TVLも増加が続く
ビットコインが高騰し、過去最高値20,000ドルの更新も視野に入る中、一時沈静化していたDeFi(分散金融)銘柄が好調なパフォーマンスを見せている。
DeFiのパフォーマンスを示すインデックスの一つであるDeFi Pulseインデックスは、11月初頭にコインマーケットキャップで56.74ドルの安値をつけてから上昇に転じた。記事執筆時点で100ドル付近まで回復している。
DeFi銘柄から構成された同インデックスには、Yearn.financeのガバナンストークンであるYFIやLENC、DeFiレンディングを手がけるコンパウンド(Compound)COMPなどの仮想通貨(暗号資産)が含まれる。DeFi市場の急拡大は、基盤となる仮想通貨イーサリアムブロックチェーンネットワークにおけるユーザーアクティビティの増加をもたらした。
また、TVL(DeFiに預け入れられた仮想通貨の総価値)が上昇を続けていることも注目される。DeFi Pulseによると、14日に140億ドル近くまで増加して過去最高を更新、現在は135億ドル(約1兆4200億円)ほどで高止まりしている。
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Sushiに復活の兆し
個別銘柄に目を向けると、AAVEやYFI、UNI、SNXなどのDeFiの上位銘柄も底値からの回復が著しい。大きな話題を集めたSushi(SUSHI)も仮想通貨情報サイトのCoinGeckoによると14日間で197.4%の高騰を見せている。大手DEX(分散型取引所)のUniswapにおける「流動性マイニング」が17日に終了したことで、他プロジェクトに資金が流れた。
資産をプールに預け入れ流動性を提供することで収入を得るモデルは、Uniswapにおいては一区切りついたが、現在は第二弾実現に向けたコミュニティ投票が実施されている
一方、UniswapからフォークしたSushiは、開発者Chef Nomi氏の背信行為で将来性に影を落としていたが、仮想通貨デリバティブ取引所FTXのCEOであるSam Bankman-Fried(SBF)の呼びかけに応じ、秘密鍵を含むSushiSwapプロジェクト管理権限を譲渡することを発表。
その後復活の兆しも見えはじめた。SushiのTVLはUniswapの流動性マイニング終了と前後して急増、本家Uniswapにも迫るTVLとなっている。
関連:「寿司(Sushi)」は小説より奇なり 華々しいデビューから一転、創設者が管理権をFTXのCEOに移譲また、yearn.finance(YFI)では、Yeran 2.0 yVaultsがローンチされたとの材料がある。CoinGeckoによると、YFIは2週間で225.3%上昇している。
yVaultsでは、FX取引におけるフォロートレードのように、そのValutに複数のストラテジーが提供されており、パフォーマンスの高いストラテジーが必然的に生き残るよう設計されている。有識者であるDeFiGod によると、2.0 yVaultsでは2%の管理手数料と利益の20%が手数料となり、ストラテジーの考案者に明確なインセンティブが与えられるという。
その他、流動性プロトコルのAAVEは、バージョン2のパブリックテストネットが稼働したことを今月12日に報告した。CoinGeckoによると、AAVEトークンは2週間で147.9%上昇している。
DeFiの熱狂を経たそれぞれのDeFiプロトコルは、そこで得た知見をもとに、新たなステージへと足を踏み出そうとしている。
参考:DeFi Pulse
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