ブラジルからの大量押収
米国司法省はブラジル政府に協力し、多くのブラジル投資家から大金をだまし取った詐欺グループから2400万ドル(約25億円)に相当する仮想通貨を押収したことを報告した。司法省がリリース文で情報を公開した。
発表によると、米司法省はブラジル政府との刑事共助条約に基づいて、ブラジル政府による要請に応じ、捜査「Operation Egypto」に参加。詐欺グループから仮想通貨の押収に成功した。押収された仮想通貨については、現在米国内で保管されているとしたが、具体的な銘柄は明らかにされていない。
ブラジル法執行機関は、グループの中心人物であるブラジル人のMarcos Antonio Fagundes氏を含む詐欺グループを金融機関経営や資金洗浄、証券法違反などで告発、ブラジルの裁判所が米国での仮想通貨押収に対する権限を与えた。
犯罪者グループは2017年〜2019年の間、仮想通貨への投資と高利率の運用モデルを謳い、千人以上のブラジル投資家から資金を集めていた。だまし取った合計金額は、2億ドル(約210億円)以上に及ぶが、実際には仮想通貨への投資分は少なく、投資家に対し掲げていたリターン率も大きく異なるなど、実状は大きく異なっていた。
最近では、仮想通貨デリバティブ取引所BitMEXとその幹部らが米司法省に告発されるなど、米国で仮想通貨に関連する取締りの事例も相次いでいる。また、米国に限らず、オランダでも警察当局が資金洗浄の罪で二人の犯罪者から2,500BTC(当時約35億円)を差し押さえた事も先日報じられたばかりだ。
このような事例には、仮想通貨のオンチェーンデータをトラッキングして犯人を特定する技術が発展してきたことも背景にある。(ウォレット所有者の特定が難しいなど)間接的な匿名性が懸念されてきた仮想通貨であるが、KYC(身分証明)なども広く定着する中で、オンチェーンデータ分析と併用した犯罪摘発の事例も徐々に出てきている。