余剰資本などを考慮せずと反論
ステーブルコインUSDT発行で知られるテザー社のパオロ・アルドイノCEOは1日、格付け会社S&Pグローバル・レーティング(以下、S&P)によるUSDTドルペッグ能力の格下げに反論した。S&Pが同社の財務状況を誤解していることを指摘する格好だ。
アルドイノ氏は、2025年第3四半期(7~9月期)の準備金監査報告書を引用して、次のように説明した。
テザー社は、数十億ドル規模の超過準備金(準備資産が発行量を上回る準備金)と、300億ドルに迫るグループ全体の自己資本を引き続き維持している。
2025年9月末時点で、約1,845億ドルのステーブルコイン準備金に加えて、それを超過する70億ドルの余剰資本を保有しており、さらに約230億ドルの留保利益をテザー・グループの自己資本の一部として持っている。
テザー社の総資産は約2,150億ドル(約33兆円)であるのに対して、ステーブルコインの発行量に対応する負債は約1,845億ドル(約29兆円)だとも強調している。資産が負債を超過している形だ。
こうした表明の背景としては、S&Pが先月、テザー社の米ドルステーブルコイン「USDT」に対する評価を、最も低い「5(弱い)」に引き下げたことがある。
S&Pは、テザー社が準備資産で保有するビットコインの価値が循環供給しているUSDTの約5.6%に達しており、ビットコイン価格が下落した場合に、その価値の減少を完全には吸収できないと主張。ビットコインと他の高リスク資産の下落が組み合わさることで、裏付け資産が不足する可能性があると続けていた。
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アルドイノ氏はこれに反論し、S&Pはテザー社の余剰資本や、米国債の利回りだけで生み出されている月間約5億ドル(約780億円)の利益を考慮に入れていないと指摘している。
別途、著名仮想通貨アナリストのアーサー・ヘイズ氏も、テザー社は米国債利回りなどから金利を得ているが、金利が低下した場合の対策として、ゴールドとビットコインにポジションを増やしているのではないかと分析。それらが下落すれば理論上はUSDTが債務超過に陥ると意見していたところだ。
これに対しては、仮想通貨専門家のJoseph氏が応答。テザー社の企業資産のすべてが、準備金監査証明書に掲載されているわけでないと指摘した。テザー社の利益は準備金監査証明書とは異なる、別の自己資本の貸借対照表に積み上げられていると続ける。
さらに、テザー社はきわめて高収益で、その自己資本は価値があり、必要な場合は株式売却で財務の穴を埋めることもできると分析した。アルドイノ氏も、この見解をXでシェアしている。
米国債とゴールドの保有量は国家規模
テザー社の米国債保有額は9月末時点で、直接・間接を合わせて約1,350億ドル(約21兆円)に達し、過去最高を記録していた。世界的に見ても、国家級の米国債保有者となっている。韓国を上回り、国別保有ランキングで17位に位置する格好だ。
さらに、同社が保有するゴールド(金)についても、約116トンに達していると推定され、中央銀行以外で世界最大の保有者として位置づけられている。テザー社は金担保トークンXAUtを発行しており、今年に入ってから貴金属生産企業への出資に3億ドル(約470億円)以上を投じた。
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ステーブルコインとは
価格が常に安定している(stable)仮想通貨を指す。ステーブルコインは暗号資産の一種で、BTCやETH、XRPなど変動性のある資産とは異なり、法定通貨などの資産に裏付けられその価値を保つことが目的だ。法定通貨連動型(米ドル連動のUSDT・USDCなど)のほか、アルゴリズムを利用するステーブルコインもある。



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