はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用 WebX
CoinPostで今最も読まれています

「寿司(Sushi)」は小説より奇なり 華々しいデビューから一転、創設者が管理権をFTXのCEOに移譲

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

SushiSwapのドラマ

その誕生から10日で、これほどドラマに満ちたプロジェクトも少ないだろう。分散型取引所Uniswapの取引量を急増させた立役者「SushiSwap」のトークン、その名も「寿司(Sushi)」。SushiSwapは、そのローンチからわずか数日で10億ドル以上がロックアップされ、Uniswapの1日の取引量の7割以上を占めるまでになる。そしてそのガバナンストークン「Sushi」の価格は一時12ドルまで高騰した。

出典:DeBank

しかし9月5日、SushiSwap創設者の「Chef Nomi(シェフ・ノミ)」が、開発資金として割り当てられた一部のSushiトークンを、1300万ドルに相当するイーサリアム(ETH)に売却したことから、潮流が大きく変わった。

4日の全体相場続落に加え、Chef Nomiの大量売却などの悪材料はSushiトークンの価格を大幅に下落させ、1ドル手前まで暴落した。

出典:Tradingview

SushiSwapの凋落

SushiSwapは、すでに大手取引所コインベースの1日の取引量を上回るまでに成長したUniswapの「進化形」だと主張している。Uniswapのコードからのフォークだが、その違いは、ガバナンストークンの有無で、SushiSwapでは、取引手数料の0.25%に加え、Sushiトークンも発行され流動性提供者に与えられる。Sushiトークンはガバナンスの投票に使用するだけでなく、取引も可能だ。9月1日には、大手取引所FTXとバイナンスが上場を発表したことから、流動性提供者はSushiトークンを獲得するのにさらに熱が入ったようだ。

Chef Nomiは、510万SushiトークンをETHに換金した行為について、様々な理由をあげ自己弁護している。例えば、ライトコイン開発者のCharlie Leeの前例を挙げ、Sushiトークンの「価格を気にせずに(UniswapからSushiSwapへの)マイグレーション(移行)のための技術的な面に集中する」ためだと主張し、出口詐欺の疑惑を完全に否定した。

また、自分がいかに開発とコミュニティづくりに貢献したかを強調し、換金したイーサリアムはその報酬として見合った額だと主張している。

SushiSwapのコミュニティだけでなく、DeFi全体のコミュニティは、このようなChef Nomiの態度を激しく批判していた。

プロジェクトの権限を譲渡

しかし状況は急展開する。Chef Nomiは、仮想通貨デリバティブ取引所FTXのCEOであるSam Bankman-Fried(SBF)の呼びかけに応じ、秘密鍵を含むプSushiSwapプロジェクト管理権限を譲渡すると発表した。

私がいなくてもSushiSwapがうまくいくことを願っている。私はプロジェクトにダメージを与えるつもりはなかった。もし私の決断があなた方の期待に沿っていなかったとしたら、謝罪する

ーChef Nomi

SBFはNomiを痛烈に批判しながらも、SushiSwapの権限を渡すなら、プロジェクトを「死滅」させず、「前進させる」という提案を行ったのだ。そしてNomiが売却したSushiと同額をコミュニティに寄付すると申し出た。

SBFの声明によると、本人自身がSushiSwapにおける大口流動性提供者の一人であるため、Sushiプロジェクトの死滅を望んでいないと明らかにした。この点もプロジェクトの救済目的の一つと見られる。

SBFは計画されていたSushiSwapへのプロトコルマイグレーションは、Nomiの鍵に紐づいているためキャンセルし、その代わりに自身に紐付けされたものに置き換えるが、投票を行い、その結果が反対であれば、マイグレーションは取り消されるとした。その後、管理はマルチシグを用いることとし、鍵はマルチシググループへと移され、コミュニティが管理するようになると説明した。

SBFは、この一連のできことの教訓として、多くの権限を持つ匿名の創設者チームの脅威について触れた。実績があり信頼できるチームであることはもちろん、新規もしくは匿名の創始者とともにコミュニティを立ち上げる際には、プロトコルを放棄できないよう設計されているかを確認することが重要だと述べた。

かくして、SushiSwapは生き残ることになったが、このようなドラマチックな展開に対して、実際得をするのは誰なのか、仮想通貨コミュニティ内には懐疑的な見方も多く散見されることを付け加えておきたい。

