先物市場の影響
米投資ファンドWilshire Phoenixが、米CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)のビットコイン(BTC)先物は、現物市場よりも、BTCの価格発見機能に影響を与えているとの見解を示した。
CMEのBTC先物の成長は、出来高や未決済建玉(OI)の額だけでなく、現物価格への影響にも表れていると主張。仮想通貨取引所よりも出来高や平均的なポジションも大きく、BTCの価格決定に大きく寄与していると説明している。
CMEの先物は2017年にローンチされた。米拠点の金融機関などの大口がBTC価格変動へのエクスポージャーを得るために利用しており、BTCの現物ではなく現金決済されるのが大きな特徴だ。
運用には主要取引所のBitstamp、コインベース 、Gemini、itBit、クラーケンらの取引データを集計した指標「BRR」を利用している。
Wilshire Phoenixの調査
今回Wilshire Phoenixは、CMEのBTC先物とBTCの現物価格のどちらが価格発見機能を主導しているかを分析。株などですでに利用されている手法を用いて調査を行った。
例を挙げると価格決定の一因となる「出来高」と「取引の大きさ」だ。CMEの先物における1日の出来高は、BRRに利用される取引所の合計とほぼ同じであるが、取引所を個別にみると、どこよりもCMEの方が多い。それを表したのが以下のグラフだ。
出来高と合わせて、1取引あたりの平均サイズについても各取引所よりもCMEの先物の方が大きいと説明。機関投資家など大口の存在を示唆した。統計的に小さな取引は価格発見機能に与える影響も小さいことから、CMEの先物における取引の大きさも価格決定に影響を与えているとした。
他に、CMEの先物がBTC価格に影響を与える例に「窓(ギャップ)」がある。24時間365日動くBTC市場に対し、毎週金曜16:00(CST)から日曜17:00(CST)までが休場となるCMEのBTC先物は、その間にBTC価格が急騰・急落したケースで、CMEのチャート上にギャップが生じる「窓」を形成。
土日に価格が乱高下したケースで生じるギャップは、その後、窓埋めのアノマリーを意識した市場の値動きが度々確認されたため、市場が意識するポイントとなっている。
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このように価格を主導する先物市場があるということは、取引所への信頼度など多くの要因で、先物市場で取引を行うトレーダーの強固な基盤が存在していることを示唆しているとWilshire Phoenixは述べている。
なお、他の資産についても、先物が価格発見機能を主導するケースが見つかっていると伝えた。
参考資料 : Wilshire Phoenix