Gemini子会社のNifty Gatewayがカーボンニュートラル宣言
ウィンクルボス兄弟が運営する暗号資産(仮想通貨)取引所Geminiの子会社であるNFT(非代替性トークン)マーケットプレイスのNifty Gatewayは29日、環境への影響を考慮してカーボンニュートラルを目指す方針を明らかにした。
Nifty Gatewayは2018年に設立されたNFTマーケットプレイス。「CryptoKitties」や「Gods Unchained」などのNFTやdAppsゲームを取り扱ってきており、2019年11月にはウィンクルボス兄弟が経営する米仮想通貨取引所大手のGeminiにより買収、子会社化していた。
ビットコイン(BTC)をはじめとする仮想通貨市場の盛況と、2月からブームとなっているNFTの台頭で一部ではマイニングで大量の電力を消費する仮想通貨の環境への影響の懸念が強まっていることを意識したものと思われる。
親会社のGeminiの発表によれば、Niftyでは以下の環境政策が取り組まれることとなった。
- Niftyのブロックチェーン取引によるCO2排出量を算出
- 月末に排出量の2倍のカーボン・オフセットを購入
- 新たなNFTのミンティング(鋳造)システムの開発
- 気候変動の影響を監視するブロックチェーン技術の開発に650万ドルを寄付
まずはブロックチェーンを監視し、オンチェーンデータを元にCO2排出量を概算するシステムで環境への影響を可視化。排出量に応じて、2倍のカーボン・オフセットを購入する新たな方針の導入を発表した。
カーボン・オフセットはCO2などの排出量に応じて温室効果ガスの削減活動に投資することで温室効果ガスの排出量を埋め合わせ(相殺)するという概念だ。
またNFTをブロックチェーン上で発行する際や、取引する際に発生するカーボンフットプリントを削減するNFTのミンティング(鋳造)システムを新たに開発していることを発表。EIP2309を導入することで約99%の効率化が望める模様だという。
さらにブロックチェーン技術で環境への影響を監視するシステムを開発するOpen Earth Foundationにも650万ドル(約7億円)の寄付を行ったことを発表し、今後も環境への悪影響を抑制する方針を示した。
NFTや仮想通貨の環境への影響
環境への貢献を示す一方で、Nifty社は皮肉にもブロックチェーン上で様々な情報が可視化されている仮想通貨業界は環境への影響が既存の産業に比べると低いと指摘。可視化されているが故に、エネルギーの消費量などに過度な注目が集まっていると分析した。
また既存のアート業界には国際的なイベントに参加する際に発生するフライトや自動車のCO2排出など、NFT業界に比べれば数倍は大きいと批判している。
さらに一部の業界関係者が行った調査を引用し、2017年のイーサリアムネットワークのCO2排出量は地球全体の1%にも満たない0.02%だったと指摘。さらにNFTコントラクトがイーサリアムネットワーク上の1%の取引量であることから、懸念されるほどNFTや仮想通貨業界の地球環境への悪影響は少ないとの見解を示した。