仮想通貨取引の監視ツールを開発
ロシア連邦金融監視サービス(FMS)が、人工知能を活用して、仮想通貨(暗号資産)取引を追跡するツールを開発していることが現地メディアRBCの報道で明らかになった。
同ツールは、マネーロンダリングやテロ資金供与などの犯罪に関与していると疑われる取引を追跡することが可能で、仮想通貨のサービスプロバイダーを特定できる。現時点でビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、DASH、OMNI、モネロ(XMR)ブロックチェーンを対象としており、一部ではあるが、取引の匿名性を取り除くことができるとしている。
ツールの情報は、FMSがデジタル発展・通信・マスコミ省に送った書簡から明らかになった。現在は試作品が完成した段階。すでに麻薬密売の捜査にも試験的に利用されている。
ツールの開発は「Transparent Blockchain」というプロジェクトで進められており、ロシア警察はツールの利用に関心を示しているとも報じられている。
ツールの開発は予算外の資金を用いて行われてきたが、完成させるには2023年までの期間が必要で、合計で7.6億ルーブル(約11億円)の政府予算が必要だという。ロシア政府は書簡を受け取ったことは認めており、予算の提供や開発・導入に向けて、これから内容の確認を慎重に行う。
ロシアの仮想通貨規制
ロシアでは先月、国内初の仮想通貨法案「デジタル金融資産関連法(On Digital Financial Assets:DFA)」が可決。サービスや商品の支払いに仮想通貨を使用することは禁止されるが、仮想通貨の取引は合法と定められた。
しかし現在でも仮想通貨に対する意見は分かれている。経済開発省は、過度な規制は経済にとって損失になるため、規制しつつ仮想通貨を流通させることを推奨。中央銀行の副総裁は「BTCを初めとする仮想通貨は、マネーロンダリング規制を回避するためにも使用されており、こうした犯罪セクターに国民が投資することを支持することは絶対にない」と述べた。
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ロシアの仮想通貨規制の大枠が決まるのは、DFAとは別の「デジタル通貨関連法(DA)」が承認されてからになる。DA法は2020年12月下旬まで開かれる国会で審議される予定だ。
参考資料 : RBC