情報漏洩でフィッシングメールに注意
暗号資産(仮想通貨)ハードウェアウォレットを提供するLedger社が今年7月にハッキングされた件で、流出していた顧客データが現在ダークネット上で公開されていることが明らかになった。
漏洩データを元にしてユーザーにフィッシングメールが送られるなどしており、フランス本社からのウォレット購入やニュースレター登録をしている場合、特に注意が必要な状況にある。
日本正規代理店のハードウェアウォレットジャパンが今年7月に公開したアナウンスによれば、購入経路が日本の販売代理店の場合、フランス本社とは別に個人情報を管理している。
ハードウェアウォレットジャパン
当社は日本の代理店として独自に個人情報を扱っておりますので、 当社で購入されている場合は、個人情報の流出や資産について問題ございません。 ご安心ください。
ただし、今回漏洩したデータに含まれないが、販売代理店は1社ではなく複数あるため、注意を払うに越したことはない。あるダークネットには、盗まれた顧客データがダウンロードできるようアップロードされており、投稿主は「このデータベースは当初5BTCで取引されていたが、今は無料閲覧できるようになった」とコメントしている。
これについてネットセキュリティ企業Hudson Rockの共同創設者Alon Gal氏は、次のように警告した。
ALERT: Threat actor just dumped @Ledger's database which have been circling around for the past few months.
— Alon Gal (Under the Breach) (@UnderTheBreach) December 20, 2020
The database contains information such as Emails, Physical Addresses, Phone numbers and more information on 272,000 Ledger buyers and Emails of 1,000,000 additional users. pic.twitter.com/Sv9cQwhuNy
注意:過去数ヶ月間、(ダークウェブに)出回っていたLedger社のデータベースが無料公開された。データベースには、27万2000人のLedger購入者と、その他100万人のユーザーの電子メール、住所、電話番号などの個人情報が含まれている。
購入者以外にも、Ledger社のニュースレターに登録していたユーザーの情報も漏洩したようだ。
仮想通貨メディアThe Blockのリサーチディレクター、Larry Cermak氏がLedger購入者とチェックを行ったところ、その5割の人々について、今回漏洩されたリストに含まれていたという。
Ledger社の対応
渦中のLedger社は、この漏洩事故について声明を発表。
It is a massive understatement to say we sincerely regret this situation. We take privacy extremely seriously. Avoiding situations like this are a top priority for our entire company, and we have learned valuable lessons from this situation which will make Ledger even more secure
— Ledger (@Ledger) December 20, 2020
「このような状況に至ったことを心底後悔している。私たちは、プライバシーの問題を非常に真剣に考えており、このような事態を避けるのは当社の最優先事項」であるとして、さらにセキュリテイを強化すると述べた。
Ledger社は事件以降、新しい情報セキュリティ責任者を雇用しており、また外部のセキュリテイ会社と共に現行システムを分析した。また、公式サイトで今回の件についてのQ&Aや現在発生しているフィッシングの手口について公開している。
この件に関連して、他の仮想通貨ウォレット企業にも問題が波及。ウォレット大手のTrezor社は、過去数日間で一部ユーザーにフィッシング詐欺が行われたと警告。Ledger社を念頭に、「同社からデータ漏洩は確認されておらず、競合他社からの不正流出データが使用されている可能性がある」と指摘した。
フィッシング詐欺は、偽のTrezorサイトリンクが送信され、ウォレットの復元パスワードを入力するように促す手口だという。Trezor社は、「復元パスワード、ID、ウォレットパスワード」などの重要情報を、テキストメッセージで要求することは決してないとして警鐘を鳴らしている。