レイヤー2のzkSNARKs
プライバシー技術にフォーカスするイーサリアム関連スタートアップ企業Aztec社が、イーサリアムネットワークのスケーラビリティを改善できるレイヤー2(L2)プラットフォーム「Aztec 2.0」を発表した。
Aztec 2.0は、新技術のゼロ知識ロールアップ(zero-knowledge’zk’ rollup)を基盤とする。この技術はzkSNARKsというゼロ知識証明の一種で、複数のトランザクションを「ロールアップ(圧縮)」しメインネットに公開するため、プライバシー向上と同時にトランザクションの処理能力を改善する仕組みとなる。
Aztec社によると、このzkSNARKsは毎秒300のトランザクションを処理できるまでスケーリングすることができる。現在ETHメインネットでは、平均約13秒ごとに1つのトランザクションが処理される。
ゼロ知識証明とは
証明(Proof)プロトコルの一種であり、証明者が「自身の主張は真実である」以外の情報を検証者に開示することなく、その主張が「真実である」と証明するメカニズム。
AztecのzkSNARKの特徴
zk-rollup技術を開発する企業・団体はほかにもあるが、Aztec 2.0のほうは主に「プログラミングできるプライバシー機能」を特徴とする。
同社CEOのTom Walton-Pocock氏の説明によると、Aztecが独自で研究開発したzkSNARKは「PLONK」という技術だ。通常のzkSNARKでは、送金者のアドレス・受取人のアドレス・金額が隠されるが、PLONKを利用すると、すでにプライバシーが強化されたトランザクションはより軽量化するために、もう一回ロールアップされるという。
Walton-Pocock氏は、PLONKがzkSNARKのコミュニティで1つのスタンダードになっていると話した。zkSNARKの技術を利用する銘柄Zcash(ZEC)の関連企業Electric Coin Companyは9月に、将来のアップグレード版Zcash(Halo 2という名称)でPLONKを利用することを発表した。
さらに、Aztecは今週中に、ステーブルコインDAIとERC20トークンのトランザクションでプライバシーを可能にするテストネットを実施し、11月にはメインネットをローンチする予定をしている。
オプティミスティック・ロールアップ
DeFiブームでガス代が高騰し、ネットワークトラフィックがより詰まるようになったイーサリアムネットワークをレイヤー2の技術で改善する方法として、新興技術のオプティミスティック・ロールアップが話題となっている。
オプティミスティック・ロールアップとは、一部のトランザクションの処理をオフチェーンで処理することによって高速化を図り、イーサリアムのスマートコントラクトの秒間トランザクション処理数が大幅にスケールアップすることを可能にする技術だ。現在テストネットが稼働している。
先日、イーサリアム開発者用の掲示板にて、スケーラビリティ向上に関する今後のロードマップについて議論が行われた。議論に参加したヴィタリック・ブテリン氏は「レイヤー2を利用せず、短中期的にスケーラビリティ問題を解決する方法は考えにくい」と見解を示した。オプティミスティック・ロールアップは短・中期的スケーラビリティの改善策の1つとして開発が注力されている。
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参考:公式