通貨監督庁に銀行の仮想通貨サポートを要求
米国の仮想通貨企業や業界団体らが、通貨監督庁(OCC)に対し銀行の仮想通貨やブロックチェーン分野の権限を拡大するよう求めていることがわかった。
このほどOCCが許可した仮想通貨カストディに関する許可に対するパブリックコメントで、銀行が幅広く仮想通貨や、ブロックチェーンの技術を使用できるよう、権限の拡大を求めているコメントが仮想通貨業界の主要プレイヤーから相次いだ。投稿を行なった企業や団体にはConsenSys、デジタルドル財団、CoinCenter、Rippleなどが含まれている。
米通貨監督庁は7月23日、連邦公認銀行(貯蓄貸付組合および国民貯蓄銀行等)に対し、仮想通貨のカストディサービス提供を許可すると正式に発表しているが、銀行の権限や業務の許可範囲などに不明確な点が多く、仮想通貨業界からの提案を広く募集していた。
対象となる「国民貯蓄銀行」には、JPモルガンチェースや、ウェルズ・ファーゴ、バンク・オブ・アメリカなどの大手銀行が含まれており、機関投資家が仮想通貨サービスに参入できるきっかけとして業界も注目する重要な規制方針として、より多くの銀行が多様なサービスを構築できる明確な権限の策定が求められた格好だ。
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ステーブルコイン
仮想通貨企業に口座サービスを提供する有数の商業銀行の1つシルバーゲート銀行は、銀行間で顧客口座に送金するための効率的な方法としてステーブルコインの利用許可を要請した。対応する銘柄にUSDCやテザー(USDT)といった米ドル裏付けのステーブルコインを挙げた。
ブロックチェーンは価値の移転ができるネットワーク提供している。ステーブルコインによる送金のユースケースを拡大するために方法を模索している企業は増えているが、銀行など規制対象となる事業体向けに適切なガイダンスが欠如している。
ーシルバーゲート銀
ブロックチェーン推進団体のBlockchain Associationも同様に、ステーブルコインのプロジェクトを肯定し、「銀行がペイメントを決済し、ドル基盤のステーブルコインを預金として受け入れることを認める」ように求めている。
一方、Blockchain Associationは、米国で運営しコンプライアンスを満たしている仮想通貨関連企業でも、基本的な金融サービスを提供できていないため、「仮想通貨ビジネスが安全かつ健全な金融サービスにアクセスできない現状は、米消費者にリスクをもたらし得る」と指摘。否定的な見解も見られた。
グレースケールの訴え
人気仮想通貨投資信託GBTCなどを提供するグレースケールもBlockchain Associationなどの意見と同様に、仮想通貨企業もその他のセクターと同様な銀行サービスが提供される必要があると指摘。ステーブルコインの利用に関しては、連邦銀行システム内で、支払い決済と預金受け入れのためにステーブルコインの利用条件を制定するよう提案した。
具体的には、どのステーブルコインが銀行システムに適するか査定するポイントを、以下の様に挙げている。
- 価格を安定させるメカニズム
- 発行、引き換え、流通の方法
- 裏付け資産の管理
- 裏付け資産のカストディ
その他に、銀行がサードパーティの仮想通貨関連サービスを利用できるように規制で明示する必要があると訴えた。
これは、銀行が仮想通貨サードパーティのサービスを利用することを禁止する現行法自体存在しないが、仮想通貨セクターが新興セクターであるため、多くの銀行は利用を遠ざけている現状を懸念する訴えである。「セトルメントやカストディなどの仮想通貨関連サービスについて、銀行がより安心して利用できるように明言する必要がある」とパブリックコメントで提案している。
参考:OCC172537p>