当チームは、疑わしい取引を報告するという規制上の義務を果たすことができるという。
業界団体も規制準拠の新規格を開発
FATF基準を順守しようとする最近の試みとしては、事業者間メッセージング規格のためのジョイントワーキンググループ(IVMS)」が開発した新規格「IVMS101」もある。
これは仮想通貨の取引処理と共に、送信者と受信者の情報データを送ることで不正対策を行うもの。
FATFのトラベルルールは、コスト面からも対応の難しさが指摘されていたが、この統一規格を採用することによって、関連企業が開発コストを削減できるようになるという。様々な施策をとる中で、仮想通貨業界の法的順守体制は着実に進んでいるといえるだろう。
Twitterでニュース配信
CoinPost公式Twitter凍結解除までの間、以下のアカウントで最新ニュースを配信中です。 CoinPost Businessは、今後プロジェクト連携のアルトコイン情報を中心に配信予定。
・CoinPost 各務編集長(@coinpost_kagami)
・CoinPost Business(@CoinpostB)