仮想通貨投資アンケート
米国内の全資産の内、約半数を管理すると言われるファイナンシャル・アドバイザー(以下FAと表記)を対象とした暗号資産(仮想通貨)投資に関するアンケート結果が発表された。
このアンケートは、仮想通貨インデックスファンド大手の米Bitwise社とETF関連情報分析を行う「ETF Trends」が行ったもので、今年で3年目となる。FAの仮想通貨に対する考え方についての実態を知ることを目的としており、仮想通貨投資の割合、資金源、投資の理由などの質問がなされた。
調査対象
アンケートは、より包括的な状況を把握するため、独立系投資顧問、ブローカーディーラー、ファイナンシャルプランナーなど様々なタイプのFAを対象として、昨年12月に実施された。有効回答数は994で、昨年の415、一昨年の151から大幅に増加した。
平均資産運用額は1億ドル(約104億円)未満が55%、1億ドル〜10億ドル(約1040億円)が36%、それ以上が9%であった。(10兆円以上1%を含む)
個人的に仮想通貨を保有していると回答したFAは24%で、昨年の17%から上昇した。しかし、裏を返せば、保有していないFAが76%存在することも事実のようだ。
調査結果
調査では、以下の7つ側面について結果をまとめている。
1.顧客の仮想通貨に対する関心
回答したFAの81%が、過去12カ月間に顧客から仮想通貨に関する質問を受けたが、そのほとんどは10%未満の顧客からのものだったという。
顧客自身による仮想通貨投資についてのFAの認識は次のような結果となった。
- 投資している:36%
- 投資していない:26% (28%、35%)
- わからない:36%
注:( )内の数字は2020年と2019年の結果。
2. 仮想通貨投資の割り当て
顧客のポートフォリオで仮想通貨投資への割り当てを行っているFAは、昨年の6.3%から9.4%へ増加した。しかし、その割合が10%未満に止まっているため、仮想通貨投資は「アーリーアダプター」の段階であるとレポートは指摘している。
すでに仮想通貨投資配分を行っているFAの78%は今後12ヶ月間に、仮想通貨への配分を増やす予定で、22%は現状を維持すると回答した。
現在、仮想通貨へ投資配分していないFAのうち、17%は今後12ヶ月以内に投資をする可能性(確実に:2%、おそらく:15%)を認めたが、昨年はわずか7%であった(確実に:1%、おそらく:6%)
一方、「割り当てを行わないことは確実」と回答したFAは15%、「おそらく行わない」が28%となった。(合計43%)
3.仮想通貨投資の理由
仮想通貨へ投資する理由のうち、他の資産クラスとの低い相関性(54%)が最も多いが、今年最も増加したのが「インフレヘッジ」(25%:昨年9%)だった。そのほかには、高いリターンの可能性(38%:昨年30%)、新たな投資クラス(28%:昨年23%)が増加した。
一方、仮想通貨投資に全く魅力を感じない、仮想通貨は「偽物」、あるいは顧客のリスクが高すぎるとコメントしたFAもおり、そのような理由で仮想通貨投資を回避するFAも7%ほどいるようだ。
4.投資資金
仮想通貨投資の資金としては、ポートフォリオ内のオルタナティブからの転換が51%(昨年57%)として依然としてトップだが、今年は株式(18%:昨年12%)との回答が増え、現金(17%:昨年15%)を上回った。
5.仮想通貨投資を妨げるもの
仮想通貨投資を躊躇させる理由としては、「規制の懸念」が2年連続トップと54%と2年連続でトップとなった。その他の理由では、ETFや投資信託などのアクセスが容易な投資商品の欠如(37%:昨年39%)、価格変動(39%:昨年43%)、仮想通貨の評価方法がわからない(36%:昨年41%)が挙げられた。
また、カストディやハッキングに対する懸念(30%:昨年34%)や仮想通貨に対する理解不足(36%:昨年31%)も依然として大きな課題のようだ。22%のFAは「顧客に仮想通貨を説明する自信がない」と回答している。
一方、「仮想通貨は詐欺」という懸念を挙げたのは4%で、昨年の6%、一昨年の11%からは減少しており、FAの間で徐々に仮想通貨に対する信頼が培われている様子がわかる。
6.投資環境の改善
仮想通貨投資を検討するために、どのような改善が効果があると考えられているかについては、規制の改善(51%:昨年58%)、教育(50%:昨年31%)、ビットコインETF(47%:昨年37%)、カストディの改善(39%:昨年42%)、取引の簡易化(32%:昨年29%)が挙げられた。
アンケート結果から分かるのは、特に仮想通貨関連の教育とビットコインETFなど投資商品が求められていることだろう。
7.投資方法
仮想通貨に投資する方法として、最も好まれるのはETFであり、64%が支持を表明している。そのアプローチとしては、アクティブファンド(43%)やインデックスファンド(36%)が好まれることもわかった。
ビットコイン価格予想
最後にこのアンケートでは、仮想通貨に対するセンチメントを測定する基準として、5年後のビットコイン価格予想についてFAに尋ねている。パーセンテージの高い順に下記にまとめた。
1. 2万5000ドル〜4万9,999ドル (33%:昨年8%)
2. 1万ドル〜2万4,999ドル (17%:昨年37%)
3. 5万ドル〜9万9,999ドル (16%:昨年3%)
4. 10万ドル以上 (15%:昨年4%)
5. 1000ドル〜6,999ドル (7%:昨年19%)
5. 1ドル~999ドル (7%:昨年10%)
7. 0ドル (4%:昨年8%)
8. 7000ドル~9,999ドル (1%:昨年11%)
特筆すべきは、ビットコインが無価値になると回答したFAは半分になる一方、2万5000ドルを超えると予想したFAは昨年の15%から64%に上昇していることで、全体的に強気の見通しを持っていることがわかる。
10万ドルを超えるという最も強気な予想も4%から15%へ増加したことも興味深い。