新制限
業界最大手の暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンスが本家のサイト「Binance.com」で、米国のユーザーからのアクセス制限をさらに強化している。
カスタマーサポートのEメールで判明した新たに発表された制限ルールによると、バイナンス側は特定した「米国居住者のユーザー」に対し、14日以内に出金を行うよう通知を行なった。
同ルールは、米国ユーザーがBinance.comの利用を禁止する措置で、ユーザーは通知されてから14日以内に仮想通貨の資金を引き出す必要がある。期限が過ぎた場合は、口座が閉鎖されるという。
バイナンスは米国の規制に準拠するために、2019年7月より米国ユーザーへのサービスを中止してきたが、直近までは、米国のユーザーでもサイトで「米国居住者ではない」と選択するとアクセスできるなど、抜け道があった。先日には、90日以内の出金を求めるEメールが確認されたが、今回、14日に大幅な短縮を行い、米国のユーザーへのアクセス制限を急ピッチで進めている。
バイナンスが制限を強化している理由は、主に米国規制への対応だ。米国では最近、グローバル仮想通貨取引所への追及が強まっており、10月のBitMEXへの法的追求の報道を受け、一部のグローバル取引所は米国での運営を見直している。
なお、バイナンスは、米国規制に則ったサービス設計も進めており、米国ユーザーが利用できるサービスもある。19年に開始したバイナンスUSでは、特定の州を対象に50を超える銘柄を米ドル建等の取引ペアで提供している。
米国は重要な事例に
バイナンスが進出していない日本は置かれる状況が異なるものの、これらの対応措置は、暗号資産交換業のライセンス制度を整備する日本にも波及する可能性は十分に考えられる。米国の事例は今後の展開を読む上で、重要な事例となりそうだ。