仮想通貨マイニングに優遇措置を設ける法案二つ
米ケンタッキー州で、暗号資産(仮想通貨)マイニングを奨励する法案が二つ、進められている。
一つ目は、税制上の優遇措置を中心とするもので、テクノロジー企業をケンタッキー州に呼び込むための施策の一環だ。ビットコイン(BTC)などの仮想通貨マイニングに使用される有形資産や電力に関して消費税や物品税を免除するという内容となる。
また二つ目は、クリーンエネルギーを使う企業への優遇措置を、仮想通貨をマイニングする企業にも広げるもの。資本要件が規定されており、資本投下額が100万ドル(約1億円)以上のマイニング施設を対象とする。
投票記録によると、一つ目の法案は、3月3日に賛成82票、反対15票で下院を通過した。ケンタッキー州の議事日程によると、この法案は3月15日に上院で審議される予定だ。法案の一部を修正し、免税措置を2030年半ばに廃止することが提案されている。
二つ目の法案は3月3日にケンタッキー州の上院を通過。その後3月12日、下院も賛成74票・反対19票で採決し、現在は最終的な承認手続きを待っているところだ。
米国で進むマイニング設備への投資
米国では現在、北米を世界的なマイニング拠点にするべく、設備投資が進められているところだ。
先日、ブロックチェーン・暗号資産投資で米最大手のデジタル・カレンシー・グループ(DCG)の子会社Foundryがビットコインのマイニングプールを正式にローンチ、機関投資家に開放している。
現在のところ、ビットコイン採掘量の大半を、中華系マイニングプールが占めている状況だが、今後もFoundryのマイニング施設は規模を拡大し、マイニングプールとして、ビットコイン採掘シェアで世界の上位5位内を目指すとしている。
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またFoundryは、マイニングファームCompute Northと提携し、マイニングマシンメーカーMicroBTとも将来の在庫を確保する契約を結んている。北米企業が次世代マイニングマシンをより円滑に調達し、購入後すぐにそれらを稼働させるようにできることが目標だ。
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「マイニング能力の分散化は市場の安定にも寄与」
ウォ―ルストリートジャーナルの取材に答えて、米マイニング企業Core Scientificの成功戦略責任者Russell Cann氏は、ある政府の方針によって、仮想通貨市場が大きく影響を受けないためにも、北米でのマイニング能力拡大は意義があると語った。
特に、ビットコインのマイニング能力が集中しているが、政府が仮想通貨取引を原則的に認めていない中国の動向が念頭に置かれている格好だ。中国が国内のマイニングファームに対して、仮想通貨取引や採掘を抑制する方向の指示を出した場合に、その影響が懸念される。
米国には電力や工場施設などのインフラが既に存在しており、それをマイニング施設に利用することができるとCann氏は指摘。
Core Scientificは、デニムやカーペットの工場など、米国各地で放棄されていた工場施設をマイニング施設としてリノベーション。過去二年間で、9,500万ドル(約100億円)を調達、マイニングリグを設置するため2,000万ドル(約20億円)のローンを確保した。
以前米国では自宅を使った小規模なマイナーが多かったが、現在産業レベルの大規模なマイニング事業が整備され始めている。これから米国の世界的なビットコインマイニングシェアが拡大していく余地はありそうだ。