マネロン対策・事業登録が必要に
韓国の金融委員会が暗号資産(仮想通貨)サービスプロバイダー(VASP)にマネロン対策を義務付ける改正法令が承認されたことを発表。2021年3月25日に発効する見込みである。
この法令でVASPとみなされるのは、仮想通貨取引サービスプロバイダー、仮想通貨のカストディ・管理サービスプロバイダー、また仮想通貨の購入と販売、取引と送信、保管と管理、仲介などに従事するデジタルウォレットサービスプロバイダーだ。
こうしたVASPは、事業を開始する前に、韓国金融情報分析院(KoFIU)に事業登録することが求められるようになった。VASPに当てはまる既存の企業は6か月以内(2021年9月24日まで)に登録する必要があり、登録しない場合は罰則が科せられるという。
2021年3月25日以降より、登録されたVASPはマネーロンダリング防止(AML)要件の対象となり、顧客の身元確認、疑わしい取引に関する報告書提出、ユーザー取引の詳細を記録、などの義務が生じる。他に、顧客資金を別口座で管理していることも必要だ。
当局はマネロン対策要件の準拠に関して事業登録時よりVASPの検査と監督を行う。
FATFの提示する国際基準を遵守
この金融取引情報の報告と使用に関する改正法令は、昨年11月に提出され、今年3月5日の議会による可決を受けて、閣議で承認されたもの。
背景には、国際的な規制機関である金融活動作業部会(FATF)によって定められた国際基準がある。FATFは反マネーロンダリングやテロ資金調達対策のために「トラベル・ルール」いう規則を設定した。
トラベル・ルールとは、マネーロンダリング等防止のための国際的な電信送金に関するルールで、VASPには取引の際、送金者と受取人の情報を収集・交換し、その情報の正確性を保証することが求められる。
対象となるVASP間の仮想通貨送金で、国際的な本人確認(KYC)ルールが適用されることになる。
海外取引所の資産も報告義務を適用へ
韓国は仮想通貨に関する規制の整備を、様々な方向から進めているところだ。
韓国の国税庁によると、「国際税務調整法」の改正を受けて、2022年度から韓国の投資家は、海外の口座に保有している仮想通貨についても報告義務を課せられるようになる。
外国口座が仮想通貨への課税回避手段になるのを防ぐためだという。海外金融口座の合計残高が、仮想通貨とその他資産を合わせて、毎月最終日に5億ウォン(約4,800万円)を超える場合、韓国の居住者や企業は管轄税務署に報告しなければならないという。一方、当局が具体的にどのような方法でこの報告義務を監督するか、詳細は発表されていない。
韓国では2023年より、仮想通貨利益に対する20%課税も開始。年間収入が250万ウォン(約24万円)を超える場合が対象となる予定だ。
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