はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用 WebX
CoinPostで今最も読まれています

DeFi保険関連銘柄COVER、一時95%下落──カバープロトコルに何があったのか

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

カバープロトコルが攻撃を受ける

12月28日、分散型金融(DeFi)でP2P保険マーケットを構築するカバープロトコル(Cover Protocol)のスマートコントラクトが攻撃を受け、ハッカーが4000京(4000×10の16乗)ものカバートークンを鋳造するという事件が起こった。

これを受けて、カバープロトコルは流動性プロバイダーにサービス停止を要請。さらに大手取引所バイナンスがカバートークンの取引を停止したことから、同トークンの価格は一時95%以上暴落した。しかし、その数時間後、実行犯がトークン売却で得た全資金を返還したとツイートしたことから、執筆時にはトークン価格は70%程度の下落まで一時値を戻している。

「次回は、自分で尻拭いしろよ」

攻撃手法

カバープロトコルチームは事件の原因について、流動性ファーミング契約「Blacksmith」が、「無制限の」カバートークンを鋳造するために悪用されたと説明している。現在は、さらなる被害を食い止めるために、Blacksmithの鋳造アクセスは削除されている。調査は継続中だが、11月に合併したYearn Financeのチームもサポートに加わっているとのことだ。

一方、Polymath NetworkのセキュリティエンジニアであるMudit Gupta氏は、自身のブログで悪用されたスマートコントラクトのバグについて次のように解説している。

「Blacksmithの契約では手数料であるガスを節約するために、プールデータをメモリにキャッシュする。ストレージのプールデータは更新するが、キャッシュされたデータを更新するのを放置してしまう。このキャッシュされた古いデータが利用されハッキングを可能にする。」

Blacksmith契約では、トークンごとの報酬を記録し、多くのトークンがロックされている場合はトークンごとの報酬は少なくなる。一方、少数のトークンがロックされている場合、1トークンあたりの報酬は多くなる。この報酬を計算するための関数が「accRewardsPerToken」で、プール報酬合計・トークン残高合計を算出するために使われる。

ハッカーはaccRewardsPerTokenの数値を高める複数のステップを踏み、システムから支払われる報酬総額を巨大に膨らませたようだ。

1. 新たに承認されたBlacksmith契約にLPトークンを入金(他者のトークンがロックされていない状態)

2.ほぼ全てのLPトークンを引き出す
=accRewardsPerTokenの数値が大きくなる

3.LPトークンを再度入金
 =上記のバグによって、古い数値(小さい数値)が報酬の算出に使用される

4.算出された巨額の報酬を引き出す

被害額

この手法を使い、実行を認めたハッカー「GrapFinance」は、引き出したカバートークンをETHをはじめDAI、WBTCなどに換金したが、GrapFinanceは4350ETHを含む精算された資金全てをカバープロトコルに返還した。しかし、UniswapとSushiswap等を介して換金されたカバートークンは7万2900のみだと報道されており、引き出された残りのカバートークンはバーンされたようだ。GrapFinanceがカバープロトコルに返還した額は約300万ドル(3.1億円相当)だという。

ただし、カバープロトコルはGrapFinanceだけではなく、複数のハッカーによって攻撃されたと見られており、Mudit Gupta氏によると、この攻撃で鋳造された約7万のカバートークンが流通しているという。他のハッカーがGrapFinance同様、このトークンをバーンするかどうかは今後の展開を待つしかないようだ。

新しいトークンを発行する可能性

カバープロトコルは、今回の違法な鋳造以前のLPトークン保有者のスナップショットに基づいた新たなカバートークンの発行を検討中だと発表した。ハッカーによって返還された4350ETHも、スナップショットにより処理されるとのことだ。

