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イギリスは仮想通貨をどの様に規制するのか EU離脱後の最新動向

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

業界の意見を募集

英国財務省は、暗号資産(仮想通貨)とステーブルコインの規制について、広く業界及び利害関係者に意見を求める公開協議プロセスを開始した。

1月7日に発表された46ページにわたる協議文書では、既存の規制に言及しつつ、改めて規制の原則や目的をはじめ、仮想通貨やステーブルコインの適切な分類法や運用システムに対する規制、また分散型金融(DeFi)とネイティブトークンなど、30項目に上る仮想通貨規制に関する提案ごとに、コミュニティの意見を求めている。

中でも、英政府はステーブルコインに対して「機会とリスクに対する緊急性が最も高い」と判断しており、その健全な規制環境の整備に焦点を当てることを重要視しているようだ。

ステーブルコイン規制

イギリスは2018年に、急速に発展する仮想通貨市場の影響を調査する目的で、タスクフォースを立ち上げたが、当時、仮想通貨市場はまだ未熟な発展段階であるとの判断が下された。

しかし今日、仮想通貨市場を取り巻く状況は急速に変化しており、中でも、ステーブルコインを利用した決済の普及は、資本市場に大きな利益をもたらす可能性がある一方で、金融システムの安定性にとってはリスクとなる場合もあると文書は指摘している。

一口にステーブルコインと言っても、安定した価値を保つ設計上の特徴には様々なものがあり、その機会とリスクは、設計、導入規模、利用目的によって、それぞれ異なる。そのため、この協議文書では、ステーブルコインを定義するとともに、その特徴によって金融行動監督機構(FCA)の基準に則って分類し、規制の対象となり得るかについての指針を与えている。

ステーブルコインの運営主体や報告義務についても言及しているが、特筆すべきは、規制当局が、ステーブルコインの定義にあたり、その設計技術が必ずしも分散型台帳技術(DLT)を利用しているとは限らないとの認識を示していることだろう。

協議文書では、ステーブルコインとして規制対象を次のように定義している。

「法定通貨やコモディティなどの一つ以上の資産に裏付けられることによって価値が安定し、価値の保存または交換手段として、より信頼されて使用することが可能なトークン」

そしてその中には、「トークン化された中央銀行通貨」ならびに「トークン化された支払い・決済資産」も含まれると付け加えた。

EU完全離脱を踏まえて

イギリスは、約1年の移行期間を経て、昨年12月31日に、EUから完全な離脱を果たした。

法域によって仮想通貨規制の範囲や内容は異なるため、英財務省と規制当局は、EUの仮想通貨規制法案を含む他国の規制動向を注視しているという。協議文書では、英国内の仮想通貨規制とEU諸国をはじめとする他国の規制と、どのように整合性をとるかについてのアプローチにも言及している。

一般的には、英財務省は法律で詳細な要件を特定する代わりに、規制の目的や原則、そして規制範囲を定義する方針だという。詳細な規制要件については、金融サービス規制当局が精査の上、協議することになる。

なお、国境を超えるステーブルコインの利用については、英国の消費者向けに事業を展開する企業に対し、英国内の事業所設置と認可要件の可否について検討していると具体的に述べている。

業界の意見を規制に反映

財務省は現場の生の声を反映するため、業界との協議を重要視している。協議文書への回答提出期限は3月21日までだが、協議の一環として利害関係者との意見共有のため、官民両者参加のプログラムの実施を予定しているとのことだ。

このような協議プロセスで得られた情報に基づき、仮想通貨が利用される可能性がある領域と、どこに最も深刻なリスクが潜んでいるかについて政府の規制へのアプローチを決定し、「同じリスクには同じ規制措置」の原則を適用するという。

「フィンテックの世界的リーダーとして、英国の金融システムが信頼されるためは、人々が新しい技術を安全かつ確実に利用できる最高の規制基準を維持する一方で、企業がイノベーションを起こせるような規制環境を整えることが欠かせない」と財務省は述べている。

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