北京のブロックチェーン構想
中国首都・北京の政府が今後2年間で実現させるための「ブロックチェーン都市構想」の一部にあたる政府サービス計画書を発表した。計画書に関する詳細は140ページ以上に及ぶという。
計画書(ブループリント)の作成は6月18日に北京政府が発表した、2020年〜2022年における「北京ブロックチェーンイノベーション基本方針」を具体化したもので、北京の経済開発計画にブロックチェーン技術を統合させ、中国屈指のブロックチェーン都市として樹立させることを目標とする。
多くの経済大国が新型コロナによる経済的打撃を受ける中、中国は依然としてブロックチェーン産業の推進に力を入れ続けている。
計画書の内容について
今回の計画書は、政府サービスにおけるブロックチェーンの導入に関する進捗・成果および今後の計画に関する内容で、中国大手メディア「北京日報」はこれらについて解説する。
北京政府が支援しているブロックチェーンのユースケースとして、金融サービスのサプライチェーン、企業のオンラインID認証システム、不動産の登録、企業登録、医療に関する記録や医療保険の払い戻しなどがある。
これらは2020年上半期からすでに稼働しており、今後は都市構想をもとにそれらの実用性を高め、企業における事務手続きをブロックチェーンに移すことで、年間10万以上のオフィスワークを省くことを目指すという。
計画書の責任者が北京日報に話した内容では、民政や公安、税務当局、市場監督当局など11以上の政府関連部門がブロックチェーンをインフラとして導入している。現在政府の事務管理で応用されているブロックチェーンの利用シーンは140以上あり、政府のリソースが40%ほど削減できたという。
今後の2年間の目標として政府のデジタル化を推進するために、「ブロックチェーン3.0」による「プログラムのできる政府サービス」を目指す。スマートコントラクトの効率を高め、事務上のブロックチェーン応用を深めてという。
中華系銘柄の「ドラゴン指数」
計画書では具体的にどのブロックチェーンプロジェクトと連携し、どのタイプの「パブリックブロックチェーン」を利用しているかについては言及していない。中国政府がこれまでブロックチェーンの導入を推進してきたパターンから、パブリックブロックチェーンもエンタープライズ型ブロックチェーンも導入した公算が高い。
また、新規プロジェクトに該当する国家ブロックチェーン・プラットフォームである「BSN」が先日、Chainlink(LINK)のデータオラクルを導入し、Cosmos(ATOM)の関連技術団体Iris Foundation Ltd.から技術を採用することを発表したため、一部では仮想通貨やトークンを利用するプロジェクトのブロックチェーン基盤技術も採用した可能性が考えられる。
中国の中央銀行は、事実上仮想通貨取引所における取引を禁じているが、同国内の投資家はVPNを経由して多くの中華系アルトコイン銘柄の取引を行なっているとみられる。したがって、政府主導の大規模なブロックチェーン導入計画は、中華系銘柄の取引活性化の追い風になり得るとされる。
取引所FTXでは「ドラゴン指数」としてNEOやTRX、VETなどの上位中華系銘柄を指数化し、デリバティブ取引として提供する。個別のファンダメンタルズや相場の温度差のほか、中国政府による思惑も値動きに反映されているものと見られる。