ビットコイン急落の背景
暗号資産(仮想通貨)のオンチェーンアナリストのWilly Woo氏が、先週末に大幅下落したビットコイン(BTC)の下落要因を考察した。
BTCは14日に過去最高値の700万円台に到達するもその後反落。18日にかけて大幅安となった。
Willy Woo氏はこの背景として、中国のBTCマイナーの採掘速度(ハッシュレート)急落や、バイナンス上の大量入金などが影響した可能性があると見ている。
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採掘速度の急落
Woo氏は、下落要因として15日から16日にかけて急落したビットコインのハッシュレート(採掘速度)を挙げた。ビットコインのハッシュレートはBTCブロックのマイニングを行うマイナーの機器の採掘速度を指す指標だ。
CoinPostでも報道した通り、中国北西部で停電が発生してこの影響で中国に拠点を置く大手マイニングプールがオフラインとなり、ハッシュレートの異変につながったとWoo氏は述べた。
Woo氏は、ビットコイン価格とハッシュレートがこれまでも相関性を持っていたと指摘し、ハッシュレートの急落が価格の下落につながったと分析した。過去には2017年11月にも同様の現象が発生したと述べ、1日辺りのハッシュレートの下落率では今回が最高だったという。
Price and hash rate has always been correlated.
— Willy Woo (@woonomic) April 18, 2021
This is BTC price vs today's hash rate collapse (from the Xinjiang blackout). pic.twitter.com/mywEZLHlA0
クジラの動向
さらにWoo氏は、16日に仮想通貨取引所バイナンス上で約9,000BTC(約600億円)の資金流入が確認されたと指摘した。
バイナンスは、欧州地域よりアジア地域からのユーザー割合が高いことから、Woo氏はこの大口投資家が中国事情に精通している(ハッシュレート急落を察知した)人物だと予想し、一部のクジラが利益確定売りを図ったと分析した。
16 April.
— Willy Woo (@woonomic) April 18, 2021
9000 BTC was sent into Binance, read that as a sell off of those coins.
I'd note that Binance serves volume from Asia more than the West. It's likely this was sent in from a whale with closer knowledge to happenings in China. pic.twitter.com/iRePS83Blw
Woo氏によれば、デリバティブ市場ではすでに13日時点から「3ヶ月先物」のセルオフ(大量売りに伴う急落)が発生しており、これが売り圧を強めた。結果的にこれらの要因が併さり、サポートライン(下値支持線)となっていた59,000ドル(640万円)を下回り、大量清算の引き金となったとしている。
This sell down was compounded by sell off of quarterly futures (used by more sophisticated traders) on derivative markets which was already underway as early as 13th April. pic.twitter.com/Je1gGBQvIb
— Willy Woo (@woonomic) April 18, 2021
長期では強気目線を維持
Woo氏は、長期的には強気目線を崩していない。要因として、以下のファンダメンタルズ(オンチェーンデータの傾向)を挙げた。
- 右肩上がりの新規ユーザー数の増加率
- 強気ホルダーによる押し目買い
- ビットコインの参入価格
- (押し目買いを示す)SOPR指標のリセット
新規ユーザーの増加
Woo氏は、「ビットコインの新規ユーザー数は、直近2〜3週間で増加傾向が顕著になっている」と指摘。個人投資家の参入が目立っているとした。
This dip happened while unprecedented numbers of new users are arriving onto the network per day. There's been a retail influx in the last 2-3 weeks. pic.twitter.com/hgzqzOZ7pD
— Willy Woo (@woonomic) April 18, 2021
参入価格チャート
また、ビットコインの参入価格を示すUTXO(未承認トランザクション)指標からは、ビットコインの時価総額1兆ドルラインを超えてから動いたビットコイン数は、全体の流通量の「13%」に上ると指摘。
参入価格の多くは長期保有者の3,000ドル以下であることから、依然として強いと述べた。
Supply profile (price when the supply last moved), now forming the largest cluster of price discovery since BTC was below $10k. Validation of BTC as a trillion dollar asset is immensely strong.
— Willy Woo (@woonomic) April 18, 2021
13.5% of the entire BTC supply last moved above $1T cap. pic.twitter.com/AMGnTrWgY3
押し目買いを示すデータ
さらに、強気のホルダー(長期保有者)がビットコインの押し目買いをしている考察した。ビットコインのSOPR指標がリセットされていることが根拠にある。SOPRこと「Spent Output Profit Ratio」は、ビットコインの利益率を表すオンチェーン指標だ。
同指標は、BTC売却時の価格を購入時の価格で割って算出するもので、1.0を超えている場合は投資家の「利確」を、1.0を下回った場合は投資家が「損切り」していることを示す。
Woo氏は、SOPR指標が切り下がっていることから、「押し目買いに最適なタイミング」だと分析。これらの要因から長期的に強気なセンチメントは変わらないと持論を展開した。
The on-chain SOPR metric near a full reset. A classic buy the dip signal.
— Willy Woo (@woonomic) April 18, 2021
In simple terms, profit taking by longer term investors is completing, very little sell power left unless investors want to sell at a loss from their entry price. Unlikely in a bull market. pic.twitter.com/QOGazxf1fd