仮想通貨市場の動向
暗号資産(仮想通貨)取引所Bybitが、2021年にかけて高騰するビットコインやイーサリアムについて分析した。
20年12月に過去最高値(ATH)を更新したビットコインは、薄商いの年末年始も価格上昇を継続。21年1月に4万ドル台に到達し、20年3月のコロナ・ショック時からおよそ10倍高となった。しかしその後、ビットコイン価格は再び急落するなど乱高下し、仮想通貨市場の時価総額は、一時前日比27兆円減を記録した。
一方、時価総額2位のイーサリアム(ETH)もビットコインの高騰に連動する形でアルト相場の上昇を牽引。2018年2月以来およそ2年ぶりに1ETH=1000ドルの節目に到達。その後、乱高下している。
デリバティブ大手のBybitは、ビットコインの採掘を行うマイナーの動向が下落に影響を及ぼしていると説明する。
仮想通貨分析企業CryptoQuant社の独自指標であるマイナー・ポジション指数(MPI)がビットコインを売り過多傾向を示唆していると指摘した。
MPIはマイナーのビットコインアドレスから1年間で離れるBTC枚数を図る指標だ。2以上の数値である場合、多くのマイナーが売りに走っていることを示す中、2020年は年初からMPIが頻繁に「2」を超えていたと説明している。
一方で、仮想通貨分析企業Chainalysis社の調査によると1000BTC以上を保管するいわゆる「クジラ」(大口投資家)は20年12月に仮想通貨取引所が売った実に33%以上の清算額を吸収したことが判明しており、相場の上昇に貢献しているとBybitは説明している。
しかしその後、大口の買い手からの買い圧が落ち着いたことが相場の急落に貢献したとの見解を示した。
またオプション市場のIV(インプライド・ボラティリティー)も相場の過熱を示唆、相場が急落した8日には一時150%を推移、上昇を期待する声も聞こえた。
今後の相場を見る上で踏まえておきたい指標
さらにBybitは2021年の仮想通貨相場の今後を展望する上で重要となる指標を複数挙げた。
- 2020年のBTC騰落率(他マクロ資産を凌駕する+270%)
- グレースケール社のビットコイン投資信託の価格プレミアム
- ビットコインの準備資産(Reserve Asset)化
- ビットコイン関連のオプション取引
- DeFiの台頭
- 取締強化の動き強める各国の規制当局
- ビットコインのドミナンス(市場占有率)
- 減少した仮想通貨取引所のBTC保有額
- ステーブルコインの台頭
- 2020年後半に増加したOpenSeaの出来高
- dAppsの為のスケーラビリティ・ガス代の低下
注目集めたビットコインの騰落率
リスクヘッジ、デジタルゴールドとしての見方が強まったビットコインは「新型コロナウイルスの年」で経済状況が不況となった中でも年間騰落率は株式や、頻繁に比較対象とされる金(ゴールド)のパフォーマンスを上回った。また単純比較はできないものの、BTC価格の上昇を受けビットコインの時価総額は世界有数の大手企業の株式と比較してもTOP10にランクインするまで急増している。
#Bitcoin has surpassed Facebook $FB in market cap. Makes sense that a money network would be more valuable than a social network. pic.twitter.com/XofI9W0Mce
— Cameron Winklevoss (@cameron) January 8, 2021
さらにNASDAQで上場している米国投資企業のMicroStrategy社が総額11億ドル(1170億円)以上を仮想通貨に投資、法定通貨に代わる企業の「準備資産」として約70470BTC(1BTC平均で15964ドルで購入)を買収した事例も注目を集めた。
2021年もバイデン次期政権下では新型コロナウイルス(COVID-19)への対策としてさらなる追加経済政策が行割れる可能性がある為、今後も他の企業からリスクヘッジとしてビットコインが再び注目されるかもしれない。
GBTCと現物価格のプレミアム
またBybitは、米国の大手仮想通貨投資企業グレースケール社が提供するビットコイン投資信託(GBTC)の価格プレミアムも覚えておきたい指標の一つだと指摘した。
仮想通貨分析企業CoinSharesの調査によると、流通する仮想通貨投資商品の中でもグレースケール社は75%の出来高を占めており、1月11日時点の資産運用額(AUM)は240億ドルを超えている。
同社の投資信託商品はまず機関投資家や認定投資家を対象に販売された後、半年間のロックアップ期間を経た後、一般投資家などが購入できる流通市場に提供が可能となる。その為価格乖離が発生しやすく、現物価格と30%以上の差が生じる事も多々あった。
仮想通貨関連のオプション取引
さらに注目したいのは、ビットコインをはじめとするオプション取引商品の拡充だ。現物の仮想通貨保管を避ける傾向にある機関投資家でも参画しやすいことから注目があるとBybitは予想。さらに2月8日にはイーサリアムの先物取引開始が控える為、憶えておきたい。
ビットコインの市場占有率
さらに仮想通貨市場の重要指標の一つとしてBybitは「ビットコイン・ドミナンス」を挙げた。
BTCドミナンスは2018年に一時期40%近い水準まで低下していたが、その後ビットコインドミナンスは回復。2020年半ば、DeFi(分散型金融)が流行していた際も減少を見せていた。
現在ビットコインのドミナンスは70%近いが、アルトシーズンの再来には、この数値が低下する必要があるとBybitは指摘している。