今週の相場の動きは
ビットコイン(BTC)市場は11日、前日比+3.93%の608万円(56,200ドル)を記録。日本円建てでは過去最高値の615万円を塗り替え、一時620万円に達するなど、調整局面から力強く反発した。
各指標の騰落率一覧
3/12(金)終値時点の週間騰落率は、以下のようになった。
月初来騰落率
年初来騰落率
(今週の騰落率は、先週の終値、今週の終値を用いて計算。月初来、年初来についても前の月、年の終値で計算)
(仮想通貨の価格は取引所コインベースを参照、各銘柄の価格はTradingviewを参照)
3/6〜3/12のBTCチャート
bitbankアナリスト分析(寄稿:長谷川友哉)
今週(12日正午時点)のビットコイン対円相場は確り。相場は11日、終値で史上最高値を更新し、対ドルでも高値更新が目前に迫る展開となっており、時価総額は1兆ドルを超えた。
先週までレンジでの推移が続いていたBTC相場だったが、5日の米雇用統計が市場の予想を上回ると上昇し、7日の米追加経済対策の上院通過も後押しとなり、今週は節目の5万ドル水準を上回りスタート。
今週はビットコイン上場投資信託(ETF)やグレイスケールの投資信託関連の材料が目立った。カナダでビットコインETFが複数上場される中、グレイスケールGBTCのプレミアム低下が加速しているが、今週はグレイスケールもETF人材の採用を始めたり、SimplifyがGBTCを組み込んだETFの申請を出したりと、新たな発展があった。
また、デジタルカレンシー・グループが、子会社であるグレイスケールのGBTCのシェア購入計画も発表。週頭にはノルウェーのアーケルが新子会社でBTC投資開始もアナウンスしており、企業や機関投資家からのBTC需要が引き続き確認された。
今週注目だった米消費者物価指数(CPI)は、総合で前年同月比1.7%上昇、前月比で0.4%上昇と市場の予想と一致した。一方、変動の激しいエネルギーと食品価格を除いたコアCPIは前月比0.1%上昇し、前年同月比では1.3%上昇したが、市場の予想はそれぞれ0.2%と1.4%の上昇であったため、インフレ高進は一旦抑制が示唆された。
しかし、BTC相場はCPI発表後にも上昇。米株式市場でのリスクオンの恩恵を受けた格好でもあるが、市場ではインフレ懸念が依然として根強いということも指摘される。
今週は10日から11日にかけて、市場の予想物価上昇率を表すブレークイーブン・インフレ率が上昇しており、今年の最高値を終値ベースで2日連続更新した(第2図)。
本稿執筆時点での相場は上昇一服がある。来週には米連邦公開市場委員会(FOMC)を控えており、目先では様子見ムードが広がり高値圏での揉み合いが予想される。今回のFOMC後には、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の記者会見だけでなく、経済見通しが昨年12月ぶりに発表され、ドットプロットとインフレ見通しには特に注目したい。
欧州中央銀行(ECB)は今週、金利上昇に歯止めをかける政策に踏み込んだが、パウエル議長は先週、長期金利急上昇に静観姿勢を示していた。また、今週は株式市場も落ち着きを取り戻し始めており、金利の上昇も一服の様相を呈しており、今回の会見からはあまりハト派的なサプライズは期待できないか。
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