先日コインチェックがIEO事業への参入を発表しました。IEO(Initial Exchange Offering)とは、仮想通貨取引所をプラットフォームとしたICOに替わる資金調達モデルです。
本記事では、IEOが盛り上がった2019年上半期の海外市場のデータを振り返ることで、投資的観点から見たIEOや、国内市場におけるIEOのポテンシャルについて考えます。
1- 2019年、Binace上でのBittorrentに始まったIEO
初めてIEOを実施したプロジェクトはP2Pファイルシェアサービスを提供するBittorrentです。同プロジェクトは2019年、Binance LaunchPad上でIEOを実施し、BTTトークンを販売しました。
その後Bittorrentに引き続き、多くのプロジェクトがIEOを通して資金調達を行います。下図は2019年上半期のIEO市場概況です。6ヶ月の間に72のプロジェクトが、合計280億円以上の資金を調達しました。
2- 多くの海外取引所がIEO事業に参入
市場の加熱は、度重なる仮想通貨取引所のIEO事業参入によりさらに加熱します。HoubiやOKEx、Gateなどの有名取引所は、Binanceと並んでそれぞれ20億円以上の調達を支援するトップIEOプラットフォームになりました。
結果的にIEO調達額の50%以上は上述のトップ4つの取引所に集中する形となりましたが、2019年上半期は合計で28の取引所がIEO事業に参入していました。
3- IEOのリターン
IEOによって発行されたトークンは、一時的な投機熱の高まりによって短期的には高い収益率を期待できるものも存在します。しかし中長期的に大きなリターンを生むことができている銘柄は決して多くありません。
2019年上半期におけるIEOで、投資リターンがプラスに終わったトークンは72あるうち丁度半分の36銘柄だけでした。中にはIEO実施後に1,000%を超える価格上昇を記録する銘柄もありましたが、一方で価値が半分以下になったものもあります。
以下は2019年上半期にIEOで資金調達を実施したプロジェクトとその調達規模を表したビジュアライズデータです。10億円以上の金額を調達したプロジェクトは5つ存在しますが、そのうち現在の価格がIEO実施時に付けた最高値を超えているものは存在しません。
最初のIEO銘柄であるBTTも、今ではIEO直後(2019年2月)より低い価格をつけています。他にも、現在では既にプロジェクト自体がシャットダウンされている銘柄も存在しています。
国内市場でIEOは盛り上がるか?
国内でもIEOは活発化していくでしょうか。国内取引所の意向次第ではありますが、コインチェックによる第一回目のIEOが成功した場合、その他国内取引所も追って参入する可能性が高まり、市場は成長していくかもしれません。