主要メーカーのマシンが全売り切れ
暗号資産(仮想通貨)メディアTheBlockのリサーチによると、主要メーカーのビットコイン採掘マシンは来年4〜5月まで一括の先行注文(プレオーダー)はすべて売り切れていることがわかった。企業による需要が反映されている。
Bitmain社の販売ページで、主要マシンS19 Pro、S19およびT19は2021年の5月までに出荷ができないという。すでに在庫がなくなっており、顧客が現在注文しても来年の5月以降の納品になることを意味する。
ライバル社のMicroBTも同様で、フラッグシップマシンWhatsMiner M30シリーズも「売り切れ」と表示されている。同社代表はTheBlockに対し、来年4〜5月出荷予定の先行注文を現在受付していると明かした。
主要採掘マシンの在庫不足の背景には今年の第3四半期(Q3)より始まったビットコインの価格上昇などがある。企業による採掘マシンおよびビットコインへの投資需要が増加していることが示唆されている。
また、マシンのシリコンウェーハ部品の欠品も影響しているという。MicroBTの代表は「来年の先行注文に間に合わせるために、韓国サムスンからチップの調達に努めている」とコメントした。一方、Bitmainは台湾のTSMC社とチップの調達を調整しているところだ。
マシンも値上がり
一括注文では在庫が切れているが、小売の注文は未だ可能。しかし値段は跳ね上がっている状況だ。例えば、BitmainのS19Proでは、11月初めに市場価格は約3,300ドルだったが、現在個別売りでは3,800ドル〜4,100ドルに値上がりしている。一方、来年4月出荷予定の先行注文だと、2,684ドルで購入できることになっている。
米大手仮想通貨投資企業DCGグループのマイニング関連子会社FoundryのMike Colyer CEOは、「一部の顧客は一括で、1,000台のマシンの購入を計画している」と話した。北米ではマイニングファームの建設が多くなっているが、チップなどの部品の供給速度が落ちているという。
北米注文主導
また、以前では中国のマイニングプールなどの大型業者がマシンを大量に買っていたが、今年では中国の海外からの注文に対する輸送が多くなっており、Q3以降は生産されたマシンはほとんど海外へ送られているという。
海外注文が増加していることについて、中国のマイニング業者責任者のDejun Ge氏は、「MicroBTとBitmainの在庫は大規模な業者とファンド企業に買われている。自社採掘をするか、もしくは将来より高い値段で転売するといった手法をとっている」と説明した。
大企業の注文は、通常では5,000台からスタートする。今年では、米上場企業のRiot BlockchainやMarathon Patent GroupはS19Proなどのフラッグシップを大量注文し、採掘速度(ハッシュレート)のシェア拡大を目指している。
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一方、北米のハッシュレート拡大について、Ge氏は海外の大量購入はハッシュレートが必ずしも海外に移ることを意味するわけではないと指摘。「購入の注文は契約者の所在を示すが、ハッシュレートのフローは市場環境によるものだ」と説明した。
早期購入をしていた一部の企業は先行者利益としてより安い値段で購入し、ビットコインの価格が上昇するタイミングで高騰するマシンを転売、価格のプレミアムを得ることも多く見受けられるケースだと指摘した。
電気代などの運営コストの面だけでなく、半減期後の報酬減額やビットコインネットワークのハッシュレートが高値圏にあることなどの要素も影響し、ハッシュレートを拡大するハードルは以前よりも高くなっているという。
ビットコインからイーサリアムへ
ビットコインの生産コストが高まる中、今年のQ3以降、中国の一部の中小業者はイーサリアム(ETH)の採掘に移っている。現在の価格帯では、ビットコインマシン一台の「元本回収期間」は約2年だが、イーサリアムは3ヶ月のため、利回りがより優れている。
中国の融資業者Babel Financeはイーサリアムマイニングの現状を明かした。現在業者への融資は2200万ドル規模で、その9割の担保はGPUやイーサリアムのASICマシンになっている。Flex Yang CEOは、「多くの既存ビットコインマイニング業者が融資しイーサリアムのマイニングにも展開している」とした。
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