こちらのグラフ(@coin98_analysis)では、SushiSwapのドラマの経緯を簡単に整理されている。

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
11/19 水曜日
18:44
ストラテジーのセイラー会長、ウォール街参入による「ビットコイン弱体化」論を否定 
ストラテジーのセイラー会長がフォックス・ビジネスで、機関投資家の参入によりビットコインのボラティリティが大幅に低下していると発言した。2020年の約80%から現在50%まで縮小し、今後はS&P500の1.5倍程度に収束すると予測している。
18:25
アーク・インベスト、コインベースとサークル株を買い増し
ARK投資のキャシー・ウッド氏、コインベースとサークル株を計720万ドル購入。ステーブルコイン市場の成長を見据え、仮想通貨関連株への投資を拡大。
13:55
ブラジル、仮想通貨のクロスボーダー決済に課税検討 規制強化で抜け穴封じ=報道
ブラジル政府が仮想通貨を利用したクロスボーダー決済への課税を検討している。中央銀行は2026年2月から新規制を施行し、ステーブルコインを含む国際送金を外為取引として扱う方針だが、税収漏れ対策として金融取引税(IOF)の対象とする案が浮上している。
13:35
サークルが「xリザーブ」発表、USDC担保型ステーブルコインを展開可能に
サークルがブロックチェーン間でUSDC担保型ステーブルコインを展開可能にする相互運用インフラ「xリザーブ」を発表した。
13:15
米SEC、2026年度検査で仮想通貨監視を重点項目から削除 規制緩和加速
米SECが2026年度の検査優先事項から仮想通貨監視を除外。トランプ政権下で規制姿勢が執行重視から対話重視に転換。コインベースやリップルとの訴訟解決など、業界への軟化姿勢が鮮明に。
11:35
イーサリアム財団、レイヤー2を単一チェーンのように操作できる「相互運用レイヤー」構想
仮想通貨イーサリアムの財団が複数のL2を単一チェーンのように操作できる相互運用レイヤー(EIL)の構想を解説。現在開発中のEILへの参加を呼びかけている。
10:50
コインベース上のモナドICO、開始23分で65億円弱調達も販売ペース鈍化
コインベースで開始されたモナド(Monad)のトークンセールは、開始23分で64.5億円を調達したが、その後失速。高いFDV評価額やVC比率の高さが投資家の慎重姿勢を招いたとみられる。
10:33
全米初のビットコイン担保地方債、米ニューハンプシャー州が承認
ニューハンプシャー州が全米初のビットコイン担保地方債を承認した。1億ドル規模の債券でデジタル資産が140兆ドル規模の世界債券市場に参入する道を開く可能性が出た。
10:00
ハイパーリキッド・ストラテジーズ、ナスダック上場に向けた合併が延期に
ソネット・バイオセラピューティクスらの合併によるハイパーリキッド財務企業の上場が延期された。株主投票の賛成票が必要数に達していない形だ。
09:45
ビットコインとイーサリアムの現物ETF、資金流出が継続
仮想通貨ビットコインとイーサリアムの現物ETFは、資金が純流出する日が継続している。この点について、ソラナやXRPなどのETFに資金が循環している可能性が指摘された。
08:50
テザー、ビットコイン担保融資企業レドンに戦略投資
テザーがビットコイン担保融資のリード企業Lednに戦略的投資を実施した。Lednは設立以来28億ドル超の融資を実行し、2025年だけで10億ドル超と見込まれている。
08:00
GMOトラスト、Japan Smart Chainと提携し日本法準拠ステーブルコイン発行を検討
GMOトラストがJapan Smart Chainと提携 AltXリサーチは18日、日本向けレイヤー1ブロックチェーン「Japan Smart Chain(JSC)」において、…
07:15
資産運用大手6社、日本での仮想通貨投資信託の提供を検討
資産運用大手6社が、日本での仮想通貨投資信託の開発を検討していることがわかった。米国でビットコインの現物ETFが認可されたこともあり、日本でも仮想通貨投資信託の誕生に期待する声は多い。
07:05
クラーケンがシタデルから2億ドル調達し企業価値200億ドルに、IPO前に資金基盤強化か=報道
クラーケンがシタデル・セキュリティーズから2億ドルの戦略的投資を確保し企業価値200億ドルと評価された。9月の6億ドル調達に続きIPO前に資金基盤を強化している。
06:35
米通貨監督庁、銀行に「ガス代支払い用」の暗号資産保有を承認
米財務省通貨監督庁が国法銀行によるブロックチェーンネットワーク手数料支払いのための仮想通貨保有を正式承認した。トランプ政権下で仮想通貨に対する規制姿勢が転換している。
通貨データ
グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