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仮想通貨を合法化した東欧のシリコンバレー、現職大統領6選で抗議運動高まるベラルーシ

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

疑問視されるベラルーシ大統領選結果

現職のアレクサンドル・ルカシェンコ大統領が8割を得票して6選を決めた選挙結果の正当性をめぐり、東欧ベラルーシの各地で抗議運動が広まっているようだ。内務省の発表では、抗議は33都市に及び、治安部隊が約3000人を拘束したとのことだ。首都ミンスクでは病院に搬送されたデモ参加者の一人が死亡したと伝えられている。

AFPの報道によると、対立候補のスベトラーナ・チハノフスカヤ氏は、その後の会見で自身の勝利を主張し、ルカシェンコ氏に権力の委譲を求めているという。

トップダウンによる仮想通貨政策

旧ソ連の崩壊後、1994年にベラルーシの初代大統領に就任したルカシェンコ氏は、2004年、大統領の三選禁止規定を削除する憲法改正の国民投票を実施、大統領の任期制限を撤廃した。

その後、2006年から2015年の間、3回にわたる大統領選を勝ち抜き、26年にわたり国のトップの座に就いてきたことから「欧州最後の独裁者」との批判の声も聞かれる。そして憲法改正後4回目となる今回の選挙で6選を果たした。

しかし、仮想通貨業界にベラルーシの名を広めたのは、独裁的な長期政権という側面ではなく、2017年12月、ルカシェンコ大統領が、仮想通貨産業を合法化し、5年間にわたり仮想通貨取引を非課税とするデジタル経済開発令に署名したことではないだろうか。

大統領報道機関の当時の発表によると、この政令の目的は、国際的なIT企業の誘致であり、将来への投資としてITに精通した労働力の育成と確保、そして最先端の金融商品及び技術を日常生活へ導入することだという。ルカシェンコ大統領は「ベラルーシは、ブロックチェーン技術を利用するのに極めて多くの機会を提供する世界で最初の国家となった」と語っている。

東欧のシリコンバレー

この仮想通貨産業合法化に先立つ2005年、大統領はソフトウェア産業の育成に特化した経済特区の創設に関する政令に署名している。その中枢にあるハイテクパーク(HTP)には、現在192社が登録しており、法人税の免除や、HTP登録企業の従業員に対する所得税は9%の固定税率が適用されるなど、税制面で破格の優遇が受けることが可能だ。登録企業の半数は外国企業との合弁企業であり、欧米の大手テクノロジー企業のアウトソーシング先としての人気も高く、世界各地に顧客を持つ。

HTPからは、ソフトウェア開発企業EPAM Systemsや、世界的ヒットとなったゲーム「World of Tanks」を開発したWargaming社など、数々の成功例が誕生しているようだ。

そのため、東欧のシリコンバレーと呼ばれ、旧ソ連時代からハイテク関連の研究・開発機関が置かれて来たベラルーシには、高い技術力を誇る優秀なエンジニアが多いことで知られている。ベラルーシのIT経済特区政策により、企業がエンジニアの給与水準を高く設定することも可能であるため、人材の流出を防ぐのにも役立っているようだ。

政治と経済のバランス

ツイッターの投稿によると、現在ベラルーシでメッセージアプリTelegramは使用可能だが、フェイスブックやインスタグラムなどのSNSはダウンしており、インターネットの接続状況も不安定なようだ。

IT産業の発展が著しいベラルーシだが、大統領選の正当性をめぐり政府に対する抗議活動が続いており、対その政治情勢は予断を許さない状況だ。今回の選挙でも、野党の対立候補であった二人は出馬を禁じられたり、投票に関しても公正な選挙管理が行われなかったとの批判もある。

米メディアのForbesも、「ベラルーシは仮想通貨と仮想通貨に対するリベラルな態度を利用し、仮想通貨業界を通して、技術革新における同国の評判を”洗浄”しようとした、稀有な国だ」と皮肉っている。

今後、ベラルーシの政治状況はより厳しいものになると思われるが、ITや仮想通貨産業を支えて来た企業やコミュニティ、そして個々のエンジニアの努力が打撃を受けることがないように願うばかりだ。

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