Kyber NetworkのDMM実装
DeFi(分散型金融)プロトコルKyber Networkが、流動性を強化する新たな仕組みKyber DMM(Dynamic Market Maker)をローンチしたことがわかった。
Kyber DMMは次期大型アップグレード「Kyber3.0」の一環で、これからも新ロードマップに沿って新機能を実現させていくとした。
After months of research, we're excited to unveil the mainnet beta of Kyber Dynamic Market Maker (DMM) protocol! 🚀https://t.co/RjjAK3qe5V is a next-gen AMM designed to optimise fees and enable extremely high capital efficiency for liquidity providers. https://t.co/aSMArRzw7t pic.twitter.com/QyvPEIOeQb
— Kyber Network (@KyberNetwork) April 5, 2021
Kyber DMMは、既存のAMM(Uniswap等)の仕組みと異なり、流動性および資本効率性を大幅に改良されたものだ。この仕組みには主に以下4つの特徴がある。
- AMMと比較し、「拡大されたプール」の資本効率性がより高まる
- 取引のスリッページを軽減
- 自由に設定できる手数料、変動損失の軽減
- 中央集権的オラクルのリスクがない
Kyber DMMは「拡大されたプール(Amplified pools)」という仕組みを最大の特徴とする。では、Amplified poolsとは何か。ここでは、資金プールにおいて「AMP」という点数が導入され、数値が高いほど資本効率性が「一定の値幅」の範囲で高まる。プールクリエイターがあらかじめ設定し、流動性プロバイダーがそれぞれのAMPをもとに流動性を提供することができる。
また、同じトークンペアのプールでも、異なるAMPを導入することが可能。プールクリエイターはAMPに沿って、プログラム可能な「pricing curve(価格帯を表すカーブ)」を設定できる。一方、既存のAMMでは、トークンペアのpricing curveは不変で、フレキシビリティーに欠けている。
スリッページや手数料など
Amplified poolsの利点は、資本効率性だけでなく、トークン取引におけるスリッページの改善の可能だという。プレスリリースによると、例えばステーブルコインペアでは「100X」ほどの改善が見込まれ、仮に取引可能な価格を外れると、プールは「取引不可能」になるという。
また、手数料に関しては各DMMのプールでは固定された手数料でなく、「ダイナミックな手数料」モデルが利用され、AMPの設定に準拠。「手数料はボラティリティが高い時に上昇し、低い時に低下する」と説明されている。
その他の特徴について、CoinPostに掲載されたKyber Networkの寄稿記事「DeFiが抱える課題のソリューション『Kyber3.0』」と2021年の展望」に盛り込まれている。
Kyber3.0は今年1月に発表された計画。アップグレード予定が2段階として実施され、1段階目となる「Katana」は今年の第1四半期~第2四半期の実施を予定しており、Kyber DMMのローンチのほか、Kyber DAOとKNCトークンに関する提案が含まれている。そして、次の段階である「Kaizen」フェーズおよびKyber3.0アップグレードの完了は第3四半期の終わりごろになる見込みだという。