仮想通貨のポテンシャル
市場分析などを手掛け投資助言業を行うグローバル・マクロリサーチのRaoul Pal CEOは、暗号資産(仮想通貨)は様々な金融市場におけるプレイヤーとなり、「何兆ドルもの価値」を生み出し得るとした。
同氏は先日、保有していたゴールドを売却し、仮想通貨に振り分け、所有する仮想通貨をビットコインが8割、イーサリアムを2割の比率で増やすと発言。自身の流動資産の98%がBTCとETHになるという。
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ビットコインかイーサリアムか
Pal氏は一連のツイートでビットコインを取り上げ、国債などとの比較を持ちだした。
A few things to make you think…
— Raoul Pal (@RaoulGMI) December 11, 2020
If bitcoin is the digital pristine collateral, the size of global gov bond market is $123trn.
Pretty amazing opportunity for bitcoin.
仮に、ビットコインが新たなデジタル版担保資産となったら、グローバルな国債規模は約123兆ドルになる。ビットコインにとって、とても素晴らしいチャンスだろう。
グローバルカストディシステム(23兆ドル)、決済レイヤー(年間4千兆ドル)、デリバティブのレイヤー(年間1.2千兆ドル)、株式(年間70兆ドル)、FX市場(年間1.7千兆ドル)、債券市場(年間260兆ドル)など、これらがそれぞれ巨大な市場であり、ビットコインやイーサリアム、XRP、その他ブロックチェーンが参入しうるとした。一方で、仮想通貨セクターにいる多くの投資家は金融市場の規模と複雑さを理解できていないとも指摘。
Pal氏は、セクター別でビットコインやイーサリアム、その他の銘柄における価値の創出のシナリオをこのように想定している。
- グローバルカストディシステム:ビットコイン、イーサリアム(より可能性が高い)
- 決済レイヤー:ビットコイン、イーサリアム、及びその他のプライベート銘柄
- デリバティブのレイヤー:ビットコインとイーサリアムが主要プレイヤーへ
- 株式:イーサリアムおよびその他のプロトコル
- FX市場:ビットコイン、イーサリアム、XRP等
- 債券市場:国債以外の債券ではイーサリアム(全体貸付市場では倍にする可能性も)
勝者総どりにはならないだろう。それは不可能に近く、それぞれのブロックチェーンに制約がありトレードオフがある、それは金融世界の複雑さにも迎合する。
「それこそ自分がデジタル資産に目を向ける理由だ」としたPal氏は、失敗があろうとも最後には「何兆もの価値がデジタル資産、トークン、プロトコルとそれらを結びつける仮想通貨の間で生まれるだろう」と語る。
また同氏は、ビットコインの価値の保存手段としての利用価値だけでなく、ブロックチェーンの可能性、つまり伝統的資産のトークン化にまで目を向けている。
そして、我々は、不動産から知的財産、ゲームのスキンから固定資産、証券から収入源まで(あらゆる)資産をトークン化できる。それは恐らくETHの領域になる。
そのほかにも、仮想通貨やブロックチェーンが使用される分野として、グローバルなサプライチェーンや、貿易金融、クレジットカード、証券の貸借、レポ市場などを挙げた。
特にイーサリアムについては、「マネーや担保はあくまでベース(基礎の)レイヤー」だとし、上に挙げてきた理由(様々な市場への参入可能性)から、「ETHは10年以内に(BTCより)時価総額が大きくなるかもしれない」と見ている。