カバープロトコルチームは、調査結果が明らかになるまで、カバートークンの購入を控えるようにとユーザーに呼びかけている。

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
09/18 木曜日
16:50
「社会のジレンマを突破する」日本初のステーブルコイン発行ライセンス取得、JPYC岡部典孝氏が語る|独占インタビュー
JPYC株式会社が日本初の日本円建てステーブルコイン発行ライセンスを金融庁から取得。代表の岡部典孝氏が語る100万円制限の実態、3年後10兆円の発行目標、プログラマブルマネーがもたらす金融革命とは。
13:40
ウォーレン米議員ら、トランプ政権の仮想通貨特命官に対する倫理調査を開始
エリザベス・ウォーレン米上院議員ら8名の民主党議員が、トランプ政権のAI・仮想通貨特別顧問デービッド・サックス氏の特別政府職員としての任期制限超過疑惑について倫理調査を開始した。130日の上限を超過している可能性を指摘し、詳細な勤務日数報告を要求している。
13:35
米SECが承認、BTCやXRP投資のマルチ仮想通貨投資信託のETF転換
米SECがグレースケールのマルチ仮想通貨ETPを承認し、ビットコインやイーサリアムなど5銘柄への一般投資家アクセス投資が可能になった。新たな包括的上場基準も同時に導入されている。
13:02
ポリマーケットでの裁定取引で年間60億円の利益発生か 研究者ら分析
分散型予測市場ポリマーケットでミスプライシングを利用した裁定取引により年間60億円の利益が発生しているとの論文が発表された。研究者による分析を解説する。
12:04
FRB利下げ決定も仮想通貨の市場反応は限定的、BNB前週比9.2%高で1000ドルの大台迫る
FOMCでは米FRBが0.25%利下げを決定したが、暗号資産(仮想通貨)への影響は限定的だった。主要アルトコインでは、BNBが前週比9.2%高の1,000ドル目前に。背景としては、バイナンスの規制環境の進展の兆しとMegadropなどの需要が挙げられる。パウエル議長は年内2回の追加利下げを予想するも慎重姿勢を維持。
11:03
業界の行方を決める「天王山」に臨む──ビットバンク廣末氏が描く未来戦略
ビットバンク廣末紀之CEOが語る、預かり資産1兆円規模への成長と今後の展望。金商法への移行と分離課税実現に向けた2025年後半は業界の「天王山」。
11:00
ビットコイン・トレジャリー企業の勢い減速か、4社に1社が純資産割れで取引=K33報告
K33リサーチなどが報告したところによると、ビットコイン・トレジャリー企業の4分の1が純資産価値を下回る時価総額で取引されており、業界の統合が進む可能性が指摘された。
10:02
ヴィタリック、イーサリアムの開発計画をプレゼン
ヴィタリック・ブテリン氏は、仮想通貨イーサリアムの開発計画についてプレゼンを行った。大阪で開催されているイーサリアムのカンファレンスEDCONに登壇した。
09:40
フォワード・インダストリーズ、最大5900億円規模の資金調達でソラナ戦略を推進
米上場企業フォワード・インダストリーズが最大40億ドル規模のATM増資で仮想通貨ソラナトレジャリー戦略を推進する。DeFi Development Corpもソラナ買い増しを発表した。
08:45
トランプ・ジュニア出資のサムザップ、750万ドージコインを初購入
米ナスダック上場のサムザップメディアが750万ドージコインを200万ドルで公開市場から初回取得したと発表した。
07:20
米SEC、仮想通貨ETF上場手続きを大幅簡素化へ
米証券取引委員会が、ナスダック、Cboe BZX、NYSEアルカの3大取引所による包括的上場基準を承認。今後、仮想通貨を含むコモディティベース株式の上場プロセスが大幅に簡素化される見通しである。
07:10
SBI新生銀行、トークン化預金「DCJPY」の導入を検討へ
SBI新生銀行は、円建てトークン化預金DCJPYの導入を検討すると発表。JPモルガンらが参加するプラットフォームを活用し、トークン化預金での多様な外貨の取り扱いも検討する。
06:50
仮想通貨取引所Bullish、NY州からビットライセンス取得 米国展開へ
機関投資家向け仮想通貨取引所ブリッシュが17日にニューヨーク州金融サービス局からビットライセンスと送金業ライセンスを取得したと発表した。
06:25
マネーグラム、ステーブルコイン送金サービス開始 
国際送金大手のマネーグラムが9月17日にクロスミントと提携しステーブルコインを活用した新たな送金サービスを南米コロンビアで開始すると発表した。
06:02
カルシ、予測市場エコシステムハブ開始 ソラナとベースと提携
予測市場プラットフォーム大手Kalshiが17日、ソラナとベースとの提携によるエコシステム支援ネットワーク「カルシエコ」の開始を発表した。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